指定難病の1つに、「ベーチェット病」という病気があります。一般的には、あまりなじみがなく、「病名は聞いたことがあるけれど、詳しくはよく知らない」という方も多いのではないでしょうか。
ベーチェット病は働き盛りの男女に発病する病気で、研究は進んでいるものの原因も治療法もまだ確立されていません。ベーチェット病とはどんな病気なのか?
この記事では、ベーチェット病の特徴的な検査方法について解説しています。ベーチェット病についての理解と知識を深めていきましょう。
※この記事はメディカルドックにて『「ベーチェット病」を発症すると現れる症状はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。
ベーチェット病の診断や治療方法

検査方法を教えてください。
主な検査として、問診や触診・血液検査・髄液検査・遺伝子検査・皮膚の過敏反応を診る検査(針反応)・画像検査(MRI)などがおこなわれます。ベーチェット病の主症状である口腔潰瘍や外陰部潰瘍・皮膚症状や眼症状があるかどうか、血液検査では炎症を示す数値が高いかなど、詳しく調べる検査です。遺伝子検査ではベーチェット病でよく見られるHLAを調べ、髄液検査では採取した髄液から細胞の数や炎症を起こす物質の量などを調べます。
また、腹部CTやMRIの画像検査は、血管に動脈瘤や血栓ができていないか確認するためにおこなう検査です。
診断はどのように行われますか?
ベーチェット病の症状は、他の病気でも現れる症状であるため、1度の診察で診断をすることは難しいです。「どんな症状が現れているのか」「症状が出たり、治まったりを繰り返しているのか」「他の病気の可能性はないか」などを注意深く観察していきます。経過観察や検査をしながら、最終的に診断されるので、ベーチェット病と診断されるまでに時間がかかる場合もあるでしょう。厚生労働省では、4つの主症状と5つの副症状(関節炎・血管病変・精巣上体炎(副睾丸炎)・消化器病変・中枢神経病変)の組み合わせが診断基準になっており、ベーチェット病はそこからさらに3種類に分類されます。
完全型ベーチェット病
ベーチェット病の主症状である「口腔粘膜のアフタ性潰瘍」「外陰部潰瘍」「皮膚症状」「眼症状」の4つが現れているものです。
不全型ベーチェット病
以下の4つの組み合わせから診断されます。
1)主症状が3つ現れている。
2)主症状が2つ+副症状が2つ現れている。
3)眼症状+他の主症状1つが現れている。
4)眼症状+他の主症状2つが現れている。
特殊型ベーチェット病
4つの主症状は見られないものの、副症状の関節炎・血管病変・精巣上体炎(副睾丸炎)・消化器病変・中枢神経病変が現れている状態です。
治療方法を教えてください。
ベーチェット病について研究も進み、様々な治療薬が開発されていますが、現段階では完治させる治療法はまだありません。患者さんのそれぞれの症状に合わせた生活の指導や、薬物療法が治療の基本です。ベーチェット病は、何かしらの原因で免疫が過剰に反応してしまい、炎症が起こることで様々な症状が現れる病気のため、過剰に反応してしまった免疫を抑える薬が使用されます。
炎症に対しては炎症を鎮める薬や免疫抑制剤、痛みがある時は鎮痛剤など、患者さんそれぞれの症状に合わせた適切な薬です。
編集部まとめ

ベーチェット病は身体の免疫機能が何かしらの原因で過剰に反応してしまい、身体の広範囲に渡って炎症が起きることで、様々な症状を引き起こす難病です。
なじみのない疾患で、潰瘍など他の疾患でもみられる症状なため自分では気が付かないことも多いでしょう。
病院へ検査に行ってもすぐに診断されないこともあります。しかし、放っておくと悪化し失明などの大きな症状を引き起こすこともあるので注意が必要です。
現在は治療薬なども開発され予後が良くなってきているため、病院を受診し早期に発見することが大切です。
指定難病ということもあり完治することは現状難しいのですが、症状に対し薬物療法など行い対処します。
病気とうまく付き合っていくためにも思い当たる症状がありましたら、病院を受診し治療を行うようにしましょう。
参考文献
指定難病(厚生労働省)
ベーチェット病(難病情報センター)

