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「要注意」お酒が引き起こす“6つのリスク”とは?知っておくべき【意外な病気との関連】

「要注意」お酒が引き起こす“6つのリスク”とは?知っておくべき【意外な病気との関連】

アルコールの健康への影響は、肝臓だけにとどまりません。がんリスク、睡眠の質、心臓・血管、脳の萎縮、メンタルヘルスなど、飲酒習慣はさまざまな側面に関わっています。「自分はいつでもやめられる」という感覚が危険なサインになることも。飲み方に不安を感じている方が、焦らず一歩ずつ見直しを始めるためのヒントをお伝えします。

中路 幸之助

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

アルコールが引き起こす「意外なリスク」

アルコールによる健康への影響は、肝臓だけにとどまりません。このセクションでは、あまり知られていないアルコールの身体的・精神的なリスクについて、幅広く解説します。

がんリスクとの関係|口腔・食道・乳がんへの影響

アルコールの摂取は、いくつかの種類のがんとの関連が報告されています。国際がん研究機関(IARC)は、アルコール飲料をグループ1(ヒトに対して発がん性がある)に分類しており、口腔がん、咽頭がん、食道がん、肝臓がん、大腸がん、乳がんなどとの関連が示されています。

特に注目されているのは、飲酒量が増えるほどリスクが高まる「量依存性」の傾向です。「少量なら問題ない」という認識もありますが、乳がんについては少量の飲酒でもリスクへの関連が報告されており、「安心できる飲酒量」を一律に断定することは難しい状況にあります。

また、喫煙との組み合わせがリスクをさらに高める可能性も指摘されており、喫煙・飲酒の両習慣がある方は特に注意が必要です。がんのリスクという観点からも、飲酒量の管理は重要な課題といえます。

女性はアルコールの影響を受けやすい

アルコールの身体への影響は、男性よりも女性のほうが出やすいとされています。これは女性のほうが一般的に体内の水分量が少なく、アルコールを分解する酵素の活性が低い傾向があるためです。同じ量のアルコールを摂取した場合、女性のほうが血中アルコール濃度が高くなりやすく、肝臓へのダメージも大きくなりやすい傾向があります。

また、女性ではアルコール摂取と乳がんリスク増加との関連が報告されています。乳がんは日本の女性に多いがんのひとつであり、生活習慣の観点からも飲酒量には注意が必要です。妊娠中の飲酒は胎児への影響が大きく、「胎児性アルコール症候群」を引き起こすリスクがあるため、妊娠中・授乳中は飲酒を避けることが医学的に強く勧められています。

心臓・血管への影響|少量でも油断できない理由

アルコールと心血管疾患の関係については、「少量の飲酒は心臓に良い」という説がかつて広まりましたが、近年の研究ではこの見方が見直されています。

大規模な研究では、アルコール摂取量が増えるほど、不整脈(特に心房細動)のリスクが高まる傾向があることが示されています。心房細動は脳梗塞の原因となりうる不整脈であり、飲酒との関連が注目されています。

また、過度な飲酒は血圧を上昇させる可能性があり、高血圧が続くと動脈硬化(血管が硬くなること)の進行につながることもあります。「適量なら心臓に良い」という情報を過信せず、飲酒習慣全体を見直す視点が求められます。

睡眠の質への影響|「飲むと眠れる」は本当か

「お酒を飲むとよく眠れる」と感じている方は少なくありません。確かにアルコールには入眠を促す作用があります。しかし、睡眠の質という観点から見ると、アルコールは睡眠に好ましくない影響を与えることが明らかになっています。

アルコールが身体の中で分解されるにつれて、睡眠が浅くなったり、夜中に目が覚めやすくなったりする現象が起きます。特に、深い眠りをもたらすとされるノンレム睡眠(深い睡眠段階)が抑制されることで、翌朝の疲労感や集中力の低下につながります。

慢性的な飲酒習慣がある方では、飲まないと眠れないという状態に陥ることもあります。これは睡眠の問題でもあり、依存の兆候ともなり得るため、「眠るためにお酒が必要」という状態が続く場合は、医療機関への相談を検討することが望ましいといえます。

アルコールと脳の萎縮(いしゅく)リスク

長期間の過剰飲酒は、脳の体積を減少させる(脳が萎縮する)可能性があるとされています。脳の萎縮は記憶力・判断力・注意力の低下につながることがあり、認知症のリスクとも関連があるとされています。「ウェルニッケ脳症(のうしょう)」と呼ばれる病気は、アルコール依存症の方に見られることがある脳の障害であり、ビタミンB1(チアミン)の欠乏が原因となって引き起こされます。

認知症との関係については、多量飲酒が認知症のリスクを高める可能性が研究によって示されています。一方で、認知症のリスクと飲酒量の関係は複雑であり、現時点では「どの程度なら安全か」を明確に数値化することは難しい状況です。脳の健康を守るという観点からも、飲酒量を適切な範囲に保つことが重要です。

メンタルヘルスとアルコール|ストレス解消の落とし穴

仕事や人間関係のストレスを解消するために飲酒をするという方は多くいます。アルコールは一時的に緊張をほぐし、気分をリラックスさせる作用を持ちます。しかし、この「ストレス解消の手段としての飲酒」は、長期的には気分の落ち込みや不安の悪化などにつながる可能性があります。

アルコールは脳内の神経伝達物質に影響を与え、飲酒後に一時的な高揚感をもたらします。しかしアルコールの効果が切れた後には、気分の落ち込みや不安感が生じやすくなることが知られています。これを繰り返すことで、ストレスを感じるたびに飲酒を求めるサイクルが形成される可能性があります。

うつ病や不安障害とアルコール使用障害は、合併することが少なくないとも報告されています。精神的な不調を飲酒でまぎらわせている状況が続く場合は、心療内科や精神科への相談も選択肢のひとつです。飲酒に頼らないストレス管理の方法を、日常の中で少しずつ取り入れていくことが、長期的な健康につながります。

まとめ

アルコールと上手に付き合うためには、「休肝日を設けているから大丈夫」「少量なら問題ない」という思い込みを一度見直すことが大切です。肝臓のデトックス神話やアルコールにまつわる誤解を正しく理解したうえで、週単位の飲酒総量を意識し、身体のサインに敏感になることが健康管理の第一歩となります。飲酒習慣が気になる方、身体の不調を感じている方は、消化器内科や内科などの医療機関に気軽に相談してみてください。あなたの身体を守るために、正しい知識と早めの行動が何より大切です。

参考文献

厚生労働省 e-ヘルスネット「飲酒」

厚生労働省 e-ヘルスネット「アルコールによる健康障害」

厚生労働省 e-ヘルスネット「アルコールと社会問題」

厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドラインについて」

厚生労働省「アルコール健康障害対策」

配信元: Medical DOC

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