水腎症の原因の中には、日々の生活習慣と深く関わるものがあります。水分摂取の習慣や食事内容、生活習慣病の管理など、日常のなかで取り組める対策は少なくありません。このセクションでは、水腎症につながりうる生活習慣上のリスクと、腎臓の健康を長く保つために心がけたい予防のポイントについて詳しく解説します。

監修医師:
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)
長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科
水腎症の原因となる生活習慣と予防のポイント
水腎症の原因の中には、生活習慣と深く関わるものがあります。特に尿管結石は再発しやすい疾患であり、食事や水分摂取などの日常的な習慣が発症リスクに影響することが知られています。このセクションでは、水腎症につながりうる生活習慣上のリスクと、日常でできる予防のポイントを解説します。
水分摂取と尿管結石の関係
尿管結石の形成を防ぐうえで、水分を十分に摂ることはとても重要です。水分摂取が不足すると尿が濃縮されやすくなり、結石の原因となるカルシウムや尿酸などが析出しやすくなります。1日の尿量がおおむね2L以上になるよう水分を摂ることが結石予防に有効とされており、特に夏季や運動後など汗をかきやすい状況ではこまめな補水が大切です。
水分補給は水(または麦茶やほうじ茶などシュウ酸が少ない飲み物) を中心に行うことが望ましく、シュウ酸を多く含む緑茶や紅茶などの過剰摂取には注意が必要です。 また、糖分を多く含む清涼飲料水の過剰摂取は尿酸値を上げる可能性があります。シュウ酸(ほうれん草、チョコレートなどに多く含まれる)を多く含む食品はカルシウムを一緒に摂ることで、腸内での吸収を抑える効果が期待できます。食事内容を意識することが、結石の再発防止に貢献します。
生活習慣病と腎臓への影響
糖尿病や高血圧は、腎臓の血管を傷めやすいとされており、腎機能低下と深く関わる疾患です。これらの生活習慣病が進行すると、腎臓のろ過機能が低下し、水腎症がある場合にはそのダメージがより大きくなる可能性があります。定期的な血糖値や血圧の管理は、腎臓を守るためにも重要な取り組みです。
肥満も腎機能低下のリスクを高める要因の一つとされています。適度な運動と食事管理によって体重をコントロールすることは、腎臓への負担を軽くすることにつながります。水腎症そのものの予防にはなりませんが、腎機能を長く保つためのベースをつくるという点で、生活習慣の改善は重要な意味を持ちます。
定期的な検査と早期受診の重要性
水腎症はその進行度によっては自覚症状が乏しく、知らないうちに腎機能が低下しているケースがあります。そのため、健康診断や人間ドックでの腎臓に関わる検査(血液検査・尿検査・腹部超音波検査など)を定期的に受けることが推奨されます。特に、過去に尿管結石や泌尿器系の疾患にかかったことがある方、糖尿病や高血圧をお持ちの方は、より注意深く腎臓の状態を確認することが大切です。
腰やわき腹の違和感、排尿の変化、血尿などの気になるサインがあれば、「様子を見よう」と思わず早めに泌尿器科や腎臓内科を受診することが重要です。水腎症は原因を特定し適切に治療することで、腎機能の悪化を防いだり、回復を促したりすることが期待できます。自分の身体のサインに敏感になり、専門家への相談を躊躇(ちゅうちょ)しないことが、腎臓を守るうえでの大切な行動です。
まとめ
水腎症は腎臓に尿が溜まり続ける状態で、放置すると腎機能の低下や感染症などのリスクにつながる可能性があります。クレアチニン値の変化を定期的にチェックすること、腰痛や排尿の変化などの初期症状に早めに気づくこと、そして尿管結石や前立腺肥大症などの原因に対して適切な治療を受けることが大切です。水分摂取や生活習慣の見直しといった日々の取り組みも、腎臓の健康を守るうえで重要な役割を担います。少しでも気になる症状がある方は、泌尿器科や腎臓内科への受診を検討されることをおすすめします。
参考文献
厚生労働省「第Ⅲ 泌尿器・生殖器の障害 第1 腎臓の障害」
厚生労働省 e-ヘルスネット「CKD / 慢性腎臓病」
日本泌尿器科学会「尿路結石症診療ガイドライン」
国立循環器病研究センター「慢性腎臓病」
日本腎臓学会「診療ガイドライン」
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