「親知らずが腫れているけど、そのうち自然に治るかもしれない」と様子をみている方も多いのではないでしょうか? しかし、親知らずの腫れを放置すると、思わぬリスクにつながることがあります。そこで、親知らずが腫れる原因や放置するリスクなどを、練馬関町かんけ歯科・矯正歯科の菅家先生に聞きました。

監修歯科医師:
菅家 康介(練馬関町かんけ歯科・矯正歯科)
日本大学歯学部歯学科卒業。東京大学大学院医学系研究科外科学専攻修了。東京大学医学部附属病院助教や三井記念病院での勤務を経て、練馬関町かんけ歯科・矯正歯科を開業。幅広い世代が安心して通える歯科医院を目指し、精密検査による正確な診断と再発予防に重点を置く。歯科ドックなど予防にも力を入れ、生涯にわたる健康維持をサポートしている。日本口腔外科学会認定医、日本口腔科学学会暫定認定医。医学博士。
編集部
親知らずはなぜ腫れやすいのでしょうか?
菅家先生
親知らずの腫れの多くは「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」という炎症によって起こりますが、その主な原因は「清掃不良」です。親知らずはおおよそ18歳から20歳ぐらいに生えてくる永久歯ですが、一番奥に位置するため歯ブラシの毛先が届きにくく、どうしても磨き残しが多くなります。そのため、細菌感染を起こしやすく、これが腫れる原因となります。
編集部
親知らずが腫れやすい人の特徴を教えてください。
菅家先生
親知らずが横向きや斜めに生えている方は、物理的に歯ブラシが当たりにくく、汚れが残りやすくなります。さらに、その部分に歯周ポケットができると細菌がたまりやすく、腫れにつながることがあります。くわえて、免疫力が低下している場合も注意が必要です。親知らずの腫れは細菌による炎症が原因であるため、体の戦う力が弱まると細菌に対抗できず、炎症が起こりやすくなります。
編集部
親知らずの腫れは、どのような経過をたどるのでしょうか?
菅家先生
智歯周囲炎の初期症状としては、親知らず周囲の腫れや出血、軽い痛み、違和感などが挙げられます。最初はそれほど強い症状ではありませんが、次第に腫れや痛みが増してくると「何もしていなくても痛い」「口が開けにくい」「あごにまで痛みが広がる」といった状態に進行することがあります。顎関節症だと思って受診された方が、じつは親知らずが原因だったというケースも少なくありません。痛みの原因がわかりにくいこともあるため注意が必要です。
編集部
その腫れや痛みを放置すると、さらに症状は悪化していくのでしょうか?
菅家先生
親知らずの腫れを放置することは、じつは非常に危険です。急に発熱したり、あご全体に大きく腫れが広がったりすることもあります。とくに注意が必要なのが「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」と呼ばれる状態です。親知らずは通常、骨の中に埋まっていますが、炎症が進むと頬や舌の粘膜など、周囲の軟らかい組織まで広がってしまうことがあります。
編集部
「蜂窩織炎」に至ると、どのようなリスクがあるのでしょうか?
菅家先生
蜂窩織炎が進行すると、口が開かなくなったり、首のあたりまで腫れが広がったりすることがあります。重症化すると呼吸や飲み込みが困難になるケースもあるため注意が必要です。実際、私が大学病院にいたころは、呼吸障害を起こして気管切開をおこなうような事例もありました。重篤になると命に関わる可能性もあるため、親知らずの腫れを軽視せず、できるだけ早めの受診をおすすめします。
※この記事はメディカルドックにて<親知らずの腫れは抜歯が必要? 放置して悪化した場合のリスクなどを歯科医が解説>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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