歩道を集団で走るグループランは法的に問題ないのでしょうか。──。弁護士ドットコムにそんな相談が寄せられました。
相談者の女性によると、ある日の仕事帰り、グループランを楽しむランナーの集団に遭遇したといいます。「話しながら走ってくる上、道を譲る気もなければ、ペースを緩めることもありません。人がすれ違うと接触しそうな狭い歩道だったので非常に怖かったです」。
過去、相談者は同様に走るランナー集団とすれ違った際に接触したこともあるといいます。「相手からは謝罪もありませんでした。その時とても痛かったので、以後は極力ランナーからは遠ざかるように注意しています」と取材に話していました。
もちろんマナーを守って走るグループがほとんどだと思いますが、中には、歩行者にとって脅威を感じるようなグループランもあるようです。そもそも集団で歩道を走ることに法的な問題はないのでしょうか。
●走っていても、法律上は「歩行者」にあたる
まず、集団で歩道を走る行為そのものが法的に問題あるかという点についてです。
結論からいえば、歩道を数人の集団で走る行為自体は、原則として法律上問題ありません。
道路交通法では、ランナーも「歩行者」と扱われます。そして、歩道は歩行者が通行するために設けられた道ですから、歩行者であるランナーが歩道を通行するのに、特に法律上の問題は生じません。
●事故が起きたら損害賠償の責任や「暴行罪」などの犯罪成立の可能性も
歩道走行そのものに問題がなくても、歩行者と接触事故を起こし、ケガをさせたり持ち物を壊してしまったりした場合は、不法行為(民法第709条)に基づく損害賠償請求の対象となります。集団で走行していた場合、過失の程度に応じてランナー全員が賠償責任を負う可能性もあります。
また、刑事上も、ランナーが「ぶつかるかもしれない」という認識(故意)を持ってぶつかれば暴行罪(刑法第208条)、それで相手に負傷結果が生じれば傷害罪(刑法第204条)に問われる可能性もあります。
なお、ぶつかる認識がなかった場合でも、ケガをさせてしまえば過失傷害罪(刑法209条)にあたる可能性があります。

