
俳優の水谷豊と寺脇康文が、10月12日に東京・六本木のテレビ朝日本社アトリウムで開催された「相棒 season24」(毎週水曜夜9:00-9:54、テレビ朝日系※初回の10月15日[水]は夜9:00-10:09)ファンミーティング生配信に登場。シリーズ誕生25周年を記念して行われた初めてのファンミーティングで、作品への思いや歴代“相棒”の印象などを語った。
■シリーズ誕生25周年!初回は“人間国宝”を巡る事件
土曜ワイド劇場の1作品として2000年に誕生して以来、濃密で骨太なミステリーを世に送り出し、国民的ドラマとして不動の人気を誇る本作。放送回数は446話に到達し、2025年はシリーズ誕生25周年の節目を迎える。警視庁特命係の杉下右京(水谷)と亀山薫(寺脇)の“黄金コンビ”としては、通算11シーズン目となる。
輿水泰弘が脚本、橋本一監督が演出を担当する「season24」初回スペシャルで描かれるのは、“人間国宝の講談師”を巡る殺人事件。右京が人間国宝に弟子入りするという意表を突く幕開けで、四半世紀の“相棒ワールド”が新たな境地に突入する。
ファンミーティングは大の「相棒」ファンであり、俳優として過去に二度同シリーズに出演経験のある赤ペン瀧川がMCを務め、約8000人の応募者の中から選ばれた250人の観客の前で行われた。
熱気に満ちた会場に現れた水谷が、大勢のファンに「皆さま、ようこそ相棒ワールドへ。お目にかかる日を楽しみにしておりました」とあいさつすれば、寺脇は「よくこれだけのエキストラを集めて…」とおどけつつ、「どうもありがとうございます。特命係・亀山薫でーす!」と、冒頭から愛嬌たっぷりに盛り上げた。
今回は2人だけではなく、土曜夜9時からの2時間ドラマ枠である「土曜ワイド劇場」第1弾から脚本を手掛け、シリーズ“生みの親”の一人と言っても過言ではないメイン脚本家・輿水氏も登壇。25年の歴史を振り返ることに。

■相棒たちの“名前の法則”も「3代目までは気が付いてなかったんですよ」
プレシーズン時代の「相棒」第1弾の脚本を読んだときのことを、水谷は「こんなに面白い刑事モノ、サスペンスという意味でも、かつて読んだことはなかったです。(書いた輿水氏)本人がいるから言うわけじゃないですけど、本当に素晴らしかったです。“生みの親”ですから。すごいものを作ってくれたなと思っています」と輿水氏の顔をしっかり見て伝えると、輿水氏は「ありがとうございます。脚本家冥利に尽きます」と恐縮しきり。
一方、寺脇は「始まる7年前に『刑事貴族』(日本テレビ系)という作品でも豊さんとご一緒したんですけど、そのときは上司と若手の中の一人のような感じだったので、ここでがっぷり四つで『相棒』ということをやらせてもらえるんだ!という喜びと、本を読んだときに『映画みたい!こんなのあるんだ』とびっくりした覚えがあります」と述懐した。
また、歴代の相棒たちについての話題では、意外なエピソードも。亀山薫(かめやまかおる)から始まり、神戸尊(かんべたける)、甲斐享(かいとおる)、冠城亘(かぶらぎわたる)と、全て“か”で始まり、“る”で終わる役名というのはよく知られた話だが、輿水氏は最初からその法則を意識していたわけではなかったようで、水谷が「こっしー(輿水氏)は、3代目までは気が付いてなかったんですよ」と語ると、輿水氏は「そうなんです。これを発見したのは脚本家の戸田山雅司さんなんです」と打ち明け、観客もびっくり。
続けて輿水氏は「あの方が粋な方で、直接言うんじゃなくて、(戸田山氏が脚本を担当した回で)角田課長(山西惇)のせりふとして、ドラマの中で言わせたんですよ。それを見て『えっ!?』って(笑)。だから、冠城亘は“か”で始まって“る”で終わるというので考えたんです」と話すと、水谷はうれしそうに「こっしーが全部そうやっているんだろうと思っていました。あるときに確認したら、今の話を聞いたんですよ」と振り返っていた。

■水谷の歴代“相棒”たちの印象
水谷が歴代の相棒の印象を話す場面では、まず及川光博が演じる神戸尊について「神戸くんのときは『2人ともエリートじゃないですか。エリート2人がやって面白くなるんですか?』とよく言われたんです。でも、エリートだからと言ってみんなが同じわけじゃない、という面白さを出せたらいいなと2人で話してきました」と明かす。
成宮寛貴が演じる甲斐享については「甲斐くんになったときには、(実年齢が)30歳と60歳だったんですよ。息子みたいな感じでしたね。僕も若い人と付き合うという意味では楽しいシーズンでした」と話し、反町隆史演じる冠城亘については「こっしーが言ってましたけど、(反町は輿水氏の)中学の後輩ですから。『先輩の書くせりふは長いなぁ』って言ってました(笑)。スタイリッシュで、ちょっとユーモアもあるし、新しい相棒がまた一つ始まったな、と思わせてくれたのが冠城くんでした」と、それぞれの印象を語った。
そして、これで通算11シーズンを共にすることになる亀山薫=寺脇については「実は亀山くんが特命係を去ったとき、いつか『相棒』が終わるだろうから、その頃には何らかの形で戻ってきてほしい、という思いがあったんです」とした上で、「僕の誤算だったのは、こんなに長く『相棒』が続くとは思ってなかった…。それでちょっと呼ぶのが遅くなったという」と大笑いしながら話すと、寺脇も「呼ばれたときは60歳でしたから(笑)。『還暦ですけど、大丈夫ですかね?』『フライトジャケット着られますかね?』って」とニッコリ。
あらためて、いざ復帰が決まったときのことを、寺脇は「2人だけでお会いしたとき、『これが運命だよ』って言ってくださったので、そのときは泣いてしまいました」と感極まったことを吐露しつつ、「もし床屋さんに行って、髪の毛が立たなかったらやめます。(立たないと)薫ちゃんじゃないから。それまでちょっと待ってくださいって。それで散髪に行って、『立ってまーす!』って(笑)」としっかりユーモアも交え、会場を笑いに包んだ。
■それぞれの「僕の悪い癖」は?
その後、これから「相棒」シリーズの中でやってみたいジャンルについて述べたり、詰め掛けたファンから水谷、寺脇へ直接熱い思いをぶつける企画、SNSを通じて寄せられた質問に答えるコーナー、スペシャルグッズ抽選会などが行われた。
ファンからの質問では、右京の口癖にちなんで「“僕の悪い癖”は何か」や「お互いのチャーミングだなと思うところ」などを答える場面が。
“悪い癖”について、水谷は通い慣れているはずの撮影所の楽屋やメーク室、トイレに行くときに道を間違えるなど「極度な方向音痴」なところを挙げ、寺脇は水谷に対して間違った情報を伝えがちなところだと答えた。
さらに、寺脇のチャーミングなところについて、水谷は「(シリーズに復帰したときから)毎回僕とランチを食べたがるんです。ロケでも撮影所でも、毎回。こんなに僕とお昼を食べたがる人は初めて」と明かし、「最初ね、こういう人ってちょっとウザイと思うじゃないですか。でも、ずっと続けてくるうちにチャーミングに見えてくるんです。最近ではお昼に僕から探すようになった」と語ると、寺脇は「続けるもんですね。“継続はチャーミングなり”、です」と、うまいことを言っていた。
最後に、寺脇は「これからも皆さんの人生に寄り添って、明日の元気になってもらえるような作品を作っていくために毎話、毎シーン、毎カット、全力で楽しいものを作っていきたいと思っておりますので、応援よろしくお願いいたします」と力を込める。
水谷は「『相棒』を長くやっておりまして、『相棒』が変わったなと思った瞬間があったんです。公園でロケをやっていて、待ち時間に犬を連れた女性が散歩に来たんです。ふと目が合ったら、その女性が『右京さんよ』って犬に話し掛けたんです。犬も見るようになったんだ、『相棒』も変わったなと思いました(笑)。皆さまに楽しんでいただけるように、我々もできることをできる限り今シーズンもやっていきたいと思います。今日はありがとうございました」とウイットに富んだあいさつで、初のファンミーティングを締めくくった。
◆取材・文=ブルータス・シーダ(STABLENT)

