腎硬化症とクレアチニンは、腎臓の健康を考えるうえで深く結びついています。腎硬化症は長年の高血圧が引き金となり、腎臓の細い血管が少しずつ硬くなっていく病気です。進行すると慢性腎臓病(CKD)へ移行する可能性があります。この記事では、病気の成り立ちから検査値の見方、日常生活での取り組みまでを順に解説します。

監修医師:
田中 茂(医師)
専門は内科学・腎臓内科・血液透析・腹膜透析・臨床疫学・生物統計学
腎硬化症とクレアチニンの基礎知識
腎硬化症とクレアチニンは、腎臓の健康状態を考えるうえで切り離せない関係にあります。このセクションでは、腎硬化症がどのような病気であるか、そしてクレアチニンとはどのような物質なのかについて、基礎から丁寧に解説します。
腎硬化症とはどのような病気か
腎硬化症(じんこうかしょう)とは、長期にわたる高血圧が原因で腎臓の細い血管が硬く変性し、腎臓の機能が徐々に低下していく病気です。腎臓は血液をろ過して老廃物を尿として排出する臓器ですが、血管が傷んで硬くなると、血液のろ過がうまく行えなくなります。その結果として、腎臓全体の機能が落ち、最終的には慢性腎臓病(CKD)へと移行していく可能性があります。
腎硬化症は大きく「良性腎硬化症」と「悪性腎硬化症」の2種類に分けられます。良性腎硬化症は、数十年単位でゆっくりと進行するタイプで、高齢者の方に多く見られます。一方、悪性腎硬化症は血圧が極端に高い状態(悪性高血圧)で起こり、短期間で腎機能が急激に悪化するため、緊急性が高い状態です。日常的に見られるのは良性腎硬化症であり、自覚症状が乏しいまま長年経過するケースが多いです。
腎硬化症の主な原因は高血圧ですが、それだけではありません。加齢、糖尿病、脂質異常症、そして喫煙習慣なども、腎臓の血管にダメージを与える重要な要因です。日本では慢性腎臓病の原因疾患として糖尿病性腎症に次いで多く、腎硬化症は腎臓病の主要な原因の一つです。
腎硬化症は一度進行すると元の状態には戻りにくいという特性があります。そのため、早期に発見し、適切な管理を続けることが腎機能の低下スピードを抑えるうえで重要です。血圧の管理、生活習慣の見直し、そして定期的な医療機関でのフォローアップが、腎硬化症と向き合うための基本となります。
クレアチニンとは何か・腎臓との関係
クレアチニンとは、筋肉のエネルギー代謝によって生じる老廃物の一種です。筋肉中にあるクレアチンという物質が分解されることで生成され、血液の中を流れて腎臓でろ過されたのち、尿として身体の外に排出されます。腎臓のろ過機能が正常であれば、クレアチニンはほぼ一定の速度で排出されるため、血液中のクレアチニン濃度(血清クレアチニン値)は安定しています。
ところが、腎臓の機能が低下すると、クレアチニンを十分にろ過できなくなります。その結果、血液中にクレアチニンが蓄積し、血清クレアチニン値が高くなります。つまり、血清クレアチニン値は腎臓のろ過機能を反映する重要な指標の一つです。
血清クレアチニン値の基準値は、一般的に男性で0.65〜1.07mg/dL、女性で0.46〜0.79mg/dL程度とされています(各医療機関によって若干異なります)。この値が基準を上回る場合、腎臓のろ過機能が何らかの理由で低下している可能性が考えられます。
ただし、クレアチニンは筋肉量にも影響を受けるため、筋肉量の多い方は腎機能が正常でもやや高めに出ることがあります。逆に、高齢の方や筋肉量の少ない方では、腎機能が低下していても値が基準内に収まる場合もあります。そのため、クレアチニン値だけでなく、eGFR(推算糸球体ろ過量)という指標も合わせて評価することが一般的です。
まとめ
腎硬化症は自覚症状が出にくいながらも、放置すると腎機能の低下が着実に進んでいく病気です。クレアチニン値やeGFRなどの検査値を定期的に確認し、血圧管理・減塩・適切な運動・禁煙といった生活習慣の改善を継続することが、腎硬化症と上手に向き合うための基本です。症状がないからといって安心するのではなく、定期的に医療機関を受診し、医師と一緒に病状を管理していくことが大切です。クレアチニン値の異常や身体の変化が気になる方は、腎臓内科や内科への相談を検討してみてください。
参考文献
日本腎臓学会「診療ガイドライン」
厚生労働省「腎疾患対策」
厚生労働省「第7回 慢性腎臓病(CKD)ってなぁに?」
厚生労働省「4 慢性腎臓病(CKD)」
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