息子が2歳のころ、私たち家族はアパートの1室に住んでいました。しかし、買い物などで家を空けると、部屋の様子が変わっていることがあったのです。「気のせいかも」と思いながらも、私は不信感を募らせます。
部屋の様子が変!疑念と恐怖が募る…
ある日、長男を連れて買い物に出かけて帰宅すると、使用したお皿がきれいに洗われていました。皿洗いをした覚えがなかったのですが、そのときの私は育児や家事に精一杯。「記憶が曖昧になっているのかな」と、あまり気にかけませんでした。
しかし、また別の日に長男と外出して帰宅し、洗濯物を取り込みにベランダへ出ると、再び違和感を覚えます。いつも、厚手の服は外側の物干し竿に、薄手の服は内側の物干し竿にかけるのですが、よく見ると洗濯物の配置が変わっていたのです。
部屋が荒らされているわけでもなく、帰ってきたときも鍵は閉まっていたはず。「どういうこと?」と疑念を抱きつつも、夕飯の時間が迫っていたので、私は準備に取り掛かりました。しかし、買っておいたお肉を使おうと冷蔵庫を開けると……見当たりません。冷凍庫を見ると、探していたお肉がきれいにラップに包まれ、冷凍されているのです。冷凍した記憶はなかったので「夫がしてくれてたのかも?」と考えるしかありません。
しかし、帰宅した夫に聞くと、「俺は何もしてない。お前がしたんじゃないの?」と言うのです。「そうしたら、誰かが家に入って勝手にしているということ? 不審者?」と不安になり夫と貴重品を確認するも、特に触られた形跡はありません。私は疑念を通り越して、恐怖すら覚えてしまいました。
今後同じようなことが続くなら、警察に相談してみようと考えていましたが、その後は不審な様子はありませんでした。そんなある日のこと、私は長男と外出し、帰って玄関ドアに鍵を差し込みました。ところが、鍵が空いています。こんな不安なタイミングで鍵を閉め忘れてしまったのかと、反省しながら慌てて中に入った瞬間、部屋から義母が顔を出したのです。「お義母さん!?」と驚くと、義母は「あらいやだ、おかえりなさい」とにこやかに迎えます。
「何をしているのですか? どうやって中に入ったのですか?」と少し怯えながら聞くと、「大家さんから鍵を借りたのよ」と、義母はこともなげに返答。「じゃあ、皿洗いがしてあったり、洗濯物の配置が変わっていたり、お肉が冷凍されていたり……。あれは全部お義母さん……!?」と言うと、「そうよ。ダメだった?」と平然としています。
詳しく聞くと、義母は大家さんと古くからの友だちで、「嫁が体調を崩して寝込んでいるから、中に入って助けてあげたい」と嘘の緊急事態を伝えて鍵を借りたのだそう。
「だって、事前に『手伝いに行く』なんて連絡したら、あなた私に気を使って断るでしょ? 私が若いころ、お姑さんが留守の間に家事を済ませておいてくれてね。すごくうれしかったから、サプライズで助けてあげようと思って……」と、まるで「うれしいでしょ?」とでも言いたげな雰囲気の義母。しかし私にとっては恐怖でしかありませんし、予想外すぎる事態に絶句。
そしてだんだんと怒りがこみ上げ、思わず「いくら自分の息子の家でも、勝手に入って中をいじるのは非常識だと思います! 次同じことをされたら、警察に通報しますよ!」と私はつい声をあげてしまいました。義母はびっくりしたように顔をしかめ、「何よ、よかれと思ってしたのに……」とそそくさと帰っていきました。
その夜、私は少し言葉がきつ過ぎたかなと反省しつつ、帰宅した夫に報告。夫は、理由がわかった安心感と自分の母親が犯人だったことで「そうかぁ」と複雑な表情でしたが、「これは放っておけない」と、その場ですぐに義母に電話をかけてくれることに。「留守中に誰かに勝手に入られるが、どれだけ怖いことかわかってる? 泥棒かと思って本気で警察に相談しようとしてたんだよ。嘘をついて鍵を借りるなんて、大家さんにも迷惑だし、一歩間違えれば犯罪だよ」と、事の重大さを切々と説教してくれました。
さらにその後、事情を知った大家さんからも義母へ「そんな嘘をついて鍵を借りるなんて、もう二度と貸せないよ。そんなことするとは思わなかった」ときついお叱りの連絡が入ったそうです。
実の息子と長年の友人から厳しく責められたことで、義母もようやく事の重大さに気づき、涙ながらに謝罪してくれたのでした。「サポートしようとしてくれたお気持ちは、とてもうれしかったです。それなのに、怖くてつい、きつい言い方になってしまってこちらも申し訳ありませんでした。お義母さんのことはいつでも大歓迎ですので、今後はぜひ連絡してから来てくださいね」と話し、今では連絡をもらいつつ、頻繁に助けに来てもらっています。
育児や家事で大変な私を気遣ってくれた気持ちはうれしいのですが、いくら家族でも距離感を間違うと、思わぬトラブルにつながると実感。「親しき仲にも礼儀あり」という言葉の大切さを肌で感じた出来事でした。
著者:中村あんな/30代・ライター5歳の男の子と2歳の女の子を育てるママ。家計を支えるため、ライターの傍らパートも開始。夫は激務のため、子育てはほぼワンオペ状態。常に子どもたちが楽しめるイベントや遊び場を模索中。
作画:sawako
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年1月)

