犬の体高は人より低く、目の仕組みや修正が人とは違うので見え方も異なります。犬の目線で見ると、散歩中の何気ない出来事がストレスになっていることも。
どのような状況がストレスになり、どんな対策をすればいいのでしょうか。しつけ教室「Pet Life Consulting シンビオーシス」代表の岡田敏宏先生に教えていただきました。

バタバタと散歩の支度をするなか、あわてて愛犬にハーネスをつけることはありませんか?
頭を通して着用するタイプのハーネスの場合、犬の顔の前方から近づけることに。これは犬からすると、得体の知れない輪が自分の目の前に迫ってくる感覚です。さらに、飼い主さんがあわてた様子だと、捕まえられるように感じてなおさら恐怖感が高まります。
ハーネスだけでなく、服をあわてて着せることもストレス。強引に服をかぶせられると突如視界が真っ暗になるため、愛犬は困惑するばかりです。

輪に頭を通すのではなく「犬が自ら通る」ことがコツ。おやつを輪の先に見せて、犬がおやつをめがけて自ら頭を通せたら、おやつを与えてほめてあげて。それでも怖がるようなら、床に置いたハーネスや服の近くにおやつを置いて慣らすことから始めても。もちろん、頭を通さないタイプのハーネスや服をセレクトしてもOKです。
歩道橋の階段を降りる
犬は人よりも体高が低いぶん、歩道橋のように急で段数が多い階段から見下ろす光景は、まるで断崖絶壁に立っているかのよう。とくに小型犬は、自分の体に対して段差がより大きく感じるので恐怖が増します。また短頭種も、頭が重く、階段を降りるときに重心が前方になることでも恐怖がエスカレートしがちに。
グレーチング(側溝のふた)を通ることも、犬にとってはストレスに。格子状の隙間が無数の大きな穴に見えるため、怖がることがあります。とくに小型犬は、足が落ちそうで怖がりがちです。
【こうしよう!】急な階段やグレーチングは避けて
そもそも階段自体が犬の体に適した構造とはいえず、転落や落下の事故、腰やひざなどの関節に負担をかけるおそれがあります。たとえ遠回りになっても、急な階段は避けるようにしましょう。小型犬はグレーチングに足がはまってしまうおそれもあるので、通らないよう気をつけて。
なでようとする人に遭遇する
犬は、表情よりも動き(ボディランゲージ)を重視して見ています。たとえ相手が笑顔で寄ってきたとしても、頭上から突然手を出されると、その動きから「捕まえられる」「襲われる」などと感じるでしょう。
【こうしよう!】おやつを手のひらからもらって慣れさせて
まずは、犬が怖がらない距離をとって、相手の人に手のひらからおやつを与えてもらいましょう。このとき、犬が自分から近づけるペースを優先してください。犬が慣れてきたら、頭ではなく背中側をそっとなでてもらって。
真っ暗な道を散歩する
犬の目は、光が少しでもあれば暗闇でも明るさを捕らえやすい構造です。しかし、最新の研究データでは、暗い条件の場合、人が5.9〜9.9cpd(※)見えるのに対して、犬は1.8〜3.5cpdしかなく、かなりぼやけて見えるということがわかりました。真っ暗な道の散歩は、じつは見えにくく不安になりやすいのです。
※「cpd」とは、おもにコントラスト感度(視覚の解像度・細かさ)を評価する空間周波数の単位。高いほど「細かいものを見分ける力」が高い。
※画像はぼやけ方のイメージです。
【こうしよう!】街灯のある道を選ぶか、ライトで照らして

夜の散歩は、犬のストレス軽減だけでなく防犯・事故防止のためにも街灯のある道を選びましょう。街灯がなければライトで道を照らして。ライトはLEDのものが明るくておすすめです。なお、ライトは犬に向けると強い刺激になるおそれがあるため、必ず足元を照らすようにしましょう。
犬の目線を追ってみると、思いがけない「コワい」や「イヤ」が見えてきます。これを機に、ハーネスの付け方や散歩のルートを見直してみてくださいね。
お話を伺った先生/岡田敏宏先生(しつけ教室「Pet Life Consulting シンビオーシス」代表)
参考・写真/「いぬのきもち」2026年5月号『一日の中のコワい イヤ見つけた!犬目線でよくわかる「ストレスのもと」』
文/柏田ゆき
