
SNSの発信を中心に子育て世代から関心を集める木下ゆーきさん。そんな木下さんが経験したのは先天性永久歯欠損(生まれつき永久歯の数が足りない状態)でした。子どもの歯の成長は個人差が大きく、見逃されやすいトラブルも少なくありません。そこで今回は木下ゆーきさんの実体験をもとに、子どもの歯の生え変わりやむし歯予防、歯並びの矯正などをテーマにお話を伺い、歯科医師の桜井恵中先生に一般的な知見から解説していただきます。
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インタビュー:
木下ゆーき(タレント)
愛知県出身。SNSで発信する「笑える子育て動画」が話題となり、総フォロワー数200万人を超える子育てインフルエンサー。TV番組出演やコラム執筆、トークライブなど多方面で活躍する。著書に『世界一楽しい子育ての本』などがある。自身の経験を生かし、日々子育てに奮闘する親たちに笑いと元気を届けている。

監修医師:
桜井恵中(歯科医師)
東京歯科大学卒業。父の背中を追い歯科医師を志す。大学卒業後、都内や千葉県内の歯科医院勤務を経て、2023年に習志野市にて「SAKU Dental Clinic」を開院。日本小児口腔発達学会理事を務め、「治療をなくすこと」を目標として予防歯科に特化した診療に注力する。患者さんが生涯健康な歯で過ごせるよう、誠実に寄り添っている。


桜井先生
木下さんの先天性永久歯欠損はいつごろ発覚したのですか?
木下さん
数年前だったと思います。先天性永久歯欠損が4本あり、生え変わらずに残ったままになっている乳歯の将来的な脱落も踏まえて、抜歯や歯列矯正による対応を提案されました。
桜井先生
すぐに治療を受けましたか?
木下さん
忙しさから当初は治療を先延ばしにしていました。親知らずを抜いた場所の歯周病リスクやかみ合わせの問題を指摘され、昨年(2025年)秋に抜歯を行い、現在は裏側矯正(歯の裏側に装置をつける方法)で治療を進めています。
桜井先生
裏側矯正など矯正方法によるメリットやデメリットについて説明はありましたか?
木下さん
はい。裏側矯正だと見た目が目立たずビジュアル面は保てる一方で、喋りづらくなるなどの影響があると聞きました。
桜井先生
説明を聞いたうえで、どのように治療を選択されたのですか?
木下さん
説明を受けた当初は、ビジュアルよりも喋りを重視して表側矯正(歯の表側に装置をつける方法)を選ぼうと考えていましたが、周囲の意見も参考にして最終的には裏側矯正を選びました。
桜井先生
何か生活に支障はありましたか?
木下さん
最初はしゃべりづらくて、滑舌も悪くなりました。特に「たちつてと」の“つ”や、サ行が言いにくくて、支障を感じたことを覚えています。
桜井先生
今は自然に感じますね。
木下さん
ここ最近は慣れてきたと思います。
桜井先生
木下さんが受けた治療についてもう少し詳しく教えていただけますか?
木下さん
僕は歯の本数にばらつきがあり、矯正治療のために下の乳歯を2本、右上の乳歯を1本、さらに左上の永久歯を抜歯しました。今も右上に乳歯が1本残っていて、矯正で歯並びを整えた後に残った乳歯を抜き、インプラント治療を行う予定です。
桜井先生
木下さんが先天性永久歯欠損だった場所はどこですか?
木下さん
僕は上の右側に2本、下の左右に1本ずつ欠損がありました。場所は前歯から数えて4番目と5番目の歯だったと思います。

桜井先生
日本小児歯科学会の調査によると、先天性永久歯欠損は約10%の確率で起こるといわれており、決して珍しいことではありません。特に前歯から数えて上下の2番目や5番目の歯で生じやすいとされています。木下さんの欠損の部位と本数は、左右非対称でかつ本数も多く、珍しいケースだと思います。
木下さん
もし治療せずに放置した場合はどんなリスクがありますか?
桜井先生
かみ合わせに大きな問題がなければ、そのまま使用することに問題はありません。ただし、歯が抜けてかみ合わせも不安定になると、長期的にはトラブルにつながる可能性があります。
木下さん
僕も八重歯の位置に乳歯が残っていることで本来のかみ合わせが作られず、結果として奥歯に負担が集中している可能性があると説明を受けました。
桜井先生
そうですね。ほかにも前から3番目の歯は、あごの動きをガイドして奥歯の負担を軽減する役割があるとされています。前から3番目の歯が乳歯のままだと、奥歯に負担が集中する可能性があります。
木下さん
乳歯の位置やかみ合わせによっては、ほかの歯に負担がかかってしまう可能性があるということですね。
桜井先生
先天性永久歯欠損の治療は、欠損している場所や本数によって対応が大きく変わるため、確実な正解はありません。状況に応じて矯正治療やインプラントなどの選択肢を組み合わせて治療を検討することもあります。
木下さん
先天性永久歯欠損は何歳くらいで見つかることが多いですか?
桜井先生
前歯の場合は、6歳ごろから生え変わりが始まるので、その時点で歯の本数が足りずに気づくケースが多いと思います。また、前歯から数えて5番目の歯が最後に生え変わることが多いと言われているため、ほかの歯が生え変わっているのにもかかわらず、該当の歯だけ抜ける様子がなく発覚することもあります。
木下さん
そういった意味では、定期検診って大切ですね。生え変わりで乳歯が抜けずに残ってしまった場合は、どうしたら良いのでしょうか?
桜井先生
本来、乳歯は永久歯との入れ替わりの時期に根っこが自然に溶けて短くなり、自然に押し出されるように抜け落ちるようにできています。このため、歯がグラグラしている(動揺)状態なら自然に抜けるのを待って大丈夫です。一方、永久歯が横や後ろから見えてきているのに乳歯がグラグラしていない場合は、抜歯が必要になることが多いです。しかし、永久歯欠損があって乳歯がしっかり機能して残っている場合は、積極的に抜歯する必要はないと思います。どのパターンに当てはまるかは、保護者では判断がつきにくいかと思いますので、歯科医院でのX線(レントゲン)等でしっかり確認してもらう必要があります。
木下さん
僕が子どものころは、歯に何か不具合が出てから歯医者に行くという感覚でした。今も同じですか?
桜井先生
現在は、不具合が出る前に歯医者へ通って問題を未然に防ぐ、予防が重視されるようになってきています。歯医者は症状がなくても検診やクリーニングで通えて、健康な状態を維持するために活用できる場だと思います。
木下さん
子どものころから、予防で病院に行く頻度は多くありませんよね。
桜井先生
大人でも歯科治療は負担に感じるので、子どもにとっての負担も大きいと思います。つらい治療を避けるためにも、定期的に歯の状態を確認しておくことが大切ですね。定期的に通っていれば、歯医者を「痛いことをする場所」ではなく、歯をきれいにしてもらえる前向きな場所として捉えやすくなると思います。
木下さん
最初の受診がいきなり大きな治療だと、「歯医者=怖い場所」という印象がつきやすいですが、日ごろから通っていれば、「怖くない場所」として受け入れやすくなりますよね。ふだんからの関わり方次第で、子どもの歯医者に対するイメージは大きく変わりそうですね。
桜井先生
無理に意識させるのではなく、よい習慣として自然に身についていくことが大切だと思います。
木下さん
生え変わりの時期に気をつけることや、起こりやすいトラブルはありますか?
桜井先生
乳歯がまだ抜けていないのに後ろから永久歯が生えてきて、「二枚歯」のように見えるのはよくあるケースです。乳歯がグラグラしている状態であれば、多少後ろから生えてきても、最終的には自然に正しい位置に収まることが多いとされています。一方で、乳歯があまり動いていないのにもかかわらず永久歯が生えてきている場合は、スペース不足などの可能性もあるため、受診を検討してください。
木下さん
歯がグラグラで抜けそうなときは、親が抜いてあげてよいのでしょうか?
桜井先生
絶対にダメというわけではありません。ただ、出血や痛みにつながることもあるので、無理に抜く必要はなく自然に抜けるのを待つのが理想だと思います。

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