『IgA腎症』の初期症状は“あの不調”?見落とされがちなサインとは【医師解説】

『IgA腎症』の初期症状は“あの不調”?見落とされがちなサインとは【医師解説】

IgA腎症は、腎臓の糸球体(しきゅうたい)と呼ばれる組織に炎症が起きる慢性腎臓病の一種です。健康診断で尿の異常を指摘されたとき、「IgA腎症」という診断名を告げられても、何がどう問題なのか、すぐには理解しにくいこともあるかもしれません。本記事では、初期症状から原因、治療費まで、順を追ってご説明します。

田中 茂

監修医師:
田中 茂(医師)

2002年鹿児島大学医学部医学科卒業 現在は腎臓専門医/透析専門医として本村内科医院で地域医療に従事している。
専門は内科学・腎臓内科・血液透析・腹膜透析・臨床疫学・生物統計学

IgA腎症の初期症状①|気づきにくい自覚症状の特徴

IgA腎症は、発症してしばらくの間は自覚症状がほとんど現れないという特徴があります。このセクションでは、初期段階でどのようなサインが身体に現れるのか、またそれがなぜ見落とされやすいのかについて解説します。

初期段階では症状が乏しいことが多い

IgA腎症の初期においては、痛みや倦怠感(けんたいかん)といったはっきりした不調を感じないことが大半です。腎臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれており、機能が低下してもなかなか自覚症状として現れにくい臓器のひとつです。そのため、多くの方が健康診断や学校での尿検査をきっかけに異常を指摘されて初めて気づくという流れになりがちです。

特に小学生や中学生の段階で発見されるケースがあるのも、学校での尿検査制度が機能しているためといえます。成人の場合も、職場の定期健診で「尿たんぱく」や「血尿」が陽性と判定されて受診する流れが一般的です。症状がないからといって安心できない点が、この疾患の難しさのひとつです。

IgA腎症の早期発見において、尿検査はとても重要な役割を果たします。尿に血液が混じる「血尿」や、たんぱく質が漏れ出す「尿たんぱく」は、腎臓に何らかの異変が起きているサインとして見逃せません。定期的な健診を受けることが、早期発見への第一歩といえるでしょう。

血尿・尿たんぱくが初期の重要なサイン

IgA腎症の初期に見られるサインとして、特に注意が必要なのが血尿と尿たんぱくです。血尿には、肉眼で尿が赤く見える「肉眼的血尿(にくがんてきけつにょう)」と、顕微鏡でなければわからない「顕微鏡的血尿(けんびきょうてきけつにょう)」の2種類があります。

IgA腎症では、のど(上気道)の感染症(かぜや扁桃炎など)にかかった際に、一時的に尿が赤くなる肉眼的血尿が起きることがあります。これはIgA腎症に特徴的な現象であり、発熱や喉の痛みから1〜3日以内に血尿が現れる点が特徴的です。通常の腎臓の病気とは異なるタイミングで出ることから、医師が診断の手がかりとすることもあります。

一方、顕微鏡的血尿は目で見てもわからないため、尿検査でしか発見できません。尿たんぱくについても同様で、泡立ちが気になる程度では病院を受診しない方も多く、知らず知らずのうちに病気が進行してしまうことがあります。こうした観点からも、定期的な健診の受診が非常に大切です。

初期症状を見逃さないための受診の目安

次のような状況に当てはまる方は、腎臓内科への受診を検討することが望まれます。

・健康診断で尿たんぱくや血尿を指摘された
・かぜをひいたあとに尿が赤くなったことがある
・むくみが気になる(特に朝の顔や足のむくみ)
・血圧が高めと言われている

これらのサインが重なるほど、IgA腎症を含む腎臓の疾患が関係している可能性が高まります。早い段階で腎臓内科を受診し、専門の医師による検査を受けることが、その後の経過に大きく影響します。放置してしまうと腎機能が少しずつ低下するリスクがあるため、気になる症状がある場合は早めに相談することが大切です。

まとめ

IgA腎症は、初期の段階では自覚症状がほとんどなく、健康診断で初めて発見されることが多い疾患です。免疫の異常によって腎臓の糸球体に炎症が生じ、放置すると腎機能が低下するリスクがありますが、早期に発見して適切な治療を続けることで、腎機能を長期間にわたって維持できる可能性があります。治療費については保険診療の範囲内で対応できることが多く、指定難病制度や高額療養費制度などの支援を活用することで、経済的な負担を軽減できます。気になる症状や尿検査の異常がある場合は、まず腎臓内科への受診を検討してみてください。一人で悩まず、専門の医師に相談することが、早期発見・早期対応への確かな一歩です。

参考文献

難病情報センター「IgA腎症(指定難病66)」

日本腎臓学会「IgA 腎症診療ガイドライン 2020」

日本腎臓学会「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023」

配信元: Medical DOC

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