
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回紹介するのは、ヤンチャンWebで連載されていた『アウターQ 弱小Webマガジンの事件簿』(原作:澤村伊智(双葉文庫)、漫画:宵町めめ)だ。
同作は小説家・澤村伊智さんによる同名小説が原作で、エンタメ系ウェブマガジン「アウターQ」の編集部で新人ライターとして活動する主人公・湾沢が、かつて話題になった都市伝説「露死獣(ろしじゅう)」の取材を始め、それを皮切りに様々な奇怪な事件に巻き込まれていく様子が描かれている。
以前ヤンチャンWeb公式のX(旧Twitter)に同作のエピソード『歌うハンバーガー』が投稿されると、5000以上の「いいね」を獲得。そこで原作者の澤村さんと漫画担当の宵町めめさんに、同作について話を伺った。
■摂食障害に苦しむ元人気女性ライター

7月中旬、ライターの湾沢は、とある飲食店に向かい、かつてフォトエッセイを出すほど人気だったフードライターの守屋雫(もりや しずく)と落ち合う。
というのも守屋はアウターQから“食”をテーマとした記事依頼を受けており、その話を聞いた湾沢は面識がなかったものの、編集長の八坂から彼女の現状を聞いて心配したことで呼び出したのだった。
現在、別人のようにやつれてしまった守屋は自身が“摂食障害”になってしまい、グルメ関連の記事が書けないことを打ち明ける。そして、湾沢は“料理のレビュー”ではなく“入りにくい店を紹介する”というテーマの記事にすることを提案し…。
読者からは「やつれていた守屋が最後に笑顔になれてよかった」「ラストで驚いた」などの声が上がっていた。
■原作者・澤村伊智さん、漫画担当・宵町めめさんの“お気に入りの場面”とは

――『アウターQ 弱小Webマガジンの事件簿』の物語を創作した経緯をお教えください。
澤村伊智:大衆的な話を書こうと思ったところ、思いついたのが「若者が軽い気持ちでWebライターになり、同じく軽い気持ちでエンタメ系の記事の取材をするうちに意外な事実に行き当たる」という形式でした。
とりあえず第1話を暗号モノにしようと考え、近所の書店で子供向けクイズ本を買い漁って実作するうち、「笑う露死獣」のプロットが固まりました。全体のストーリーやサプライズ、そして「発信することの責任」というテーマはその頃は全然浮かんでおらず、書いているうちに固まってきた感じです。
――同作の『歌うハンバーガー』を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあれば教えてください。
宵町めめ:守屋があやしいハンバーガーを見つけ、入店するシーンです。
おそらく普通に読むと、コマ割りや絵の見せ方に少し違和感があるかもしれませんが、最後まで読んでから読み返すと意図がわかるようにしました。
原作でのこのお話は小説ならではの仕掛けがあって読み返すのが楽しかったので、漫画でも読み返したら2度美味しいような描き方にしました。
その後の店内の会話の噛み合わなさも、最後まで読むと意味がわかるのでぜひ見てほしいです。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共に教えてください。
澤村伊智:『歌うハンバーガー』終盤で守屋雫が癖の強い店を訪問し、ハンバーガーを食べるところです。おいしそうな食事のシーンを書くのはこの時が初めてで、「頑張ろう」と思ったのを覚えています。漫画では宵町めめ先生が素敵に描いてくださって嬉しかったです。
宵町めめ:ハンバーガー屋の外観が気に入っているので、守屋がハンバーガー屋の正面に立つコマや後半の見開き、ラストのコマがお気に入りです。

真夏の昼下がりの明るさと店の蔦の影の濃さとのコントラストが、白昼夢のような奇妙さを出せたのではないかと思います。
見開きのシーンはセリフ無し、人物無しという静けさで、突如物語のなかに異物が挿入される感じが出たのではないかと思います。
この見開きは原作と大きく演出が変わるので、当初は描くのを渋っていたのですが、読んだ人から「あの見開きが良かった」と言われたので、入れて良かったです。
――読者へメッセージをお願いします。
澤村伊智:『アウターQ 弱小Webマガジンの事件簿』はWebライターが主人公の、Webマガジン編集部の話ですが、現代では誰も避けて通れない話だと思います。ぜひ読んでみてください。
宵町先生の漫画では主人公の陸男くんがとてもかわいいので、彼が大変な目に遭って苦悩したり、憔悴したりする様がより一層シリアスに感じられると思います。
宵町めめ:この『歌うハンバーガー』は『アウターQ』コミカライズの1巻に収録されていますが、2巻、3巻にも一つ一つ違ったテイストや怖さの質を持ったエピソードが収録されています。
特に、ラストエピソードは怒涛の展開になり、作画も気合いが入っているのでぜひラストまで読んでいただきたいです。原作と読み比べるのも楽しいのではないかと思います。

