夫なおやは弟の行動を「それはひどいDVだ」と断言し、専門家の介入を決断。みちるはさとみさんを秘密裏に呼び出し、離婚とシェルター利用を提案。憔悴しきったさとみさんは、その目にわずかな「生きたい」という意志を見せます。
夫と、義妹のために動き出す
妊娠中の身でストレスを抱えるのは本意ではないにしても、さとみさんを放置することはできません。深夜に帰宅した夫のなおやに、これまでの弟夫婦の状況を、全て、包み隠さず話しました。
「相当ひどいみたいだね。みちるもつらいだろう」
夫は静かに聞いてくれました。りょうたの行動が完全にモラハラであること、そしてさとみさんが精神的に追い詰められている現状を伝えると、なおやは真剣な表情で言いました。
「みちるが1人で抱えるのは無理。それは完全にDVだよ。精神的な暴力も、立派な犯罪だからね」
なおやの冷静な分析と、断固とした言葉に、わたしの心は少し軽くなりました。
「わたしも、りょうたに何か言おうかと思ったんだけど、それで余計に被害がひどくなったらと思うと…」
「そうだね。だからこそ、専門家の力を借りるべきだ。間に第三者に入ってもらってから対応しよう」
なおやは翌日から、信頼できるカウンセラーや、DV被害者のためのサポート団体、そして法律関係の情報を調べ始めました。そして、わたしたちはまず、さとみさん自身の意思と安全を確保することが最優先だという結論に至りました。
憔悴しきった義妹が痛々しい
その数日後、わたしはさとみさんを自宅から少し離れたカフェに呼び出しました。事前に「りょうたには内緒で会おう」と伝え、細心の注意を払いました。さとみさんは、以前にも増して憔悴しきっていました。目の下のクマは濃く、顔の皮膚は薄皮一枚のよう。きっとまともに食事ができていないのだと思います。
「お義姉さん…ごめんなさい、りょうたとうまくいかなくて」
「大丈夫。今日はさとみさんを守るための提案があるの」
わたしはなおやとまとめた専門家の情報を、慎重に彼女に手渡しました。
「りょうたがしていることは、完全にモラハラ。これはさとみさんが我慢して治るものじゃない。むしろ、このままだとさとみさんの命にかかわる。だから、一旦距離を取るべきだよ」
さとみさんは震える手で資料を受け取りました。
「距離を取る…?」
さとみさんはりょうたに精神的に支配されて、離れる選択ができなくなっていたようでした。

