脳トレ四択クイズ | Merkystyle
【ネタバレあり】生と死にまつわる深夜の女子会なんて観たことない。映画『急に具合が悪くなる』

【ネタバレあり】生と死にまつわる深夜の女子会なんて観たことない。映画『急に具合が悪くなる』

ちょっとした時間があるとき、未見の映画やドラマに手を出したいんだけど、分かんないから好きなのを繰り返し観ちゃう……という方。映画ライターよしひろまさみちが実際に観て偏愛する作品を、ネタバレ上等な私見&本音でおすすめしますよ〜。

よしひろさん、「きのう何観た?」
『急に具合が悪くなる』

story パリ。介護施設の施設長マリー(V・エフィラ)は、ユマニチュードを実践しようとするも、慢性的な人員不足とスタッフの反発でうまく仕事を回せないでいた。そんなとき、たまたま彼女が知り合った演出家・真理(岡本多緒)の手がける舞台を鑑賞。彼女達は急速に仲を深めるのだが……。
監督・脚本:濱口竜介/原作:宮野真生子、磯野真穂(晶文社)/出演:ヴィルジニー・エフィラ、岡本多緒、長塚京三、黒崎煌代 ほか/配給:ビターズ・エンド/公開:6月19日より、Bunkamura ル・シネマ渋谷宮下ほか全国ロードショー
© 2026 Cinéfrance Studios – Arte France Cinéma – Office Shirous – Bitters End – Heimatfilm – Tarantula – Gapbusters – Same Player – Soudain JPN Partners

誰が観ても別のところに目がいく全方位型傑作

ようやく皆さんにご覧いただける〜! と、あたし歓喜しております。『急に具合が悪くなる』! カンヌ国際映画祭で主演のヴィルジニー・エフィラさんと岡本多緒さんが女優賞をW受賞した話題が、『Michael/マイケル』の来日以降かきけされた感がありまして、ちょっと不安だったんですよ〜(マイコーとは上映規模が全然違うし)。ともあれ、ついにですよ。あたしが上半期で観た新作で邦画のトップにしている“急グワ”ですもの。プッシュせずにはいられません。あ、エフィラさんと岡本さんの受賞直後インタビューも、オトナミューズWebで掲載中なので合わせて読んでね。

ユマニチュードの現場。これができればまさに極楽の老後なのよ……難しいけど。

この映画、何がすごいかって、観る人によってフォーカスする場所が変わること。というか、あらゆる方向から感動が攻めてくる感じ。往復書簡を再構成した原作も素晴らしいんだけど、あれを劇映画にしただけでも驚きだし、舞台をフランスにした理由もちゃんとあるし、どこから観ても納得しかない! しかもよ、3時間16分あるはずなのに、体感は2時間弱!


 


いろいろポイントあるんですが、個人的に刺さったところを紹介しますね。それが、マリー=ルーが施設長を務める介護施設で導入したばかりという設定の「ユマニチュード」。これはフランス生まれの「被介護者の立場にとことん寄り添ったメソッド」。最近、NHKをはじめとする放送局がこぞってドキュメンタリーで紹介している新しい介護の形なのよ。それで興味を持っていたこともあったんだけど、あぁ、なるほど現場はこういう感じか、というのがよく分かる。これね、成功すると最強の介護環境なんだけど、導入したてのところでは絶対こうなるよね……っていうアルアルばかり出てくるの。

あたしも含めて、介護を一度でも経験した人だったら目からウロコ。理想と現実の板挟みにあってどっぴんしゃんなマリー=ルーの気持ちも分かるし、現場で「夢語ってんじゃねーよ」とキレ気味のベテラン看護師の気持ちもよ〜く分かるし。あぁ、新しいことをやろうとするとこういう軋轢絶対出る! ってことの連続なの。それゆえに、マリー=ルーのパートはめちゃくちゃスリリング。

深夜の女子会。どうしてこうなったかは観てからのお楽しみよ。

あともうひとつピックアップするとしたら、深夜の女子会シーンね。偶然に出会ったとはいえ、お互いに同じ名前で共鳴するところもいろいろある真理さんとマリー=ルーが、急速に関係を深めた夜。マリー=ルーの施設の待機部屋で「コーヒー入れるわね。あ、スナックくらいはあるかしら」なんてお茶会が始まるんだけど、話の内容は生と死にまつわるお金のお話。それも、トマ・ピケティもびっくりな21世紀の経済学的な内容を、あくまで出会ったばかりの2人が興味を持っている範囲内で語り合うの。こんな女子会、観たことないし、むしろやってみたい(が、能力不足だわ)。


 


いずれにしても絶対観て。そしてあたしが語ったように観た人同士でしか語り合えないことがわんさか出てくるから!


 


あ、舞台俳優役で登場する長塚京三さんのひとり芝居シーン、めちゃトレビアンよ。さすがソルボンヌ大卒!

提供元

プロフィール画像

オトナミューズウェブ

「37歳、輝く季節が始まる!」がキャッチコピー。宝島社が発行する毎月28日発売のファッション誌『otona MUSE』がお届けする、大人のためのファッション・ビューティ・ライフスタイル情報!