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「急な首の痛み」は“くも膜下出血”の前兆?警戒すべき症状【医師監修】

「急な首の痛み」は“くも膜下出血”の前兆?警戒すべき症状【医師監修】

くも膜下出血の前兆は頭痛だけではありません。物が二重に見える、まぶたが急に下がる、首の後ろから肩にかけての強い痛みやこわばり、急な吐き気や嘔吐、意識のぼんやりといった症状が現れることもあります。こうした変化を「疲れ」と見過ごしてしまうと、受診のタイミングを逃すおそれがあります。

伊藤 たえ

監修医師:
伊藤 たえ(医師)

浜松医科大学医学部卒業。浜松医科大学医学部附属病院初期研修。東京都の総合病院脳神経外科、菅原脳神経外科クリニックなどを経て赤坂パークビル脳神経外科菅原クリニック東京脳ドックの院長に就任。日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳ドック学会認定医。

くも膜下出血の頭痛

くも膜下出血に伴う頭痛の中でも特に重要なのが、本格的な破裂(発症)の瞬間に起こる「雷鳴頭痛」です。この頭痛は、雷が落ちた瞬間のような衝撃的な痛みが突然訪れることからその名がついており、くも膜下出血を疑う代表的なサインの一つとされています。

①:雷鳴頭痛

雷鳴頭痛の最大の特徴は、痛みが前触れなく始まり、わずか数秒から数十秒の間にピークへ達する点です。

発症から数秒でピークに達する痛みの性質

「バットで殴られたような」「頭が割れるような」と表現されることが多く、徐々に強くなる一般的な頭痛とは明らかに異なる経過をたどります。
この頭痛が生じた時点で、すでに脳内で出血が起きている可能性があり、意識が保たれている場合でも安心はできません。また、一度痛みが軽減したとしても、再出血によって短時間で状態が悪化するリスクがあるとされています。「しばらくしたら落ち着いたから大丈夫」と自己判断せず、初回の段階で救急受診を検討することが重要です。

普段の頭痛との違い

多くの方が「頭痛だけで救急を受診してよいのか」と迷うことがありますが、雷鳴頭痛には日常的な頭痛とは異なる明確な特徴があります。以下のような症状が当てはまる場合は、速やかな受診が勧められます。
・これまでに経験したことのない強さの頭痛
・突然始まった頭痛(発症の瞬間がはっきりしている)
・頭痛とともに嘔吐や意識の変化がみられる
・頭痛の後に首が動かしにくくなる、強いこわばりを感じる
このような特徴がある場合、たとえ一時的に痛みが軽減しても、くも膜下出血を含む重篤な疾患の可能性を否定することはできません。自己判断で様子を見るのではなく、医療機関での精密検査を受けることが望まれます。

②:頭痛が続く場合の注意点

くも膜下出血の頭痛は、発症直後の激しい痛みだけでなく、その後も持続するケースがあります。痛みの強さが落ち着いてきたとしても安心できるとは限らず、経過中に注意すべきポイントがいくつかあります。頭痛が軽度であった場合に受診が遅れることもあるため、経過の見方にも注意が必要です。

数日間続く頭痛と再出血のリスク

くも膜下出血の後、頭痛は数日から数週間にわたって続くことがあります。この期間に特に注意が必要なのが「再出血」です。初回の出血から24時間以内、あるいは2週間以内に再出血が起こることがあり、再出血は初回よりも重篤な状態を招く可能性が高いとされています。

頭痛が続いている間は、見た目に症状が落ち着いているように見えても、脳内では不安定な状態が続いている可能性があります。そのため、医療機関では入院下での安静や血圧管理などが行われることが一般的です。「少し楽になったから大丈夫」と自己判断して行動範囲を広げたり、安静を保たなかったりすることは、再出血のリスクを高める要因となるため注意が必要です。

頭痛以外の後続症状

くも膜下出血の経過中には、頭痛以外にも注意すべき合併症が生じることがあります。代表的なものが「脳血管れん縮(のうけっかんれんしゅく)」と「水頭症(すいとうしょう)」です。

脳血管れん縮とは、出血の影響によって脳の血管が収縮し、血流が低下する状態を指します。発症から4〜14日後に起こりやすく、手足のまひや言語障害、意識レベルの低下といった症状が現れることがあります。

一方、水頭症は脳脊髄液の流れが滞ることで脳内の圧力が高まり、脳が圧迫される状態です。頭痛の持続に加えて、歩行が不安定になる、物忘れが増える、反応が鈍くなるといった変化がみられることがあります。

これらの症状は時間の経過とともに現れることがあるため、頭痛だけでなく全身の変化を含めて経過を注意深く観察することが重要です。

まとめ

くも膜下出血は突然発症することが多い病気ですが、前兆・頭痛の特徴・身体のサインに気づくことで、早期受診につながる可能性があります。「今まで経験したことのない頭痛」や「急な意識の変化」「首の痛みや嘔吐の併発」などのサインが現れた場合は、自己判断せずに速やかに医療機関を受診することが大切です。くも膜下出血は適切な治療によって命を守り、後遺症を軽減できる可能性が向上します。少しでも気になる症状があれば、ためらわずに専門医に相談することをおすすめします。

参考文献

日本脳卒中学会「脳卒中治療ガイドライン2021[改訂2025]」

厚生労働省「第3回 脳卒中ってなぁに?」

日本神経学会「神経内科疾患の診療ガイドライン」

配信元: Medical DOC

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