娘が4歳のころの出来事です。仲の良いママ友親子に本を貸しただけでした。「そのうち返ってくるだろう」と軽く考えていた私は、まさかこの出来事が、のちにママ友との関係に影を落とすことになるとは想像すらしていませんでした。
信じて貸したのに返ってこない…
同じ保育園に通う、とても仲の良いママ友親子がいました。子ども同士はほぼ毎日一緒に遊ぶほど仲が良く、私自身もママ友を何でも話せる信頼できる存在だと思っていました。
ある日、いつものようにわが家で遊んでいると、娘が大切にしていた絵本をママ友の子が気に入り、「貸して」と言われました。娘は一瞬ためらいつつも「いいよ」と手渡したため、私も「すぐ返してもらおうね」と声をかけ、そのまま貸すことにしたのです。
しかし、数日、数週間が経っても絵本は戻ってきません。その後も何度か会う機会はあったものの、相手からその件に触れられることはなく、私も言い出せずにいました。家で娘が「まだかな」「あの本、好きだったのに」とつぶやくたびに、とても胸が痛みました。
意を決して私からママ友に声をかけると、「あ〜あの本ね、忘れてた」と軽い返事。ところが、その後いくら催促を重ねても結局返却されないまま、時間だけが過ぎていきました。
あのとき感じたのは、本が戻らない悲しみ以上に、娘のお気に入りの本が雑に扱われたような虚しさでした。結局、卒園まで本が返ってくることはなく、小学校も離れてしまったため、そのママ友親子との交流は自然となくなってしまいました。
子ども同士の仲が良いからこそ、親同士の関係には遠慮が生まれてしまうものです。しかし、その遠慮こそが小さなストレスを積み重ねる原因にもなります。本1冊の出来事ではありましたが、娘のがっかりした表情と、当時の自分の後悔は今も忘れられません。
それ以来、物を貸すときは相手との関係性だけでなく、子どもの気持ちを最優先に考えるようになりました。ささいな貸し借りであっても、人間関係における大切な境界線を教えてくれることがあるのだと実感しています。
著者:御法川 元子/40代女性。2015年生まれの女の子の母。子どもが生後4カ月のころから企業の広報担当として働いているワーキングマザー。パニック障害を患いながらも明るい性格で元気に毎日過ごしている。波瀾万丈な人生だが、明るく楽しくをモットーに! 趣味は音楽鑑賞・カラオケ。
イラスト:ななぎ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年6月)

