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「家は近いの?」またひとつ、私に関する情報が母の頭の中から消えた日 #母の認知症介護日記 321

「家は近いの?」またひとつ、私に関する情報が母の頭の中から消えた日 #母の認知症介護日記 321

アルツハイマー型認知症になった実母のことや、アラフィフ主婦の日常をあれこれ書き連ねるワフウフさん。自身の体験をマンガにしています。

先日、病院に行った帰りに母・あーちゃんと外でランチをしたときのこと。あーちゃんは、なーにゃんが施設から預かってきた食前の薬を渡すと「食前の薬? 私、食前に飲む薬があるの?」と言って、ワフウフさん姉妹を驚かせました。その薬は、あーちゃんの持病である糖尿病の薬で、もう何十年も飲み続けているものです。さらに、食後の薬を見ても「食後の薬もあるの?」と不思議そうに言うだけ。以前のあーちゃんは、認知症が進行する中でも「薬はちゃんと飲まなくてはいけないもの」という認識があったのですが、今は施設で管理してもらっているため、自分が薬を飲んでいるという意識が薄れてしまっているのかもしれません。

似た者同士だと思っていたのに

あーちゃんが通う認知症の病院は、以前、ダンスのレッスンに通っていたときの乗り継ぎ駅にあります。駅の名前を聞いたあーちゃんは、ダンスの記憶だけがよみがえったようで「そういえば私ねえ、ダンスをやめちゃったのよ」と、突然言いだしました。しかし、やめた理由は「発表会の参加を断ったら、先生が感じ悪くなったから」になっていて、発表会に出なくても回数を減らしてもいいからレッスンを続けてほしいと先生から言われていた事実と大きく異なっていました。また、先生ご夫婦を囲んで「オイショオイショするのが嫌だった」と言っていて、かわいい言い間違いにほっこりしつつも「ヨイショする」という正しい言い方を教えてもピンときていない様子で、あーちゃんの頭の中から言葉がどんどん抜け落ちていることに、ワフウフさんは悲しくなっていました。

母の認知症介護日記/ワフウフ

これは、私たち姉妹とあーちゃんがそれぞれ住んでる場所の位置関係の図。もちろん、あーちゃんも昔はちゃんと理解してくれていたのですが……。

母の認知症介護日記/ワフウフ

私の家から近い▲駅は、あーちゃんもよく使っていた駅。そこでキョロキョロしながら、あーちゃんは「ここはどこ?」とつぶやいています。

母の認知症介護日記/ワフウフ

そこで、駅の名前を教えると、あーちゃんは理解したように見えたのですが……。

母の認知症介護日記/ワフウフ

「ワフウフちゃんの家はここから近いの?」と聞かれてしまいました。

母の認知症介護日記/ワフウフ

もう私の家の場所がわからなくなってしまったようです……。あーちゃんの頭の中から、またひとつ私に関する情報が消えてしまいました。

母の認知症介護日記/ワフウフ

「どちら様?」なんて、涼しい顔で聞かれる日がやってきてしまうのかもしれません……。

母の認知症介護日記/ワフウフ

同じ施設で暮らすAさんから、将棋を教えてもらっていたあーちゃん。

母の認知症介護日記/ワフウフ

2人の話をよく聞いていると、何度も同じことを話しています。おそらく、Aさんもあーちゃんと同じ認知症なのでしょう。

母の認知症介護日記/ワフウフ

Aさんはフランスに住んでいる娘さんがご自慢らしく、よくその話をします。そして、あーちゃんもそれに合わせるように、以前、駐在員の妻として海外生活を何度かしている経験をさりげなく自慢しています。2人は似た者同士で、馬が合うのだろうと思っていました。

母の認知症介護日記/ワフウフ

しかし、先日またAさんが娘自慢を始めると、あーちゃんが「前もおっしゃってましたもんね!」と、突っ込んでいたのです。突っ込みどころ満載のあーちゃんが、突っ込むなんて……!! よほどAさんが娘自慢を繰り返していたということなのでしょうか……。

母の認知症介護日記/ワフウフ

そして、残念なことに、あーちゃんは将棋を教えてもらいたくないと言いだしたのです。何度やっても覚えられないため、おもしろくないようです。ただ、断ったことも断られたことも、お互いに覚えていられるかどうか……。

当たり前ですが、認知症になる前のあーちゃんは、自分が住んでいる場所と私たち姉妹が住む場所の位置関係をちゃんと理解していました。しかし、先日私の家から近い駅を歩いていたときのこと。「ここはどこなの?」とあーちゃんがキョロキョロしていたので「▲駅だよ!」と、教えると「ああ、▲駅ね!」と理解している様子だったのですが、すぐに「ワフウフちゃんの家はここから近いの?」と聞いてきました。もう、私の家の場所はわからなくなってしまったようです。なぜか、私に関する記憶はなくしがちなあーちゃん。いつか「どちら様?」なんて言われちゃう日も来てしまうのでしょうか……。

あーちゃんは、同じ施設で暮らすAさんから、将棋を教わっています。Aさんとあーちゃんは、楽しそうに話しているのですが、よく聞いてみると2人とも同じことをひたすら言い続けています。Aさんはフランスに住んでいるという娘さんがご自慢らしく、何度もその話を繰り返し、あーちゃんはそれに合わせて、その昔、駐在員の妻として海外生活を何度かしている経験をさりげなく自慢しているという感じです。おそらく、あーちゃんとAさんは同じ認知症で、似た者同士だから馬が合うのだろうと思っていました。

しかし、先日またAさんがフランスに住む娘さんの自慢話をしたとき、あーちゃんは「前もおっしゃってましたもんね!」と、まさかの突っ込みを入れていました。いつも突っ込みどころ満載のあーちゃんが、まさか突っ込む側になるなんて……! 何も覚えられないあーちゃんが覚えてしまうくらい、Aさんが自慢話を繰り返したのかもしれません。そして、何度教えてもらっても覚えられないからおもしろくないのか、あーちゃんは「私、将棋好きじゃないの! もう教えてほしくないのよ!」と言いだしてしまったのです。あーちゃんはどう断るつもりなのか、そして、断ったことも断られたことも、お互いに覚えていられるのか……。どうか、トラブルにはなりませんように。

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認知症が進行するにつれて、家族は「完全に忘れられてしまう日がくる」という現実的な覚悟をしておく必要があります。たとえ顔や名前を忘れてしまったとしても、人として交流は続けられるので、あまり悲観することなく日々のふれあいを大切にしたいですね。

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。

著者/ワフウフ
昭和を引きずる夫、成人した息子娘を持つ50代主婦。実母のアルツハイマー型認知症発覚をきっかけに備忘録としてAmebaでブログを始める。2019年一般の部にてAmebaブログオブザイヤー受賞。 2023年4月、書籍「アルツフルデイズ 笑いと涙の認知症介護」発売。

配信元: 介護カレンダー

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