
俳優の兒玉遥が10月11日、自叙伝「1割の不死蝶 うつを卒業した元アイドルの730日」の発売記念イベントを都内で開催。イベント前に行われた囲み取材で、半生を振り返る場面があった。
■アイドル時代、闘病生活、現在と未来を綴った自叙伝
同書は、元HKT48の1期生でセンターも務めた兒玉が、うつ病を患い休業した経験を中心に、アイドル時代、闘病生活、現在と未来をつづったもの。医者から「元気な姿に戻れる確率は1割」と言われた彼女が、いかにして病気を乗り越え、ニ度の休業を経てたどり着いた境地など、これまで語られなかった真相について記している。
■「出版していいのかすごく悩みました」
囲み取材では、「この本は約1年半くらい前から準備して、制作して、完成した作品なので、この作品がやっとファンの皆さまの手に届くっていうのがすごくうれしいです。また、SNSで文章や写真が消費されていく世の中だと思うんですけど、こうして本として残せるというのは、俳優人生で意味のあることだなと思いますし、これまで応援してくださっている皆さんへの感謝の気持ちを形にできるかなと思って、今日を迎えられたことがすごくうれしいです」と述懐。
また、「最初は、出版していいのかすごく悩みました。というのも、芸能やアイドルってたくさんの人の夢である仕事なのに、私はその世界に入って心を壊しちゃって…。社会復帰できる自信がないくらいまで弱ってしまったから、そんな姿をこんなに赤裸々に書いた物を世に出していいのかっていう葛藤がすごくありました」と出版することに悩んでいたという。
その一方で、「応援してくださっている方や見てくださっている方に、うそのない自分でいたいと思いましたし、隠しているより話した方が自分の心も楽になるなって思ったので」と出版を決めた心境を明かした。
さらに、「今うつで悩んでいる方やそんな方をサポートしている方にも、ちょっとした気付きだったり希望を届けられるような作品になっていると思いますので、ぜひたくさんの方に読んでもらいたいです」とアピール。
■「アイドルを選んだのはベストな選択」
ほか、見どころについて「母を独占取材しているパートがあるのですが、私抜きでライターさんが母を取材してくださって、そのパートはすごく好きです」としみじみ。
続けて、「私自身、(闘病中の)当時の記憶が抜けているところがあったりだとか、うつの症状がひどい時のことをあまり思い出せないので、その当時のことを語っていた母の、支えてくれていた時の思いだったり、こういうことに気遣いながらサポートしていたよということだったり、本当に5年越しくらいに知った真実がたくさんあって。涙なしでは読めないパートになっていると思います」と告白。
そんな中、報道陣から「改めて今、アイドルになって良かったと思いますか?」と聞かれると、「思います!」と即答し、「アイドルをやってなかったら今の自分はいなかったと思いますし、『芸能人になりたい』と思って、その夢の入り口としてアイドルを選んだのはベストな選択だったと思います」とにっこり。
そして、「アイドルになって、うつ病になって、今は俳優業をしていますけど、良いか悪いかは判断しづらいんですけど、自分の人生を愛しています」と打ち明けた。
◆取材・文=原田健


