風しんってどんな病気?はしかとも違うの?これから赤ちゃんが欲しい人・産む予定がある家族が居る人は特に知っておきたい「風しん」について、今回はたけうちファミリークリニック院長の竹内雄毅先生にお伺いしました。

「風しん」という病気をご存じでしょうか?
お子さんの予防接種で名前を聞いたことはあっても、「実際にはどんな病気なの?」「麻しん(はしか)とは違うの?」と疑問に思う方も多いかもしれません。
風しんは子どもがかかる感染症のひとつですが、実は妊娠中の女性が感染すると、お腹の赤ちゃんに大きな影響を及ぼすことがある病気として知られています。
今回は、風しんの症状や予防法、妊娠との関係について分かりやすくお話しします。
風しんってどんな病気?主な症状と治療法
風しんは「風しんウイルス」によって引き起こされる感染症です。感染者の咳やくしゃみなどの飛沫(ひまつ)を吸い込むことで感染が広がります。
感染してから約2〜3週間の潜伏期間(症状が出ない期間)を経て、次のような症状が現れます。
●発熱(37〜38℃程度)
患者さんの約半数に見られます。
●全身の発疹
淡いピンク色の小さな発疹が顔から始まり、体や手足へ広がっていきます。通常は3日程度で消えるため、「三日はしか」と呼ばれることもあります。
●リンパ節の腫れ
とくに耳の後ろや首のリンパ節が腫れるのが特徴で、発疹が出る数日前から始まり、数週間続くことがあります。
子どもの場合は症状が軽く済むことも多く、「風邪かな?」と思っているうちに治ってしまうケースもあります。一方で、大人が感染すると高熱や関節痛が強く出ることがあり、仕事や日常生活に支障をきたすことも少なくありません。
また、感染しても症状がまったく出ない「不顕性感染(ふけんせいかんせん)」の人が15〜30%ほどいるため、本人が気づかないうちに周りの人にうつしてしまうリスクがある点も厄介です。
残念ながら、風しんウイルスそのものを治す特効薬はありません。
発熱やだるさに対して解熱鎮痛剤を使うなど、症状を和らげながら自然に回復するのを待つ「対症療法」が中心となります。だからこそ、治療よりも予防が大切な病気なのです。
妊娠中の感染が問題になる理由:「先天性風しん症候群」とは
風しんが特に問題になるのは、妊娠初期の女性が感染した場合です。
風しんに対する免疫(抵抗力)が不十分な妊婦さんが、妊娠20週頃(妊娠初期から中期)までに感染すると、ウイルスが胎盤を通して赤ちゃんにも感染してしまいます。その結果、赤ちゃんが次のような障害を持って生まれてくる可能性があり、これを「先天性風しん症候群(CRS:Congenital Rubella Syndrome)」と呼びます。
先天性風しん症候群で発症する主な症状例
○先天性心疾患(心臓の病気)
○白内障などの目の病気
○難聴
○発達の遅れ
特に妊娠初期の感染ではリスクが高く、妊娠1か月での感染では赤ちゃんに影響が出る確率が50%以上ともいわれています。妊娠週数が進むにつれてその確率は下がっていきますが、妊娠20週頃までは注意が必要です。
そのため、風しんは「子どもの病気」というよりも、「未来の赤ちゃんを守るために社会全体で予防すべき病気」と考えられています。

風しんワクチンはいつ受ける?定期接種のスケジュール
風しんを予防する最も確実な方法は、ワクチンを接種することです。日本では、麻しん(はしか)と風しんを同時に予防できる「MRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)」が広く使われています。
定期接種(原則無料)の対象は、以下の2回です。
・1歳になったら1回目
・小学校入学前の1年間(年長さんの時期)に2回目
2回接種することで、ほとんどの人が十分な免疫を獲得できるとされています。保護者の方は母子手帳を確認し、お子さんが2回の接種を終えているかどうか確認してみましょう。
大人も注意が必要です:パパや家族の役割
実は近年の風しん流行では、大人の男性を中心に感染が広がったことがありました。これは、年代によって風しんワクチンの接種制度が異なり、十分な免疫を持っていない人がいるためです。
妊娠を希望している女性はもちろん、そのパートナーや同居する家族も免疫を持っていることが重要です。妊婦さん本人は妊娠中にワクチンを接種できないため、周囲の家族が外からウイルスを持ち込まないようにすることが、ママとお腹の赤ちゃんを守る大きな盾となります。
これから妊娠を希望する女性は、まずご自身に風しんの免疫があるかどうか、血液検査(抗体検査)で確認することをおすすめします。もし免疫が不十分だった場合は、妊娠前にワクチンを接種しましょう。
ただし、MRワクチンは「生ワクチン」という種類のため、妊娠中の方は接種することができません。また、ワクチン接種後、約2か月間は妊娠を避ける必要があります。妊娠を計画する段階で、余裕を持って接種スケジュールを組むことが大切です。
風しん以外にも!妊娠前に確認しておきたいワクチン
妊娠を考える上で、風しん以外にも確認しておきたいワクチンがあります。代表的なものとして、以下が挙げられます。
●麻しん(はしか)
感染力が非常に強く、妊娠中の感染は流産・早産のリスクを高めます。
●水痘(水ぼうそう)
大人が初めて感染すると重症化しやすく、妊娠初期〜中期の感染は赤ちゃんへの影響が懸念されます。
●おたふくかぜ
妊娠初期の感染は流産のリスクが高まるとされています。
これらはいずれも生ワクチンであるため、妊娠中は接種できません。妊娠を計画し始めたタイミングで、かかりつけの医師に相談し、ご自身の母子健康手帳などで過去の接種歴を確認しておくことをおすすめします。
まずは母子手帳を確認してみましょう
風しんは、子ども自身が重症化することは多くありません。しかし、妊娠中の感染によって赤ちゃんに大きな影響を及ぼす可能性があります。
予防するために最も大切なのはワクチン接種です。まずはお子さんの母子手帳を開いて、MRワクチンを2回接種できているか確認してみてください。
また、妊娠を希望している方やそのご家族は、風しん抗体検査やワクチン接種について、かかりつけ医に相談してみると安心です。家族みんなで免疫を持つことが、未来の赤ちゃんを守ることにつながります。
不安なことやわからないことがあれば、お近くの医療機関や保健所にも気軽に相談してみてください。
【参考文献】
厚生労働省「風しん」
厚生労働省「MRワクチン」
国立健康危機管理研究機構「風しん(詳細版)」
日本産婦人科感染症学会「妊娠前に接種が推奨されるワクチン」
NPO法人VPDを知って、子どもを守ろうの会「オトナのVPD:妊娠・子育て世代」
※本記事の作成にあたり、文章表現の確認や校閲の一部に生成AIを使用しております。
執筆者

竹内雄毅
医学博士・小児外科専門医。京都府精華町「たけうちファミリークリニック」院長。京都府立医科大学小児外科客員講師。
小児科・小児外科の診療に加えて、地域の子どもを安心して預けられる病児保育を運営し、さらに絵本の読み聞かせや離乳食教室、ベビーマッサージなどの子育てイベントも展開している。クリニックを「行きたくない場所」ではなく「行きたくなる場所」に変えることを目指し、医療を軸としたコミュニティデザインに力を注いでいる。現在は、隣接地に人が自然に集まり安心して交流できる広場の構想を進めており、家族と地域が互いに支え合える環境を形にしていこうとしている。

