「てんかん」になりやすい人の特徴はご存じですか? てんかんの発作の前兆やセルフチェックについても「スガノ脳神経外科クリニック」の菅野先生に解説していただきました。

監修医師:
菅野 秀宣(スガノ脳神経外科クリニック)
1992年順天堂大学医学部卒業、順天堂大学医学部脳神経外科入局。1997年アメリカ国立保健研究所研究員、1998年アメリカ海軍医学研究所研究員、2003年東京都立神経病院脳神経外科医員、2009年順天堂大学医学部脳神経外科准教授、2018年順天堂大学医学部附属順天堂医院てんかんセンター長、順天堂大学医学部脳神経外科先任准教授。日本脳神経外科学会 専門医・指導医、日本てんかん学会 てんかん専門医・指導医・迷走神経刺激療法認定医、日本臨床神経生理学会 脳波専門医、小児慢性特定疾病認定医、指定難病認定医、東京都身体障害者福祉法第15条指定医。
編集部
てんかんは遺伝するのですか?
菅野先生
遺伝子変異は次々と発見されていますが、基本的にてんかんは親子で遺伝する疾患ではありません。しかし、発作を起こしやすいという特徴は遺伝してしまうことがあります。たとえて言うと、背の高い親から背の高い子どもが生まれやすい、というような感じです。
編集部
てんかんになりやすい人の傾向はあるのですか?
菅野先生
赤ちゃんから高齢者まで様々な原因で発症し、人口100人のうち0.5〜1人の割合で発症するとされています。誰でもてんかんを発症する可能性はあり、特にてんかんになりやすい人の傾向というのはありません。
編集部
誰でも等しく発症しうるということでしょうか?
菅野先生
はい、そういうことです。たとえば発達に異常がある人は、そのほかのグループと比較するとてんかんを発症することが多いのですが、その因果関係は明らかになっていません。
編集部
てんかんの発作が起きるときには前兆があるのですか?
菅野先生
てんかんで言う前兆とは、すでに発作が起こり出している状態のこと。てんかんには脳の全体が興奮する全般性てんかんと、脳の一部が興奮する焦点性てんかんがありますが、特に焦点性てんかんの場合、発作の起こり始めがわかれば脳のどこに異常があるかを推測することができます。そのため、発作の起こり始めを理解することは非常に重要です。
編集部
どのようにして原因を推測するのですか?
菅野先生
たとえば、はじめに右手がしびれ、そのあとにピクつきが始まり、やがて意識を失ったという場合には、右半身を支配するのは左脳であるため、左脳にある感覚野が原因ではないかと推測できます。
編集部
てんかんかどうか、セルフチェックは可能ですか?
菅野先生
意識を失うまでに手がしびれる、ピクつくなどの症状があれば、てんかんを疑う材料になるのでしょう。しかし、すぐに意識を失ってしまう場合には自分でチェックすることは難しいため、家族や身の回りの人にスマートフォンで動画を撮影してもらうのが診断をするときの助けになります。最近では、てんかんの発作を記録するアプリが開発されており、発作が起きると自動で動画を撮影してくれるものもありますから、てんかんが疑われる場合はそうしたサービスを利用してみるのも良いでしょう。
※この記事はMedical DOCにて【「てんかん」になりやすい人に特徴はある? てんかん専門医が解説 年齢・性別問わず発症の可能性も?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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