子どもが大学へ進学し、子育てもようやくひと段落したころのことです。少しずつ自分の時間を持てるようになった私は、長期休暇を利用して、趣味のドライブ旅に出かけました。
種子島からフェリーで戻った私は、鹿児島県の指宿(いぶすき)を観光しながら移動していました。久しぶりにひとりで景色を楽しんでいたとき、思わずヒヤッとする出来事が起きたのです。
私のバッグを見つめる女性……
その日、私は甥っ子からアメリカ土産でもらった布製のトートバッグを持っていました。軽くて丈夫なので、旅先で飲み物や上着を入れるのにちょうどよく、よく使っていたものです。
景色の写真を撮ろうとして、私はバッグを近くのベンチに置きました。すると少し離れたところにいた女性が、私のバッグの前で立ち止まり、じっと見つめていることに気づいたのです。
「えっ、もしかして、私の荷物、狙われている……?」
旅先で荷物をなくしたら大変です。慌てて近づこうとすると、その女性がハッとしたようにこちらを見て、急に謝ってきたのです。
まさかの展開にびっくり!
「ごめんなさい! 私が持っているバッグとまったく同じだったので、自分の物かと思ってしまって……!」
話を聞くと、その女性も以前アメリカの西海岸を旅行したときに、まったく同じバッグを買って愛用しているとのこと。「まさか指宿で同じバッグを見るとは思わなくて」と笑う女性に、私もようやく緊張が解けました。
最初は盗難かと身構えてしまいましたが、実際はただの勘違い。そこから旅行の話で少し盛り上がり、思いがけず楽しい旅の思い出になりました。
とはいえ、最初にバッグを見つめられていた瞬間は本当にヒヤッとしました。今回は笑い話で終わりましたが、旅先では荷物の取り違えや盗難が起きないとは限りません。
この出来事以来、写真を撮るときでもバッグを足元に置きっぱなしにせず、必ず手元に持つようにしています。思いがけない偶然を楽しみつつも、自分の荷物は自分で守ることが大切なのだと学びました。
著者:中山美和/50代女性/今年大学を卒業して就職した子どもがいる会社員。趣味はドライブで、車で行けるところならどこへでも行きます。
イラスト:あやこ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年5月)

