「糖尿病神経障害」「糖尿病網膜症」「糖尿病性腎臓病」の3つが糖尿病の三大合併症です。最初に表れるのは神経障害で「末端の神経のしびれ」を感じるそうです。糖尿病・内分泌内科りんごの花クリニックの武井先生に詳しく説明してもらいました。

監修医師:
武井 真大(糖尿病・内分泌内科りんごの花クリニック)
信州大学医学部医学科卒業、信州大学大学院医学系研究科修了。その後、信州大学医学部附属病院などで生活習慣病に特化した診療を積む。2020年、群馬県伊勢崎市に「糖尿病・内分泌内科りんごの花クリニック」開院。医学博士。日本内科学会認定内科医・総合内科専門医、日本内分泌学会内分泌代謝科専門医・指導医・評議員、日本糖尿病学会糖尿病専門医・研修指導医、日本動脈硬化学会動脈硬化専門医・指導医、日本高血圧学会高血圧専門医ほか。
編集部
糖尿病で、末端の神経がしびれるという話も聞きます。
武井先生
目と同様で、末端神経に酸素不足や栄養不足が起きているのでしょう。糖尿病には、「糖尿病神経障害」、「糖尿病網膜症」、「糖尿病性腎臓病」の三大合併症があります。患者さんには、神経の「シ」、目の「メ」、腎臓の「ジ」をそれぞれ取って「シメジ」とご説明しています。
編集部
「シメジ」とは、覚えやすくてユニークですね。
武井先生
しかも、「シメジ」の順番で症状が表れてきます。末端の神経のしびれは、最も早く出てくる合併症です。続いて糖尿病網膜症は糖尿病発症後、5~10年くらいで遅発することが多いですね。そして最後に、腎臓がやられてきます。逆に、糖尿病による腎障害を抱えているほとんどの人は、すでに目の病気も進んでいるはずです。
編集部
第1段階の神経のしびれって、どういう感じなのでしょうか?
武井先生
患者さんによって表現方法は異なりますが、軽い痛みを伴ったピリピリ・チリチリとした感覚だそうです。なお、このしびれは心臓から遠い位置に顕著で、足であれば「両足」に生じます。とくに、つま先などの末端にでやすいのが特徴です。なお、片足だけのしびれだとしたら、別の整形外科領域の疾患かもしれません。糖尿病は全身の疾患ですから、左右片方だけ異常が出るということは考えにくいです。
編集部
最後に、読者へのメッセージがあれば。
武井先生
足のしびれは命に関わるということでもないので、もしかしたら、放置している人もいらっしゃるでしょう。しかし、「シメジ」の順に症状は進んでいきます。また、しびれが無感覚に発展すると、画びょうなどを踏んでも気づきません。比較的軽度といえる「シ」のうちに、それ以上の進行を防ぐように努めましょう。さらに言うなら、「シ」の前段階での予防が好ましいです。
※この記事はMedical DOCにて【糖尿病で失明の危険性が!? 「糖尿病網膜症」ってどんな病気?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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