
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、2026年3月20日にX(旧Twitter)に投稿された『戦うことしか知らなかった奴隷の少女が『運命の番(つがい)』に出会う話。』をピックアップ。
本作はマンガボックスで連載中の『元戦闘用奴隷ですが、助けてくれた竜人は番だそうです。』の第一話にあたるエピソード。作品公式アカウントから本作がX(旧Twitter)に投稿されたところ、3.500件近くの「いいね」と共に多くの反響コメントが寄せられた。本記事では原作の早瀬黒絵さん、漫画の城キイコさんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。
■戦うことのみを強いられた少女の運命が回りだす

戦闘用奴隷として毎日観客の前で死闘を繰り広げる八番。ただ戦うのみ…これが八番に与えられた運命…彼女は考えることすら許されない存在だ。しかし保護対象種族である人間を奴隷として戦わせる違法な闘技場運営に摘発が入り、八番の運命は一変する。
一方、セレストは“番(つがい)”が見つからないまま、300年を生きる美貌の竜人。だが闘技場で八番を目にした瞬間、セレストは八番が自分の“番”であることを直感。ユイと名付け、ともに暮らすことになるのだった…。竜人と奴隷の人間。種族も身分も違う2人に与えられた運命に「出会えてよかった」「良作です!」「ジーンとくる」「2周目でも面白い」など多くの反響が寄せられている。
■「どうぞ最後までお付き合いください!」

――原作者の早瀬さんに伺います。本作を創作したきっかけや理由があればお教えください。
早瀬さん
元々、小説を書く以前から『小説家になろう』様で小説を読んでおり、ドラゴンや番といった要素が好きでした。
“ドラゴン”や“番”に関しては本当に昔からあるテッパンものの要素で、自分で小説を書くようになってからは、好きなものを詰め込みつつ、優しい世界で主人公が人として幸せになっていく物語が読みたいと思い、書くこととなりました。
ただ、当時から“番”モノはヒーローが強引であることが多く、私としては「大切だからこそ慈しみ、尊び、共に時間を分かち合うことで悩みを乗り越えていく」方向性のほうが好きだったので、そこからセレストが生まれました。
人として未熟な少女ユイと番を見つけた理性的な竜人セレスト。この二人が出会い、共に過ごす中で段々と近づき、互いを理解して、大切に思う。その過程や様子を書きたかったのです。
――本作を制作するうえでこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントがあればお教えください。
早瀬さん
そうですね、こだわりという点は「セレストの理性の強さ」でしょうか。
セレストは齢300近い竜人ですが、人間で言うと20代半ばくらいなので実はまだ若いのです。竜人は種族として強く、長命で、特有の孤独感から気性が荒くなる者も多い中で、セレストは非常に自分を律することに長けています。
彼自身の性格もあると思いますが、他の人々からも度々言及されるほどセレストは「理性的な竜人」です。
出会った番のユイを『大切にしたい』『愛おしい』と思う竜人の本能がある一方で、相手は子供であり、何も知らないのにと戸惑う理性もあり、けれどもユイのことを知りたいと思う気持ちもある。
ユイだけでなく、セレスト自身も“番”という存在に翻弄されているわけです。それでもセレストはユイの気持ちを優先しています。
しかし、ユイに選ぶ権利があると言いつつ、他の異性の匂いがユイにつくと嫉妬してしまうなど、なかなか理性では抑えきれないことも。
コミカライズのセレストはユイの前では大人らしく振る舞おうとしているのに、なかなかそれができなかったり喜怒哀楽が分かりやすかったり、微笑ましさもあります。
城さん
見ていただきたいのは、種族の違いによる寿命差。
2000年の寿命を持つ竜人セレストは現在300歳弱。既に多くの友人たちを見送ってきましたが、やっと見つけた番のユイもわずか100年ほどで失う立場です。
あまり広告等で取り上げられない部分なのですが、本作のメインテーマのひとつだと思っております。コミカライズだと4話で出てくるお話なので、お試し読みもぜひそこまで読んでいただきたいですね。
――漫画をご担当した城さんに伺います。コミカライズするうえでのこだわりを理由と共にお教えください。
城さん
原作第一はマストとしまして、原作の魅力を伝える表現と自分の得意な表現のバランスを考えることがこだわりかもしれません。完全に自分を抑えてしまうと、漫画としてのパワーが出にくいためです。
『元戦闘用奴隷』独自のものとしては、濃いトーンをなるべく使わないようにしました。原作に流れている澄んだ空気感、素朴で優しい画面にしたかったためです。
セレストの青髪も本来の私のカラーチャートだと25~30%トーンにする所ですが、面積的にかなり画面が重たくなるのと、白が一番演出幅が広いため、思い切って白にしています。
――お二人の特に気に入っているシーンやセリフを、理由と共にお教えください。
早瀬さん
私のお気に入りは1話のセレストがユイを助けようと必死に治癒魔法をかけているシーンですね。その中でも「死ぬな! 起きるんだ!」「死なないでくれ!」のセリフ。
普段は紳士的であまり他人に内情を読み取らせることのないセレストが、ここでは感情を露わにしています。
実は原作でも最初にセレストのこのシーンを入れることで、その後の紳士で理性的なセレストを出して「それほどあの時は必死だったのか」と読者様に感じていただきたかったのです。
でも個人的に「普段落ち着いていて紳士的な男性が大切な人のこととなると形振り構っていられず感情が乱れてしまう」というシチュエーションも好きでして。
言葉遣いが乱れたり泣いていたり……セレストからすれば運命の相手である番を見つけた瞬間に失いかけたわけですから、最悪な展開ですよね。ちょっとセレストには申し訳ないと思いつつ、でもこのシーンが大好きです。
城さん
17話、ユイの「は、ぃ」(コミカライズ単行本3巻収録)
セレストと同じ職場で働きたいユイ。
「ええ、ええ、私もユイと一緒にここで働けたら嬉しいです。一緒に来て、仕事をして、一緒に昼食を摂って、終わったら一緒に帰りましょう」
「は、ぃ」
原作を読んだ時、プロポーズみたいだと思ったんです。それをネームに書き込んだら、早瀬先生が17話のタイトルを「はい」で提案くださって。とても嬉しくて、思い出のシーンです(各話タイトルは早瀬先生がつけてくださっています)。
奴隷時代「はい」という返事しか許されていなかったユイだからこそ、胸に刺さるセリフだと思います。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。
早瀬さん
改めまして初めまして、早瀬黒絵です。……と言っても、もうご存じの方も多いかもしれませんね。いつもユイとセレストの物語を楽しんでくださり、ありがとうございます。
ようやく人としての生活を手に入れたユイと、番を見つけて戸惑いながらもユイを大切にしようとするセレスト。これからの二人がどうなっていくのかお楽しみに!
今作はコミカライズから始まり、現在は原作の小説も発売されています。
コミカライズと小説の両方を読んでいただけますと、より『元戦闘用奴隷』の世界観を感じていただけると思います。可愛いユイと麗しいセレスト、優しい人々のいる世界。私も二人がコミカライズでどのように描かれていくのか、城先生の描いてくださる『元戦闘用奴隷』のファンとしてワクワクしながら見守っております。
是非、これからも一緒にユイとセレストを応援していただけますと幸いです。
城さん
『元戦闘用奴隷』、またインタビューをお読みいただきありがとうございます。
本作は原作が長編Web小説で、この春美しく完結され、小説紙書籍も連続刊行中です。ぜひ小説と漫画あわせてお楽しみいただけたら嬉しいです。オリジナルの世界を感じていただきたいのはもちろん、漫画のこの絵はそういうことだったんだと発見いただけるんじゃないかと思います。
コミカライズは先行最新話でまだまだ原作の1/3ほどです。物語の最後までお届けする気持ち満々ですので、どうぞ最後までお付き合いください!

