毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)は、二の腕などに小さなブツブツができる皮膚疾患で、いわゆる「鮫肌」にあたります。
重篤な症状が出ることはほとんどないため、多くの場合、特別な治療は必要ありません。一方で「見た目が気になる」という方も多くいらっしゃいます。
毛孔性苔癬は、いったい何が原因で起こるのでしょうか。また、どのように治療すべきなのでしょうか。
本記事では、毛孔性苔癬の原因・治療法について解説します。ぜひ最後までご覧ください。
※この記事はメディカルドックにて『「毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)」とは?治療・原因も解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。
毛孔性苔癬の原因と治療方法

毛孔性苔癬は何が原因で起こりますか。
毛孔性苔癬は、毛穴の中に角質が溜まることで起こります。
まずは角質ができる仕組みについてみていきましょう。皮膚の表皮の1番底には「基底細胞」というものがあります。基底細胞は皮膚のターンオーバーとともに、皮膚表面に押し上げられます。この皮膚表面に押し上げられた基底細胞が、角質の正体です。
通常ならば古い角質は皮膚から剥がれ落ちます。しかし、なんらかの原因で角質が毛穴に堆積して、毛穴の出口を塞ぐことがあります。すると毛穴全体が盛り上がるため、発疹(毛孔性苔癬)があらわれたようにみえるというわけです。
毛穴に角質が溜まる原因については、ハッキリ分かっていません。一説では遺伝による体質が原因ともいわれています。
治療は必要でしょうか。
多くの場合、毛孔性苔癬では特別な治療は必要ありません。放置していても、症状は自然と消えることが多いためです。
しかし、かゆみがある場合・見た目を改善したい場合には治療を行うこともあります。治療法としては、塗り薬の塗布が一般的です。代表的な塗り薬には次のようなものがあります。
尿素軟膏
ビタミンA軟膏
ビタミンD3軟膏
サリチル酸ワセリン
尿素軟膏やビタミンA・D3軟膏は、皮膚を保湿して角質を柔らかくする作用があります。一方、サリチル酸ワセリンは、古くなった角質を取り除く「ピーリング」目的で使用されることが一般的です。
保湿やピーリングには、肌のターンオーバーを整えて角質の堆積を改善する効果が期待できます。
塗り薬以外の治療方法を教えてください。
塗り薬以外の治療法としては、次のようなものがあります。
ピーリングイオン:イオンを利用して角質を溶かす
マイクロニードル治療:極細の針で肌に穴をあけて新陳代謝を盛んにする
フラクショナルレーザー:レーザー照射で肌に微細な穴をあけて新陳代謝を促す
脱毛:光やレーザーを使って脱毛する
ピーリングイオン・マイクロニードル治療・フラクショナルレーザーの施術を受けられるのは、美容クリニック・エステサロンなどです。いずれも肌のターンオーバーを促す作用があるため、角質の堆積の改善が期待できます。
脱毛は、毛孔性苔癬の治療というより悪化を防ぐことを目的とします。毛孔性苔癬はカミソリなどの刺激によって悪化しやすいため、より肌に負担の少ない方法で脱毛するというわけです。
なお、これらの治療による毛孔性苔癬の改善効果は実証されていません。「症状の悪化が防げるかもしれない」くらいに考えておくのが無難でしょう。
編集部まとめ

毛孔性苔癬は、爪で引っかいたり、スクラブでこすり落とそうとしたりすると、かえって症状が悪化することがあります。誤ったセルフケアで症状を悪化させる前に、まずは皮膚科医に相談するのがおすすめです。
参考文献
毛孔性苔癬|メディカルノート

