腎硬化症は「沈黙の病気」とも呼ばれ、初期から中期にかけて自覚症状がほとんど現れないことが特徴です。腎臓には予備機能があり、機能がある程度低下しても症状が出にくい状態が続きます。夜間頻尿や尿の泡立ち、身体のむくみといったサインに気づいたとき、早めに腎臓内科や内科を受診することが、その後の経過を左右する大切な行動です。

監修医師:
田中 茂(医師)
専門は内科学・腎臓内科・血液透析・腹膜透析・臨床疫学・生物統計学
腎硬化症の主な症状と自覚しにくい理由
腎硬化症は「沈黙の病気」とも呼ばれ、長い間自覚症状が現れにくいのが特徴です。このセクションでは、腎硬化症でどのような症状が起こるのか、また症状が出にくいのはなぜかについて解説します。
初期から中期にかけて見られる症状の特徴
腎硬化症の初期段階では、多くの場合、自覚できる症状はほとんどありません。腎臓には予備機能があり、ある程度機能が低下しても残存した糸球体が補うため、日常生活に支障が出にくい状態が続きます。そのため、健康診断や他の病気の検査で偶然クレアチニン値の異常が発見されて初めて腎臓の問題に気づく方が少なくありません。
腎機能がある程度低下してくると、次第に以下のような症状が現れ始めることがあります。
・夜間に何度もトイレに行く(夜間多尿・夜間頻尿)
・尿の泡立ちが続く(尿タンパクのサイン)
・血尿(多くは健診などの検査でのみ確認される軽度なもので、肉眼で確認できるほどの血尿は、ほかの腎疾患の可能性も考慮)
・身体のむくみ(特に足首や顔まわり)
・疲れやすさ・だるさ
夜間多尿は、腎臓が尿を濃縮する機能を失い始めると生じやすい症状です。また、尿の泡立ちは尿タンパクの増加を示しているサインであることがあります。これらの症状に気づいたとき、すぐに腎臓内科や内科を受診することが早期対応につながります。
腎硬化症で症状が自覚しにくい理由と見落としのリスク
腎硬化症が長期間にわたって自覚症状を伴わない理由は、腎臓が持つ優れた補完機能にあります。腎臓には左右合わせておよそ200万個の糸球体が存在し、その一部が機能を失っても、残りの糸球体が代わりに働くことで全体のろ過機能を維持しようとします。そのため、腎機能が半分程度に低下していても、自覚症状がほとんど出ないことがあります。
また、腎硬化症の原因となる高血圧自体も、多くの場合は自覚症状に乏しい状態が長く続きます。高血圧も腎硬化症も、どちらも症状が出にくいという特徴が重なることで、気づいたときにはかなり進行していたというケースが生じやすくなります。
見落とされやすいリスクとして、定期的な健康診断や血液・尿検査を受けていないことが挙げられます。検査で尿タンパクやクレアチニン値の異常が指摘されても、「症状がないから大丈夫」と放置するのは危険です。症状の有無にかかわらず、検査値の異常があれば医師の診察を受けることが大切です。
腎硬化症が進行した段階では、身体に老廃物が蓄積することで「尿毒症(にょうどくしょう)」と呼ばれる状態に至る可能性があります。尿毒症では吐き気・食欲不振・意識障害などが現れ、命に関わる深刻な状態になる場合もあります。そのような状況を避けるためにも、腎硬化症は早期発見・早期管理が何より大切です。
まとめ
腎硬化症は自覚症状が出にくいながらも、放置すると腎機能の低下が着実に進んでいく病気です。クレアチニン値やeGFRなどの検査値を定期的に確認し、血圧管理・減塩・適切な運動・禁煙といった生活習慣の改善を継続することが、腎硬化症と上手に向き合うための基本です。症状がないからといって安心するのではなく、定期的に医療機関を受診し、医師と一緒に病状を管理していくことが大切です。クレアチニン値の異常や身体の変化が気になる方は、腎臓内科や内科への相談を検討してみてください。
参考文献
日本腎臓学会「診療ガイドライン」
厚生労働省「腎疾患対策」
厚生労働省「第7回 慢性腎臓病(CKD)ってなぁに?」
厚生労働省「4 慢性腎臓病(CKD)」
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