腎硬化症の治療では、血圧管理が中心的な役割を担います。高血圧そのものが腎臓の血管を傷める根本原因であるため、血圧を適切な範囲に保つことが腎機能の悪化を緩やかにすることにつながります。ACE阻害薬やARBといった降圧薬が広く使われており、薬の働きや注意点を正しく理解することが、治療を続けるうえで大切です。

監修医師:
田中 茂(医師)
専門は内科学・腎臓内科・血液透析・腹膜透析・臨床疫学・生物統計学
腎硬化症で腎機能の低下を防ぐための治療的アプローチ
クレアチニン値が高い状態が続くと、腎機能のさらなる低下につながる可能性があります。このセクションでは、腎硬化症に対する医療機関での治療的アプローチについて、具体的に解説します。
血圧管理が腎硬化症治療の柱となる理由
腎硬化症の治療において、血圧のコントロールは中心的な役割を果たします。高血圧が腎臓の血管を傷める根本的な原因であるため、血圧を適切な範囲に保つことが腎機能の悪化を遅らせることに直結します。
一般的に、腎硬化症の患者さんに対しては130/80mmHg未満を目標とした血圧管理が推奨される場合があります(ただし個人差があり、医師の判断のもとで目標値を設定します)。特に尿タンパクが認められる場合は、より厳格な血圧管理が必要になることもあります。
降圧薬(血圧を下げる薬)としては、ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)やARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)が広く用いられています。これらは血圧を下げるだけでなく、糸球体内の圧力を和らげ、腎臓への負担を軽減する効果が期待できます。ただし、患者さんの状態によっては副作用や腎機能の一時的な変動を招くこともあるため、必ず専門医の厳密な管理のもとで服用してください。
降圧薬を服用し始めると、一時的にクレアチニン値がやや上昇することがあります。これは、薬が腎臓の糸球体内の圧力を下げることで生じる現象であり、必ずしも腎機能が悪化しているわけではありません。急激な上昇でない限り、経過を見ながら治療を続けることが一般的です。
薬物療法以外の治療管理(食事・減塩・生活習慣)
腎硬化症の管理には、降圧薬などの薬物療法だけでなく、食事や生活習慣の改善も欠かせません。特に塩分(食塩)の制限は、血圧管理と腎臓保護の両面から重要とされています。
日本腎臓学会のガイドラインでは、慢性腎臓病の患者さんに対して1日あたりの食塩摂取量を3g以上6g未満とすることが推奨されています。日本人の平均的な食塩摂取量は1日10g前後ともいわれているため、意識的な減塩の取り組みが求められます。具体的には、醤油や味噌の使用量を減らす、漬物や塩辛などの塩分が高い食品を控える、汁物の量を少なくするなどの工夫が効果的です。
タンパク質の摂取量についても、腎機能の段階に応じた管理が必要です。タンパク質は体内で代謝されると老廃物が発生し、腎臓に負担をかけるため、腎機能が低下している方では適切な量に抑えることが求められます。ただし、タンパク質を極端に制限すると栄養不足になるリスクもあるため、管理栄養士や医師と連携しながら個別に調整することが大切です。
また、禁煙も腎硬化症の管理において重要な取り組みです。喫煙は血管を収縮させて血圧を上昇させるとともに、動脈硬化を促進するため、腎臓の血管への悪影響が懸念されます。運動習慣についても、腎機能の状態に合わせた適度な身体活動が血圧管理や心血管リスクの低減に寄与するとされています。
まとめ
腎硬化症は自覚症状が出にくいながらも、放置すると腎機能の低下が着実に進んでいく病気です。クレアチニン値やeGFRなどの検査値を定期的に確認し、血圧管理・減塩・適切な運動・禁煙といった生活習慣の改善を継続することが、腎硬化症と上手に向き合うための基本です。症状がないからといって安心するのではなく、定期的に医療機関を受診し、医師と一緒に病状を管理していくことが大切です。クレアチニン値の異常や身体の変化が気になる方は、腎臓内科や内科への相談を検討してみてください。
参考文献
日本腎臓学会「診療ガイドライン」
厚生労働省「腎疾患対策」
厚生労働省「第7回 慢性腎臓病(CKD)ってなぁに?」
厚生労働省「4 慢性腎臓病(CKD)」
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