2026年6月24日 神聖な奉仕|辛酸なめ子

2026年6月24日 神聖な奉仕|辛酸なめ子

先日、伊勢の民俗行事である「お木曳」(おきびき)に初参加することができました。伊勢神宮のパワースポットの話題の続きですが、神社本庁のツアーに参加させていただきました。20年に一度行われる伊勢神宮の式年遷宮において、新しい社殿を建てるための御用材を神宮まで皆で引っ張って運ぶという伝統的な行事です。

 

1日目の夕方は、伊勢の神領民(伊勢市内に住む人々)の、この奉仕についての誇りや歴史についてレクチャーを受けました。「お木曳」の前後には、御用材(ヒノキ)を川を渡りながら曳いてくる「川曳」という行事や、夏に「お白石持ち」という御垣内に敷き詰める白石を奉納する行事があるそうです。川曳は、参加した女性によると水が胸の上くらいの深さまであるそうで、泳げないので無理ですが、白い石を拾う行事は機会があれば参加したいです。

「お木曳」は朝集合で、その前に早朝、身を清めるために二見興玉神社に参拝したのですが(浜参宮という慣わし)、道中ツバメが十数羽頭上を乱舞するという不思議なできごとがありました。伊勢神宮界隈は波動が高いからかツバメが多いです。

今回のツアーの方々と白装束で集合。準備してきた白いシャツとパンツ、スニーカーに配布された法被と鉢巻を身に付けます。特にリハーサルも練習もなく、白い綱を持って引っ張ります。各神社から参加していて総勢600人以上でした。少し前には斎藤工さん小栗旬さんも参加していたという情報が……。ぜひ一緒に曳きたかったです。今回見回したのですがそのような俳優的な方は見当たりませんでした。

お木曳きの2列の真ん中に木遣りの人がいて先導してくれて、唄に対して合いの手を入れながら進みます。「やっとこせ~よ~いなや~」とか「エイヤ!」といった合いの手です。後ろの人の足袋スニーカーが加水分解したのか底が外れるなどのハプニングがありました。御用木と奉曳車(ほうえいしゃ)合わせて5.5トンと、600人いても手応えを感じる重さでした。途中、統括している人に「ペースが大変遅うございます」と煽られる一幕もありましたが何とか無事に外宮に到着しました。

気になったのは奉曳車の木札や、参加者が首から下げる木札に書かれた「太一」という言葉。万物の根源を表す神聖な言葉で照大御神のことも表しているそうです。車と木と奉仕する人々が一体になる、という思想も表しています。ワンネスということでしょうか。神道もアニミズムに通じているのを感じさせる言葉でした。伊勢神宮は神社の自然全体、森羅万象に神が宿っているのでしょう。

約一時間ほどですが、貴重な奉仕活動をさせていただきました。心地よい疲れに包まれたまま、その後一人鳥羽水族館に直行いたしました。

数日後、BS12(トゥエルビ)の BOOKSTAND.TVという素敵な番組にちょっと出させていただいて、「先日伊勢神宮でお木曳してきたんです!」と早速報告したのですが、共演の方々が戸惑っているというか引いている表情。

「お木曳(おきびき)」と同じ発音の「置き引き」をしてきたと一瞬思われたようです。置き引きとは「置いてある荷物から少しだけ目を離した隙に持ち去る犯罪」。それを嬉々として報告したら番組がお蔵入りどころか社会生活が終わるところでした。誤解が解けてよかったです。

今回引っ張らせていただいた奉曳車(ほうえいしゃ)と白装束。一般参賀などにこの格好で行ってみたくなりました。

綱を引っ張っている様子。途中、綱が激しく上下するなど生き物のような不思議な体感もありました。

 

配信元: 幻冬舎plus

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