急性肝炎と診断された後も症状が改善しない場合、劇症肝炎への移行が疑われる可能性があります。両者の違いは進行スピードにあり、劇症肝炎では数日単位で症状が悪化していくことが特徴です。意識の変化や言動のおかしさといった「肝性脳症」のサインを見逃さないために、受診すべき症状と準備しておきたい情報をまとめました。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
劇症肝炎の初期症状:受診のタイミングと重要性
劇症肝炎は発症から治療開始までの時間が予後(よご)に大きく関わる疾患です。受診のタイミングを適切に判断するための知識を持つことが、患者さん自身と家族を守ることにつながります。
どのような症状が出たら受診すべきか
以下のような症状が現れた場合、すみやかに医療機関を受診することが推奨されます。
・身体のだるさが数日以上続く
・食欲がなく、吐き気が続く
・白目や皮膚が黄色くなってきた(黄疸:おうだん)
・尿の色が濃い茶色、あるいは紅茶色になった
・意識がぼんやりする、言動がおかしい(と指摘された)
上記の症状のうち複数が重なっている場合や、いずれかの症状が急速に悪化している場合はただちに医療機関に相談してください。「少し様子を見てから」と時間をかけてしまうことは、治療の遅れに直結する恐れがあります。特に黄疸や意識の変化は、迷わず受診すべきサインです。
受診前に準備しておくと役立つ情報
医療機関を受診する際には、以下の情報をあらかじめ整理しておくと診察がスムーズです。
・いつから症状が始まったか(発症日)
・どのような薬やサプリメントを服用しているか
・最近の飲酒量や頻度
・海外渡航歴や食事の内容(生魚・生肉など)
・過去の肝炎や肝疾患の既往(きおう)
これらの情報は、医師が原因を特定するうえで重要な手がかりになります。特に薬剤性肝障害が疑われる場合は、市販薬も含めてすべての服用歴を正直に伝えることが大切です。自己判断での服薬中止も危険なため、医師の指示に従って行動することが求められます。
まとめ
劇症肝炎は、だるさや発熱といった日常的な症状から始まり、急速に悪化する重大な疾患です。黄疸・濃い尿・強烈な倦怠感といったサインを見逃さず、早めに内科や消化器内科を受診することが、回復への道を開く第一歩となります。症状に不安を感じたら、自己判断で様子を見るのではなく、迷わず医療機関に相談することをおすすめします。
参考文献
厚生労働省「肝炎とは」
厚生労働省「肝炎総合対策の推進」
国立国際医療研究センター 肝炎情報センター「B型肝炎」
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