アルコール性認知症とは?メディカルドック監修医がアルコール性認知症のなりやすい人の特徴などを解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「アルコール性認知症」になりやすい人の特徴はご存知ですか?医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
秋谷 進(東京西徳洲会病院小児医療センター)
1999年、金沢医科大学卒業。金沢医科大学研修医を経て2001年国立小児病院(現・国立成育医療研究センター)小児神経科、2004年6月獨協医科大学越谷病院(現・獨協医科大学埼玉医療センター)小児科、2016年児玉中央クリニック児童精神科、三愛会総合病院小児科を経て、2020年5月から現職(東京西徳洲会病院小児医療センター)。専門は小児神経学、児童精神科学。
「アルコール性認知症」とは?
アルコール性認知症は、文字通り、長期間にわたる過剰なアルコール摂取によって引き起こされる認知障害のこと。
アルコールというと、一時的に酔っ払うだけで、肝臓以外に影響は残らないのではと思いがちですが、そうではありません。
実際、国立がんセンターからの報告によると、5年間飲酒を繰り返していると認知症になるリスクは1.34倍から1.96倍にものぼるのです。
厚生労働省のe-ヘルスネットでは大量飲酒による認知障害を「アルコール性認知症」として、注意喚起を促しています。
アルコール性認知症になりやすい人の特徴
では、アルコール性認知症になりやすい人の特徴はどんな人なのでしょうか?主に次の方は気を付けるべきであると言えます。
普段のアルコール消費量が多い方
当然ですが、普段からアルコールの消費量が多い方は、脳のダメージも蓄積して、認知症になりやすいことがわかっています。
国立がん研究センターからの報告によると、週75g未満の飲酒量の方の認知症リスクを1とすると、週75〜150g以下の方、つまりちょっとお酒の量が多い人の認知症リスクは1.34倍になります。しかしそれ以上に週450g以上の大量飲酒になる方は認知症リスクは1.96倍にも跳ね上がるのです。
したがって、認知症が心配な方で飲酒が好きな方は、せめて普段の飲酒の量をちょっと減らすことから始めるとよいでしょう。
基礎疾患がある方
2022年の台湾の研究によると、高血圧や糖尿病、慢性腎臓病といった基礎疾患を持っている方の方がそうでない方よりも飲酒による認知機能の影響を受けやすいことがいわれています。
例えば、高血圧のグループでは、多変量ロジスティック回帰の結果、大量飲酒者は少量飲酒者と比較して6.08倍の認知機能障害のリスクと関係があることが言われていますね。
慢性腎臓病や高血圧、糖尿病の方は、動脈硬化や脳の低灌流を引き起こし、脳への酸素供給を低下させて神経損傷につながる可能性があることがいわれています。そのため、アルコールでさらに神経にダメージが加わると容易に認知症につながりやすいというわけです。
したがって、もともと基礎疾患がある方は特にアルコールの消費量に注意が必要ということになります。

