「台風が来るから飲み会を中止したのに、キャンセル料100%と言われた」——。
そんな投稿がThreadsで注目を集めています。
投稿者によると、台風接近のため、会社の飲み会を前日に中止したところ、予約していた飲食店から、規定に基づき、飲み放題を含めたキャンセル料100%を請求されたといいます。
SNSでは「前日なのに100%は厳しすぎる」「自然災害なのだから例外にすべきでは」と同情する声がある一方、「予約時のルールなら仕方ない」と理解を示す意見もみられました。
投稿者は延期も相談したものの、キャンセル料は発生すると案内されたそうです。
台風などの自然災害を理由に利用を取りやめた場合でも、キャンセル料を支払う必要はあるのでしょうか。西口竜司弁護士に聞きました。
●原則としてキャンセル規定に従う
結論から言うと、台風などの自然災害が理由であっても、事前に同意したキャンセル規定がある場合は、原則として、その内容に従って支払う義務があります。
飲食店を予約することは、法律上、「飲食提供契約」を結んだことになります。
ポイントとなるのは、「お店が営業できる状態にあったかどうか」です。
たとえ台風が接近し、警報が発令されたり、交通機関の計画運休があったとしても、お店が通常どおり営業していれば、店側は料理やサービスを提供できる状態にあり、契約上の義務を果たせることになります。
ただし、個人の予約だった場合は、キャンセル規定があるからといって、店側が「いくらでも請求できる」わけではありません。
消費者契約法9条1項1号では、キャンセル料について「その事業者に生ずべき平均的な損害の額」を超える部分は無効とされています。
●支払わなくてよいケースとトラブルを防ぐポイント
一方で、お店が台風で「臨時休業」し、サービスを提供できなくなった場合は、店側が契約上の義務を果たせないため、原則としてキャンセル料を支払う必要はありません。
自然災害時のキャンセルをめぐるトラブルを防ぐためには、私たち利用者側も次のような点を意識するとよいでしょう。
(1)予約時にキャンセルポリシーを確認する (2)台風の接近が予想される場合は、数日前(ペナルティが軽い段階)に開催するか中止するかを判断する
また、キャンセル料に納得できない場合は、その金額の根拠について説明を求めることもできます。
飲食店側も、予約に合わせて食材の仕入れや人員配置などの準備を進めています。そのため、キャンセル料には、そうした損失を補填する意味合いがあります。決して意地悪で請求しているわけではありません。
自然災害は誰にも避けられません。お互いが気持ちよく外食文化を楽しむために、予約という「約束」の重みと、お店側の準備への想像力を持つことが大切だと思います。
いずれにしても、大きな災害が発生しないことを祈るばかりです。
【取材協力弁護士】
西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士
大阪府出身。法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。弁護士YouTuberとしても活動を開始している。Xリーグ選手でもある。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/

