
右耳難聴や子宮内膜症など、自身の経験を漫画で発信してきたキクチさん(kkc_ayn)。母親の介護と看取りを描いた「20代、親を看取る。」に続き、現在は父親の闘病をテーマにしたコミックエッセイ「父が全裸で倒れてた。」を連載している。今回は、父親の病状に加え、医療費や保険という現実的な問題に向き合うことになった第17話を紹介する。
■避けて通れない医療費の現実



予断を許さない父親の容体を心配しながら、「新薬だろうがなんだろうがお金はいくらでも払うから…」と願っていたキクチさん。しかし病院で請求書を受け取った瞬間、現実は一気に押し寄せてきた。請求額は約11万円。しかも父親の病気はまだ先が見えず、この支払いがいつまで続くのかわからない状況だった。
キクチさんは「さすがに11万円という数字を見たときはショックが大きかったです」と振り返る。さらに、父親本人の口座やクレジットカードを自由に使えるわけではなく、医療費や入院費はひとまず自分が負担する必要があったという。「来月どうなってしまうのだろうという恐怖でソワソワしました」と当時の心境を明かした。
■不安を減らしたのは情報整理
医療費の負担を少しでも軽減できないかと調べる中で、キクチさんは父親の預金や保険、年金について確認することになる。幸い、父親は書類をきちんと整理して保管していたため、必要な情報を比較的スムーズに把握できたという。しかし、このようなケースは決して当たり前ではない。
「現在の預金額、加入保険、企業年金がどれくらいの額面でいつまで受給されるかなどを知れたのはよかったです」と話すキクチさん。父親が今後どのような生活を送れるのかシミュレーションしたことで、不安をある程度和らげることができたそうだ。
また、「特に死亡時は家族の対応や負担が大きくなります。良好な家族関係を築けているのであれば、書類の在処などを共有しておくのは、いざというときに大きく役立つと思います」と呼びかけている。
■保険内容を確認するため代理店へ
父親が加入している保険について調べるため、キクチさんは保険代理店を訪問。そこで加入していたのが「がん保険」だったことが判明する。ただし、その時点では病名が確定しておらず、もしがんでなければ保障を受けられない可能性もあった。
キクチさんは「保険の代理店へ行った日はクリスマスイブ。街がハッピームードの中、私は商店街を自転車で爆走して、一刻も早くお金の不安を取り除きたいという必死な思いで向かいました」と当時を回想する。
■支えになった担当者の言葉
保険の知識がほとんどなかったというキクチさんに対し、担当者は丁寧に説明してくれたという。「『がんじゃないことが一番いいけど、もしがんだと診断されたとして、負担額や保障のシミュレーションしてみましょうか』と気遣いながら対応くださって、本当に素敵な方に担当いただきました」
家族が病に倒れたとき、向き合うのは病気そのものだけではない。医療費や保険、今後の生活設計など、さまざまな現実が待っている。そんな重いテーマを扱いながらも、時折ユーモアを交えて描かれる「父が全裸で倒れてた。」は、多くの人にとって考えるきっかけになる作品だろう。
取材協力:キクチ(@kkc_ayn)
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