連絡ツールとして欠かせない存在となったメッセージアプリ『LINE』。
複数人と同時にやり取りができる『グループ機能(以下、グループライン)』は便利ですが、時に他者を傷つけるような発言や仲間外れのような、嫌がらせに発展することがあります。
「身内だけのクローズドな空間だから大丈夫」と、軽い気持ちで書き込んでいる人もいるかもしれません。
しかし、その何気ない書き込みや、やり取りの取り扱いが、法的に厳しい責任を追及される引き金になる可能性があるのです。
グループLINEの悪口、法的責任を問われることはある? 弁護士が解説
『グループライン』での悪口は、果たして名誉毀損になるのでしょうか。
大阪府大阪市で、まこと法律事務所を運営する北村真一弁護士にうかがいました。
弁護士『身内だけの空間でも名誉毀損は成立することがある』
※写真はイメージ
――『グループライン』での悪口や誹謗中傷は、名誉毀損に当たりますか。
名誉毀損罪が成立するためには、不特定または多数の人が知り得る状態である『公然性』が必要となります。
そのため、招待された特定のメンバーしか閲覧できない通常の『グループライン』では、原則として名誉毀損は成立しにくいと考えられます。
――では、少人数のグループであれば何を書いても安全ということでしょうか。
そこには『伝播可能性(でんぱかのうせい)』という法律上の考え方があります。
たとえ少人数のグループであっても、メンバーの誰かが「その内容を外部に漏らす(伝播させる)可能性」がある場合、公然性の要件を満たしていると判断され、名誉毀損が成立することがあるのです。
特にグループの人数が数十人、数百人と大規模になるほど、このリスクは高くなります。
※写真はイメージ
――本人がグループに参加している場合と、参加していない場合で扱いは変わりますか。
本人が参加していない場での悪口は、前述したように伝播可能性を伴う『名誉毀損罪』に該当する可能性があります。
一方、本人が参加しているグループ内で直接罵倒するような行為は、具体的な事実を挙げていなければ『侮辱罪』に、また本人の社会的評価を不当に傷つけたとして、民事上の『名誉感情侵害』による損害賠償を請求されるケースがあります。
本人がその場にいるからといって、罪を免れるわけではありません。
LINEのスクショ流出、責任が重いのはどっち?
――悪口を書き込んだ人と、そのスクリーンショット(以下、スクショ)を外部に流出させた人では、どちらが大きな法的責任を問われるのでしょうか。
実は、スクショを流出させた『さらした人』のほうが、重い法的責任を問われる可能性が高いです。
書き込んだ人は『クローズドな空間』で発言したにすぎず、公然性を満たしていない可能性があります。
しかし、それをスクショして公開のSNSなどに投稿した人は、自らの手で情報を『公然と拡散させた本人』になるからです。
流出させた人は、被害者に対する名誉毀損罪や侮辱罪だけでなく、プライベートな会話を勝手に公開したことによる『プライバシー権侵害』としての損害賠償義務を負う可能性もあります。
――『LINE』でのトラブルを防ぐために、私たちが意識すべきことはなんでしょうか。
『LINE』は手軽なツールですが、一度送信したテキストや画像は『デジタルな証拠』として形に残ります。
軽い気持ちでの悪口や、腹が立ったからといってスクショをさらす行為は、どちらも自分自身の首を絞める結果になりかねません。
お互いのプライバシーを守るためのモラル
※写真はイメージ
この問題は、法律の解釈以上に、ネット社会における『モラル』が大切なのだと感じます。
閉じた空間だからと、安易に他人の尊厳を傷つける言葉を放たない。
他人のやり取りを、勝手な正義感や復讐心で外部にさらさない。
一瞬の感情に任せた送信ボタンやスクショの投稿。
そこに少しだけ「これが公になったらどうなるか」という想像力を働かせることが、不要なトラブルに巻き込まれないためのマナーといえそうですね。
[文・取材/LUIS FIELD 構成/grape編集部]

