
6月8日に放送された野球トークバラエティ「ダグアウト!!!」(毎週月曜夜9:00-10:00、BS10)。今回のゲストは、中日ドラゴンズやメジャーリーグで活躍した川上憲伸と、読売ジャイアンツ・中日でプレーし、山本昌の専任捕手も務めた小田幸平だ。MCの岡田圭右と上重聡とともに、中日時代のチームメイトでもある2人が、落合博満監督との秘話や山本昌にまつわる仰天エピソードなど、当時を知る者ならではのトークを展開した。
■自ら“Mr.ダグアウト”と名乗る小田幸平
小田は番組初登場であるが、持ち前の明るい性格で冒頭からスタジオを盛り上げた。たとえば岡田が小田に「改めて川上さんとの関係はどうですか?」と尋ねると、即座に「良くないです」とひとボケ。さらに川上が1学年先輩にあたるというところから、「(現役時代に)結構…ま、いま言えないですけど、やられてました」とイジって川上に背中をはたかれていた。
口ぶりとは裏腹に、先輩後輩の間柄とは思えない気安いやり取り。川上も「全然ね、どっちが上かわからんくらいの発言してきますからね」と言っている横で、お茶目な笑顔を覗かせていたのが印象的だ。
小田は「『ダグアウト!!!』って、自分の番組だと思ってたんで。レギュラーも取らずにずっと“ダグアウト”にいた」と“ベンチポジション”を自虐気味に語り、岡田から「Mr.ダグアウト」と称される場面も。どうにもイジり、イジられが好きな関西の血が濃いように見える。
一方で、上重は過去にある監督から「リーグ優勝するために1番大事なのは、2番目の捕手」と聞いたエピソードを披露。これを受けて川上は、小田について“相手チームの弱点を見抜くアナリストのような存在”だったと高く評価する。冗談を交えながらもチームを陰で支え続けた小田の存在価値があらためて浮き彫りとなり、当の本人は終始照れ笑いを浮かべていた。
■落合監督の一言で開眼…“ラミレス攻略”を巡る知られざる裏話
2004年から2008年まで落合博満監督のもとでプレーした川上は、当時の監督について「無口」とイメージ通りの姿を証言した。しかし無口な分、落合の一言には重みがあったと語る。いざ話始めたら、その密度は「1時間の講演ができる」ほど詰まっていたという。
特に印象的だったのが、東京ヤクルトスワローズのアレックス・ラミレスに川上が苦しめられていた頃のエピソードだ。試合前日に落合に呼び出された川上は、ラミレスの攻略法について問われると「谷繁(元信)さんに任せているので」と返答。すると落合から「だからダメなんだよ」と容赦ないダメ出しを受けたという。
だが落合はただ叱責するために呼んだのではない。「どんな良いバッターでも、打てない変化球だったり打てないコースってある」と話し、ラミレスの弱点について「お前のスローカーブ、一番打ってないんだよ」「ああいうタイプはお前のスローカーブ打てねえ」と助言を受けたことを明かした。
ラミレスとの勝負にあたって「全部スローカーブでいったれ。打たれるまで投げろ」とアドバイスを聞いた川上だったが、翌日の試合では先輩である谷繁のリードに首を横に触れず。普段から先輩である谷繁に従い、球種や勝負判断について相談することもなかったツケがここに出た。結果として板挟み状態のままフォアボールを出し、タイムリーヒットを打たれるなどしてラミレスに出塁を許してしまう。
なおその後、先輩との板挟み状態にあった川上を気遣ってか落合が「今日キャッチャーどうする?」と直接聞きに来てくれたこともあったそうだ。そこで恐る恐る「ほか、誰がいますか?」と尋ねたところ「小田がいんじゃねえか」と返ってきたので、川上は「すいません、谷繁さんでお願いします」と即答。これに小田もすかさず「なんでや」とツッコミを入れスタジオを沸かせた。
続く「ひと言deどんなひと?」のコーナーでは、小田が自身を専任捕手として指名してくれた山本について「僕の給料」と表現。ざわつくスタジオメンバーに対して、小田は「この人が指名してくれなかったら、僕試合に出れないので」と率直な思いを語る。
試合に出るためにも小田は山本の行動を観察していたのだが、そこにルーティーンが見えてきたという。たとえば山本は登板日が近づくと落ち着きがなくなり、試合当日には「ハチミツできるんか?」というくらいソファの周りを歩き回っていたそうだ。
さらに川上もランニング中に何かを口へ運ぶような仕草や、試合中に土を舐める姿を目撃していたと証言。そのルーティーンを「舐めることによって精神的なものを…」と分析していたのだが、これには岡田から「あんたたち2人が(山本昌を)舐めてるやろ」と鋭いツッコミが飛び出すのだった。
■“カレーライス禁止令”や徹底した情報統制…中日黄金期の舞台裏
番組中盤では、中日黄金期の知られざるエピソードも次々と飛び出した。小田は落合監督時代に「カレーライス禁止」のルールがあったことを告白。明確な理由はわからないとしながらも、「でも監督は(カレーライスを)食ってますからね」とぶっちゃける。すると川上は「監督がカレーをいっぱい食べたかったから、みんなに取られたくなかった」とお茶目すぎる考察を展開し、再びスタジオは爆笑に包まれた。
さらに川上は、先発日程を巡る極秘ルールにも言及。家族や友人はもちろん、チームメイトにも登板日を明かしてはいけなかったという。日本シリーズにおいてもそのルールは厳格に適用され、川上は1試合目に登板予定だったが口を割ることはなかったという。
ある日はリリーフ陣から「そろそろさすがに教えてくれ。順番の気持ちがあるんだ」と詰め寄られた川上。だが「チームメイトから騙せ」と言われるほど先発投手の情報は秘さなければならなかったため、川上は偶然走り込みをしていた山本を指して「あれ見てください」とミスリードを誘った。なんとか乗り越えたと思っていた川上だったが、当然試合当日に川上が登板するとリリーフ陣からは大ひんしゅく。それ以降「リリーフ陣一切口利いてくれない」とオチをつけると、スタジオも大いに盛り上がった。
現役時代には見えなかった名選手たちの素顔や、落合政権下の中日を支えた裏話が次々と飛び出した今回の「ダグアウト!!!」。川上と小田だからこそ語れるリアルな証言の数々からは、勝負の世界の厳しさだけでなくチームを支えた人間関係の面白さも垣間見えた。

