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「出てすぐ左にあるお店でお茶をした」母よ、そんな場所にお店はないです #母の認知症介護日記 322

「出てすぐ左にあるお店でお茶をした」母よ、そんな場所にお店はないです #母の認知症介護日記 322

アルツハイマー型認知症になった実母のことや、アラフィフ主婦の日常をあれこれ書き連ねるワフウフさん。自身の体験をマンガにしています。

母・あーちゃんが通う認知症の病院は、以前ダンスのレッスンに通っていたときの乗り継ぎ駅にあります。そのせいか、駅の名前を聞いたあーちゃんは、ダンスの記憶だけが呼び起こされて「そういえば私ねえ、ダンスをやめちゃったのよ」と、突然言いだしました。しかし、やめた理由は「発表会の参加を断ったら、先生が感じ悪くなったから」と言い、発表会に出なくても回数を減らしてもいいからレッスンを続けてほしいと先生から言われていた事実と大きく異なっていました。そして、先生ご夫婦を囲んで「オイショオイショするのが嫌だった」とも話し、かわいらしい言い間違いにほっこりしつつも「ヨイショする」という正しい言い方を教えてもピンときていない様子……。あーちゃんの頭の中から言葉がどんどん抜け落ちていることに、ワフウフさんは悲しくなっていました。

お礼は気持ちだけで…

ワフウフさんの家から近い▲駅を歩いていたときのこと。あーちゃんが「ここはどこなの?」とキョロキョロしていたため、ワフウフさんが「▲駅だよ!」と教えると、「ああ、▲駅ね!」と理解している様子を見せますが、すぐに「ワフウフちゃんの家はここから近いの?」と聞いてきて、ワフウフさんはびっくり。なぜか自分に関する記憶をなくしがちなあーちゃんに、ワフウフさんは「どちら様?」と聞かれてしまう未来を想像してしまうのでした。そんなあーちゃんは、同じ施設で暮らすAさんから将棋を教わっていました。しかし、何度教えてもらっても覚えられず、おもしろくなくなってしまったのか「私、将棋好きじゃないの! もう教えてほしくないのよ!」と言いだしました。Aさんもあーちゃんと同じ認知症なので、断ったことも断られたことも、お互いに覚えていられるのかと、ワフウフさんは心配していました。

母の認知症介護日記/ワフウフ

あーちゃんは義理堅い性格。Aさんから将棋を教えてもらうのが嫌になったのは、覚えられなくておもしろくなくなったからだけではなく、その性格も影響している様子。

母の認知症介護日記/ワフウフ

どれくらいの頻度で教わっているのかはわかりませんが、お礼にお茶でもごちそうしなくてはいけないと思っているようです。

母の認知症介護日記/ワフウフ

とはいえ、Aさんも素人なので、そこまで構えることはないと思うのですが。しかも、お茶をごちそうするという意味を聞いてみると……。

母の認知症介護日記/ワフウフ

施設内の自販機でごちそうするという話ではなく、本当にお茶に行くつもりのようです。

母の認知症介護日記/ワフウフ

あーちゃんはひとりでの外出ができないのですが、なぜかそれは「2人なら出られる」と思っているらしく……。

母の認知症介護日記/ワフウフ

2人でも出られないと言うと、「出てすぐ左に行ったところのお店」で「前も2人でお茶した」とのこと……。

母の認知症介護日記/ワフウフ

そんなところにお店などないのですが……。どこ!?

母の認知症介護日記/ワフウフ

私が「行っていないよ!」と強めに否定すると……。

母の認知症介護日記/ワフウフ

あーちゃんは納得がいかない様子で首をかしげていました。

母の認知症介護日記/ワフウフ

おかしいのはあーちゃんの頭の中だと思うのですが……。一体何が起きている?

あーちゃんが将棋を教えてもらうのが嫌だと言いだしたのは、Aさんに将棋を何度教わっても覚えられなくて、おもしろいと思えないからのようですが、実は、あーちゃんの義理堅い性格も関係があると思っています。どれくらいの頻度で教わっているのかはわかりませんが、あーちゃんは何度も教えてもらっていることを気にしていて「ただで教えてもらうのは、なんだか悪いじゃない?」と言っていました。Aさんは初心者の大会で優勝しただけの素人で、いつもAさんのほうから誘ってくれるようなので、そんなに構えなくてもいいと思うのですが……。

でも、あーちゃんは「Aさんに悪いから、今度お茶でもごちそうしなくちゃと思ってるの!」と言っていたので「お茶でもごちそうって、自販機で買ってあげるの?」と聞くと「違うわよ! その辺にお茶に行くのよ!」と、衝撃発言。あーちゃんはひとりで外出できないため、そう突っ込むと「2人なら外出できるのよ! 私たち自由なんだから!」と……。いつの間に、あーちゃんの頭の中でそんなことになっていたのか……。

冷静に「2人でも出られない」と言うと「だって、前も2人でお茶したわよ! 出てすぐ左に行ったところのお店!」と迷いなく答えるあーちゃん。そこは……どこ!? そんな場所にお店などないのです……。私が「行ってないよ!」と言うと、あーちゃんは「ええ~? おかしいわねえ……」と首をかしげていましたが、おかしいのはあーちゃんの頭の中の出来事では? 義理堅いのはいいことだけど、お願いだから、Aさんへのお礼は気持ちだけにしておいてほしいと思ってしまいました……。

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本来なら、義理堅いことはいいことで、見習いたいところなのですが、何かを「しなくてはいけない」と思い込んでしまうほど律儀すぎるのは、困りものですね……。施設で新しいお友だちができたことで、心配しなくてはいけないことも増えてしまうのは、なんとも皮肉なことですね。

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。

著者/ワフウフ
昭和を引きずる夫、成人した息子娘を持つ50代主婦。実母のアルツハイマー型認知症発覚をきっかけに備忘録としてAmebaでブログを始める。2019年一般の部にてAmebaブログオブザイヤー受賞。 2023年4月、書籍「アルツフルデイズ 笑いと涙の認知症介護」発売。

配信元: 介護カレンダー

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