「危なっ!」歩道を疾走するランナー集団、法的に問題ないの? 狭い道で接触の危険も

「危なっ!」歩道を疾走するランナー集団、法的に問題ないの? 狭い道で接触の危険も

●狭い歩道でランナーと歩行者に優先順位はあるか

「後ろから煽られた」など、狭い歩道でのランナーと歩行者の関係に悩む声もありますが、道路交通法は、主に歩行者と車両との関係における危険を防止することを趣旨として規定されており、歩行者同士の優先関係は特に定められていません。

自転車などの車両と異なり、ランナー(歩行者)に対し、他の歩行者への「徐行」や「一時停止」といった罰則付きの義務は課されていません。

●車道や自転車専用帯を走っても良いのか

集団ランナーに対し「歩行者の邪魔になるときは車道を走るべき」という声もあります。

原則として、歩道と車道の区別がある道路では、歩行者であるランナーは歩道を通行しなければなりません(道路交通法第10条第2項)。

ただし、同条第2号は、道路工事等で歩道を通行できないときや、「その他やむを得ないとき」は例外的に車道を通行できると定めています。

この「その他やむを得ないとき」には、集団ランナーが他の歩行者の安全を確保し、通行の妨げにならないように配慮する目的で、一時的に歩道上の混雑を避けて車道に出る行為が含まれるかどうかはかなり微妙です。

たしかに、歩道を歩いている人を優先させることが、歩行者優先という大原則を守るための行動と評価することもできそうです。

しかし、上の条文は通行が困難な場合を想定したものであり、自分が速く走るのに邪魔だから道路に出る、というのは、あくまで自分の都合にすぎず、「やむを得ない」とは評価できないともいえそうです。

この点は意見が分かれるかもしれませんが、集団ランナーが他の歩行者の迷惑回避や安全確保のため、一時的に車道に出るということは、「やむを得ない」とは評価できないのではないかと考えます。

仮にこれを「やむを得ない」と解するとしても、継続的に車道をランニングするのではなく、一時的な移動であること、そして車道の右側端を通行する(同法第10条第1項)など、自らの安全確保と通行区分の原則を遵守する必要があります。

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