
「逆に僕だけ見えない」の主人公は、ブラック企業に勤める若手社員。ブラックと認識しながらも、就職したときに浮かれて買った新車のローンのせいで、辞めるわけにはいかない。ある日、社長が「ビジネスはエネルギーだ。そして霊感もエネルギーだ」と常軌を逸した発言をし始めた。そして「1カ月以内に霊が見えるようにならない社員はクビだ」と宣告する。



「上等だ!こんなヤバい企業、こっちから願い下げだ」と心の中で毒づくものの、辞めるわけにはいかない主人公。会社では霊が見えるようになるための謎の研修まで始まり、2週間後には見える社員も現れ始めた。見えなければいけないのは、この会社に棲みついている地縛霊だ。
■「気色悪い毛」で意思疎通!? 地縛霊との奇妙な交流
みんなが見えるようになっていくなか、主人公だけどうしても見えずに悩んでいると、机の上に「ガンバレ」と“死骸の毛”で書かれた文字が現れる。どうやら地縛霊が応援してくれているらしいが、毛で書かれた文字はとにかく気味が悪い。最初は怖がっていた主人公だが、誠実に謝罪してくる霊に対して、次第に心を打ちとけていく。
霊の正体は、このブラック企業で経理部に勤めていた元社員。数年前に過労死してしまい、死後も会社から離れられない地縛霊となったらしい。本作を描いたのは、会社員として勤める傍ら、漫画家としても活動している新田せん(@nittasen)さんだ。会社勤めをしていることを武器にネタを作り、創作活動に取り組んでいる。
本作について、新田さんは「人間が日々“怖い”とか“嫌い”と思っているものも、よく知ってみるとかわいいところがあるのかな?と思いながら幽霊のヒロインを描きました。ですので、ヒロインをかわいく見せる点にはこだわったといえるかもしれません」と語る。霊感のない主人公と幽霊の女の子は「気色悪い毛」を使って意思疎通を図るが、あれは彼女の必須アイテムであり、幽霊だけが所持できるものだという。
■ユーモアの中に光る「あるある」と隠された真相
また、終盤になるにつれ存在感を出してきた「メガネの藤田」については、「藤田くんはただのモブだったんですけど、『絶対この職場おかしい』と思いながらも、言えずに流されてしまってる感じが、多くの人の“あるある”を想起して共感を呼んだのかもしれません」と振り返る。
過労死した元経理部の彼女は、一体どうして地縛霊とならなければいけなかったのか。主人公が「お前、悪いこと何もしてないだろ!?」と霊に問いかけるシーンがある。そのとき、彼女が“気色の悪い毛”で書いた文字は「フンしョクケっサン」の文字だった。ヘビーなワードも飛び交う作品だが、実は新田さんの得意とする分野は「ラブコメです。それしか描けないともいえます(笑)」とのこと。終始ユーモアあふれる作品となっているので、ぜひ読んでみてほしい。
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