結婚して初めて義実家で夕食をごちそうになったときのことです。大皿に山盛りの唐揚げが並び、食卓を囲んだ家族全員で取り分けながら楽しく食べていました。食事も終盤に差しかかり、最後の一つだけが残った唐揚げを見て、「誰も食べないならもったいないな」と思い箸を伸ばした瞬間、義母と義姉がほぼ同時に「待って!」と声を上げて私を止めたのです。
初めて義実家で食事をすると…
突然のことに焦り、何かマナー違反でもしてしまったのかと戸惑いました。そんな私を見かねて、義母が「最後の一個は義父が食べるかどうか確認するまで、誰も取らないのがうちのルールなの」と教えてくれました。
その間、義父はテレビを見ながら特に唐揚げを気にかける様子もなく、のんびり食事を続けていました。それでも、家族全員がその唐揚げに誰も手をつけず、じっと待機する様子にびっくりしました。
しばらくして、義母が「お父さん、最後のひとつどうする?」と声をかけ、義父が「いらないよ」と答えたあとで、ようやくみんなが食べていいという空気になりました。私の実家では最後の一個は「早い者勝ち」が基本だったので、この光景はまるで儀式のように感じられ、不思議で仕方ありませんでした。
その後も義実家を訪れて「最後の一個は義父確認」のルールを目にするたび、「これは義父本人が主張して決めたというより、家族が自然と受け継いできた習慣なのだ」と理解するようになりました。特に義父自身は気にしていない様子でしたが、それでも家族全員がそのルールを続けているのが印象的でした。
最初は驚きと戸惑いを覚えましたが、家庭によって「当たり前」と思うことがこれほど違うのだと実感しました。結婚すると、相手の家庭のルールや文化に触れる瞬間が増えるものです。驚くようなことがあってもすぐに否定するのではなく、「こういう考え方もあるんだな」と受け入れる姿勢を持つことの大切さを、この出来事を通じて学びました。今では、このルールに驚いた日のことを、家族と笑い合えるようになりました。
著者:金本 由紀/40代女性・パート
結婚生活14年目のパート主婦。愛猫の介護をしている。
作画:あやこさん
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年5月)

