普段から飲んでいるコーヒーを、ガーデニングで活用する方法を教えてくれる動画がYouTubeで話題です。投稿は記事執筆時点で13万回以上再生され、「最強じゃない!?」「なるほど」「試してみます」といった声が寄せられています。
動画を投稿したのは、YouTubeチャンネル『「カーメン君」ガーデンチャンネル(@Kahmen-Gardening)』。普段は総合園芸専門店に20年間勤めた経験を持つカーメンさんが、初心者にも分かりやすい園芸の楽しみ方や裏技を投稿しています。また、以前は春から栽培するのにおすすめな野菜とその品種を紹介する動画や、たくさんの多肉植物を育てている「スター」のお庭を訪問する動画が注目を集めました。
今回話題を呼んだのは、ガーデニングでコーヒーを活用する方法を教えてくれる動画です。害虫にコーヒーをかけると、春本番の5~6月に出てくる害虫に対して、忌避や退治の効果を期待することができるようで……?
コーヒーは天然成分なので庭でも安心して使えますが、しっかりと害虫に効かせるためにはコーヒーそのものを理解しなければなりません。そこで今回は実演を交えながら、効率的なコーヒーの利用方法を説明していきます。なお以前はコーヒーかすの利用方法を紹介しましたが、今回注目するのは液体のコーヒーです。
実はコーヒー自体に害虫忌避の効果はあるけれど、効くか効かないか決めるポイントはずばりコーヒーの濃度にあるとのこと。コーヒーは複数回楽しむお茶と異なり、基本的に飲むのは1杯目だけで、2杯目以降を楽しむことは少ないのではないでしょうか。
そのため1杯目は自分で飲みたいものですが、実は2杯目以降の成分が薄まったコーヒーを害虫に使っても効果が怪しいのだとか。2杯目以降のコーヒーやコーヒーかすにも害虫を忌避する効果がないわけではないけれど、効果は薄いと考えた方がいいと話します。
コーヒーが害虫に聞く最大の理由は、コーヒーに含まれる「カフェイン」が害虫にとって毒性を示すところにあります。そしてカフェインの濃度が低いと、害虫に対して効果が出てこないのだとか。
カフェインは植物が作り出す化学物質で、水やお湯に簡単に溶け出す、非常に抽出しやすい物質です。人間にとっては目覚まし、眠気覚まし、集中力アップや代謝を多少上げるといった作用があるといわれ、15~30、40分くらいで効き始めて、体内に5~6時間残る性質があるとされています。
カフェインが過剰摂取によって害する物質だとすれば、小さい虫にはもっと効果が期待できると考えるのは自然なこと。しかしカフェインに反応する虫はほぼ決まっていて、身近な害虫ではアブラムシ、ハダニ、コナジラミ、ナメクジ、カタツムリ、ミミズ、ミツバチに作用するそうです。
ただミツバチとミミズは植物にとって有益な生物であり、それらに効いてしまうと困る人もいることでしょう。とはいえミミズは土にコーヒーを大量にかけなければ問題なく、ミツバチは元々カフェインに寄って来る習性があるため、過剰に使わなければ大きな問題にはなりにくいようです。
カフェインを防除に使う際の濃度については、害虫の種類や目指す効果によって違いがあります。アブラムシでは0.01~0.05%の濃度で忌避、0.1%では食欲不振に陥らせることができて、0.5~1%で退治できるとのこと。
ハダニは0.05~0.1%の濃度で忌避と食欲不振を起こし、0.1~0.3%で繁殖を止め、0.5%で退治ができるのだとか。コナジラミは0.1~0.2%で忌避または繁殖を抑え、0.3~0.5%で退治、ナメクジは0.01%から忌避、0.05%で食欲不振を起こし、0.2~0.5%で退治ができるといいます。
人間が飲むコーヒーの味でいうと、カフェイン濃度が0.1%になるとかなり濃くて苦くなります。逆に言えばそこまで濃くしないと害虫には作用せず、また害虫にも個体差があるため、強く反応する個体と反応しない個体がいるのだと説明します。
また一般的なドリップコーヒーの場合、1杯目を抽出したときのカフェイン濃度は大体0.05%とのこと。コーヒーかすを煮込んで水分を蒸発させ、カフェインの濃度を無理やり上げることもできますが、正直あまり実用的な方法とは思えません。
ではコーヒーから最大量のカフェインを取り、ガーデニングで利用するにはどうすればいいのでしょうか。その回答はずばり、インスタントコーヒーを利用すること。インスタントコーヒーはドリップコーヒーと異なり成分を丸ごと利用できるため、大量のカフェインを抽出できるのです。さらに作る量や濃度を調整しやすい点も、非常に便利だと言えます。
インスタントコーヒー100グラムの中にはカフェインが約4グラム入っており、100ミリリットルの水にインスタントコーヒー2.5グラムを入れると、カフェインの濃度が0.1%になります。そして濃度が0.1%あれば、植物への被害を防ぐ程度の作用を期待できます。なおインスタントコーヒーを12.5グラムにすると0.5%の濃度となり、害虫忌避や退治の効果を期待することも可能です。
ここからは実際に0.1%のコーヒーを作って、植物などに噴霧する実演をやっていきます。ただ100ミリの水はかなり少ないため、実際に使う際は300ミリくらいを基準に作るとよさそうです。実際に作ってみた0.1%濃度のコーヒーは普通に飲むには苦すぎる、エスプレッソに近い味わいでした。
続いて取り出した、前日に作っておいた0.5%濃度のコーヒーはとろみがあって匂いから苦く、試しに飲むとあまりの苦さに口が閉じられず、水を飲まずにはいられない味でした。なお熱湯を植物にかけるとダメージを与えてしまうため、作ったコーヒーは一晩くらいおいてから使ってくださいね。
なおコーヒーは害虫を忌避する薬よりもコストが安い場合もあり、子どもにも比較的安心ですが、かけることで植物が傷んでしまう可能性があります。コーヒーをかける際は害が出ないか確認するため、目立たない下側の葉や葉の裏側から試してください。新芽や葉っぱが柔らかめの植物は特に要注意です。
ここで実際に0.5%濃度のコーヒーをスプレー容器に入れて植物にかけてみると、葉が茶色に染まってしまいました。コーヒーに染まった葉が日に当たると日焼けの原因となる可能性があるため、日中は避け、夕方から使うようにしてください。
またコーヒーは雨で落ちてしまうため、害虫の予防にはあまり効果がないと考えられます。これらのことを考えるとコーヒーは予防的に使うのではなく、害虫がいる状態で使った方がよさそうですね。
今回紹介した害虫の中で最もカフェインに反応するのはナメクジなので、特に0.5%濃度のコーヒーはナメクジにフォーカスするとよさそうとのこと。ナメクジが発生しがちな鉢底などにかけておいたり、直接かけたりすれば、退治までできる可能性があります。ただし壁やタイルは染みになる可能性が高いため、影響も少なく分解もされる、地面や土の上での使用をおすすめします。
今回の検証の結果、コーヒーを使った害虫の忌避は可能ではあるけれど、現実的ではない部分も少なくないと言ってよさそうです。また害虫への効果が期待できるとはいえ、0.5%濃度は植物へのリスクも高いため、0.05%くらいの薄いコーヒーをかけて様子を見るのが無難かもしれません。
コーヒーは天然成分で人体への害が少ないけれど、最近は天然系の成分を使ったナメクジ用の薬剤も販売されているため、それらを活用するのが一番無難だと思うと話すカーメンさんなのでした。
この投稿に対し、YouTubeでは「コーヒー飲みながら見てます、今や農薬のほうがコーヒーより安くなってしまって……」「カフェインが効能のメインなら、緑茶でも効きそうな気がしますね」「コーヒー活用してみます」「口に合わないフレーバーコーヒーや少し湿気てしまったコーヒーの粉が増えていたので早速試します」などの声が寄せられました。
カーメンさんはYouTubeチャンネル『「カーメン君」ガーデンチャンネル(@Kahmen-Gardening)』の他にも、X(Twitter/@masterKahmen)やInstagram(@kahmenkun)で情報を発信中。園芸資材の使い方や植物を育てるうえで注意すべき点など、ガーデニングで役立つ動画などを見ることができます。
動画提供:YouTubeチャンネル『「カーメン君」ガーデンチャンネル(@Kahmen-Gardening)』

