
北村匠海主演の月9ドラマ「サバ缶、宇宙へ行く」(毎週月曜夜9:00-9:54、フジテレビ系/FODほかにて配信)の最終回となる第11話が6月22日に放送された。オリジナルストーリーではあるが、実話が基になっていることから、結末は予想できたともいえる。しかし、この約3カ月にわたって丁寧に描かれた15年にも及ぶ努力の結晶ともいえる瞬間は視聴者の胸を打ち、その努力を長く見守ってきた朝野(北村)の姿も注目された。(以下、ネタバレを含みます)
■高校教師が生徒たちの挑戦を応援し、自らも成長していく学園ドラマ
本作は、福井県の水産高校の生徒たちが世代を超えて“宇宙食開発”という大きな夢に挑戦した実話に基づくオリジナルストーリー。
地上波連続ドラマ初主演を果たす北村が演じるのは、授業の一環で製造されるサバ缶が自慢の若水こと若狭水産高校に赴任し、統合後の若狭小浜高校海洋学科でも教師を続ける朝野峻一(あさのしゅんいち)。「宇宙食、作れるんちゃう?」という生徒の何気ないひと言が、世代を超えて思いと経験知をつなぎ、大きな夢への挑戦と発展。生徒たちを見守り、ともに伴走する中で、朝野自身も成長していく軌跡を描く。
■宇宙食サバ缶が宇宙へ旅立つ日が決まる、朝野のかわいさに視聴者注目
朝野が新任教師として若狭水産高校に赴任してきてから15年。廃校の危機を乗り越え、若狭小浜高校と統合し、若狭小浜高校海洋科学科として存続。そのような状況の中、生徒たちが継承してきた「宇宙食サバ缶プロジェクト」がJAXA(宇宙航空研究開発機構)に認証され、みんなの夢がついに現実となる時が近づいていた。
ISS(国際宇宙ステーション)に向けて、鹿児島のJAXA種子島宇宙センターから発射される補給船に宇宙食サバ缶が乗せられることが決まった。朝野は5期生の生徒たちを種子島に行かせてやりたがったが、学校としては特定の生徒だけを特別扱いできないという判断に。だが、夢を応援してきた小浜の町の人々からカンパ金が集まった。
朝野は、プロジェクトの第1期生で、現在は同じ若狭小浜高校海洋科学科で教師をしている菅原奈未(出口夏希)に「しっかり見届けてきて」と引率を頼むが、奈未は辞退。ずっと見守ってきた朝野こそ、その役目があるとしたのだ。
「え、いいの?」と言う朝野の表情には、すでにうれしさが隠しきれておらず、その後は口笛までも飛び出した。
SNSには「口笛吹いちゃう朝野先生かわいい」という声を始め、「かわいい」の大合唱となった。
■まさかのトラブルで朝野と5期生は落ち込む
15年という月日。宇宙食サバ缶は生徒たちが受け継いで完成したものだが、それをしっかりと見守り、学校やJAXAの宇宙日本食開発担当・木島(神木隆之介)とのやり取りも含めて、導いてきたのは、まぎれもなく朝野だ。種子島に着いた朝野は、うれしさを抱えつつ、新任教師だったころの未熟さの影は消え、頼りがいのある顔つきになっていた。
ただ、トラブルにより打ち上げ延期という事態になり、現地で見送る夢はかなわなかった。奈未に電話連絡したあとに民宿の部屋にバタッと倒れ込んで天井をあおいだ様子からも、生徒たちのみならず朝野も落ち込んでいたのが分かった。
それでも、「まぁ、これはこれでよかったのかもしれないね。先輩たちだって、あと少しっていうところで、技術の問題とか時間の問題とかで宇宙へ飛ばすことはできなかった。まぁ、だから、そういう悔しい思いとか、簡単じゃない夢への挑戦とか、今回、肌で感じるいい機会だったのかもね」と、教師として、またずっと夢をそばで見守ってきた者ならではの言葉をつむいだ朝野。
そこで5期生の一人、彩花(池端杏慈)は「夢はな、かなうかかなわんかが大事じゃないんやって。『夢はな、持った時からもう変わり始めとるんよ、自分が』」と奈未に言われたことを発した。「夢を持つだけ損」と言っていた彩花の姿は、もうない。サバ缶を宇宙へという夢は、携わった生徒たちも、朝野も成長させた。
種子島から戻ってきた朝野に奈未は改めて感謝を口にする。「私がこうしてここで楽しく教師やれとるのも、先生のおかげやって思ってる。先生との出会いがあったからやって」。
すると「それを言うなら僕の方こそ」と朝野。赴任したばかりのころ、海辺の町で教師になるという夢をかなえながらも、何がしたいのかもまだ自分で分かっていなかった。そんなときに高校生だった奈未が楽しそうにダンスをしている姿を見て、生徒たちの楽しそうな瞬間をもっと見たいと思ったことが変わるきっかけになったのだ。
■北村&神木のアドリブ芝居もあった最終回…視聴者から感動の声相次ぐ
夢がなかなかかなわないことにやきもきしながらも、朝野や奈未、生徒たち、小浜の町の人たちが奮闘してきた姿、ドラマでいえば10話分の様子が、今回流れた回想シーンを含めて脳裏によみがえってきた。いつしか、視聴者としても劇中の“みんなの夢”に交ざっていたような感覚を覚えた。
そしてついに宇宙まで届いたサバ缶。本作のナレーションを務めてきた井上芳雄が演じた真中宇宙飛行士が「とってもおいしい」と言う場面は、感慨もひとしおだった。
放送後、主演の北村は自身のInstagramを更新し、本作への思いをつづった。その中で、終盤にあった神木とのシーンが「長いアドリブ芝居」だったことも明かした。15年を振り返り、夢のすばらしさを語り合う2人の会話は、とても自然で、“朝野”と“木島”そのものだった。
視聴者からは「最終回はご褒美みたいな回で3カ月見てきてよかった」「大団円とはこのこと」「みんなでつないだ夢への15年のリレーのゴールが とても清らかで優しくて温かかった」「感動をありがとう」などの声が寄せられた。
◆文=ザテレビジョンドラマ部

