
俳優の岩田奏が出演する映画「ひとりたび」が6月27日(土)から全国で公開される。本作は初恋の記憶を軸に、過去と現在が交錯する思い出と向き合う心のロードムービー。岩田が演じる圭一は、大人になった主人公・美咲の心に深く刻まれた“初恋の相手”であり、物語の軸を成す人物だ。撮影当時15歳だった岩田がどのように多くのものを背負う青年の役と向き合ったのか、役作りから撮影現場の思い出、そしてこれからの俳優としての展望まで、今の言葉で語ってもらった。
■岩田奏「圭一は自分と重なる部分が多かった」
――映画「ひとりたび」で主人公の“初恋の相手”という重要な役どころを演じられましたが、オーディションが決まった時のお気持ちはいかがでしたか
当時僕は15歳で、この作品が映画出演2作目でした。オーディションを受けたその日の午後には結果をいただいたのですが、午前中に演じたばかりだったので、あまりの早さに驚いたことを覚えています。自分の中で圭一の役に挑戦できるという喜びは非常に大きかったです。
――実際に脚本を読んだ際、圭一という人物にどのような印象を持たれましたか
圭一は、サッカー部で活躍するような一面的な明るさがありながら、家では祖母の介護や家事をこなすという、15歳にして多くのものを背負っている複雑な背景を持つ少年です。他人に隠している部分が描かれていたので、最初はどう演じるべきか少し悩みました。
ただ、大人になった美咲が当時を振り返ったとき、圭一の温かさや切なさが蘇るような“素敵な人”でありたいと強く思い、圭一の優しさが物語の中に自然と滲み出るように…と心がけて撮影に臨みました。
――演じた圭一という少年に、ご自身との共通点はありましたか
共感するポイントは非常に多かったです。特に、木の下で突拍子もないことを言って空回りしてしまうシーンなんかは、自分もたまにやってしまうなと(笑)。必死に「好き」という気持ちを伝えようとして空回りしている姿には、同世代としてのリアルな実感を込めることができました。思春期特有のあの独特な緊張感や、恥ずかしさ、衝動といった感覚は、当時の自分と重なる部分が多かったですね。
――劇中の圭一は、周囲の反対があっても音楽の道を志します。俳優という表現の世界に挑戦しているご自身と重なる部分はありますか
すごくシンパシーを感じます。圭一は、周囲に無理だと言われても、自分のやりたいことや好きなことを貫く強さを持っている人物として描かれています。
僕自身、普段はあまり自己主張が強い方ではないのですが、好きなことに対しては揺るがないところがあるので、そこは似ているなと。自分の意志で表現を磨き続ける姿勢には重なるものを感じました。
■自然な空気感の源は、現場の雰囲気の良さとオフの時間で交わした会話の積み重ね
――15歳の美咲を演じた石山愛琉さんとは、甘酸っぱくも切ない空気感を見事に作り上げられていました。自然な距離感が出るように石山さんと演技についてどんな話をしましたか
作品のためにどんな役作りをするかを石山さんと二人で話し合う場面はありませんでしたが、休憩時間に普通の友達のようにたくさん会話を重ねました。そういった撮影中以外の時間の積み重ねが自然な距離感に繋がったんじゃないかと感じています。
圭一と美咲の関係以外にもとにかく自然な空気、距離感がさまざまな場面で描写される作品だと思うのですが、石橋監督が、スタッフ・演者関係なく常に明るくコミュニケーションをとってくださったおかげで現場の雰囲気が本当によく、自然体で良い時間を過ごさせていただいたことは大きかったと思います。
あと、ロケ弁も美味しかったですし、みんなでロケ地の和歌山名物『グリーンソフト』を食べたりと、オンもオフもどちらも充実していて、今振り返っても本当に楽しい日々でした。

■観客自身の思い出にリンクする、岡本玲“美咲が創り出す自然な演技
――完成した作品を観て、改めて感じたことや刺激を受けたことはありますか
大人の美咲を演じた岡本玲さんの演技を拝見して、その佇まいから非常に多くの刺激を受けました。岡本さんの演技によって、監督が大切にされていた“何でもない会話の空気感”が映し出され、観ているうちにそれが本当に特別なものとして伝わってくるんです。
劇中にはMDプレーヤーなど、当時の学生時代を象徴するアイテムも登場するので、同世代の方はよりリアルに懐かしさを体感できるんじゃないかと思います。僕のようにその世代ではない方も、岡本さんが創り出す自然な空気に触れて、どこか懐かしさを覚えたり、自分を見つめ直したりできる。それこそがこの作品の魅力だと思います。
――最後に、今後の目標や、役者として挑戦したいことを教えてください
将来の夢は、自分で脚本を書いて、自分が出演することです。特にお笑いが大好きで、真空ジェシカさんのラジオを全話聴くほど大好きなので、面白いと思った表現を日々メモしてストックしています。いつか、自分で書いたコメディ作品で皆さんを笑わせるのが目標です。そして、小学校1年生から続けているドラムを活かせるようなお仕事もぜひやりたいなと思っています。
そんな夢に向けても日々勉強を重ねているので、これからの活動に、ぜひ注目していただければ嬉しいです!


