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龍神に“お嫁さん”と勘違いされた少年の運命は…切なく優しい物語に「孤独や心の痛みが伝わってくる」の声【漫画】

龍神に“お嫁さん”と勘違いされた少年の運命は…切なく優しい物語に「孤独や心の痛みが伝わってくる」の声【漫画】

『ひとりぼっちがたまらなかったら』アイキャッチ
『ひとりぼっちがたまらなかったら』アイキャッチ / (C)idonaka/PIE International

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、『ひとりぼっちがたまらなかったら』(PIE International刊)を紹介する。作者のidonakaさんが、5月18日にX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、「いいね」やコメントが多数寄せられた。本記事では、idonakaさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。

■龍神のお嫁さんとして呼ばれた紫太郎
『ひとりぼっちがたまらなかったら』より
『ひとりぼっちがたまらなかったら』より / (C)idonaka/PIE International

『ひとりぼっちがたまらなかったら方』はWEBザテレビジョンで掲載中です

中学の入学式が終わり家に帰った後からの記憶がない紫太郎。目が覚めると、見知らぬ神社のベンチで横たわっていた。記憶を手繰り寄せている紫太郎の目の前に「起きたか!お嫁さん!!」と様子を伺う“怪物”が現れる。その怪物は、“龍の神”であることを伝え、“雨を降らせることと引き換えに嫁をいただく”という約束をしていると話す。

紫太郎は急な話に混乱し、お嫁さん=イケニエと思ってしまう。自身は男子で、嫁ではないことを伝えるが、龍神には納得してもらえない。困り果てた紫太郎は、嘘で龍神を騙した。龍神は嘘を信じ、諦めてくれたが残した言葉にモヤモヤしてしまう紫太郎。さらに、龍神が100年も前から独りでお嫁さんを待ち続けていることを知った紫太郎は…。

本作を読んだ人たちからは、「龍神さまが魅力的」「孤独や心の痛みが伝わってくる」「すべての表情が豊か」「優しさと力強さを感じる」など、多くのコメントが寄せられている。

■作者・idonakaさん「町の洋食屋のように時々食べに来てほっとするような作家でありたい」
『ひとりぼっちがたまらなかったら』より
『ひとりぼっちがたまらなかったら』より / (C)idonaka/PIE International


――本作のお話の発想の源はどこだったのでしょうか?

こちらの作品は元々個人制作として描き始め、後々連載版となった漫画です。質問に答えるためには記憶を2018年頃まで遡ることになりますので、頑張って思い出しながら答えますね!

自身にとってほぼ初めて挑むオリジナル作品で、「個人制作なんだから好きに描こう!」と、純粋にただただ「好き」な要素を物語…特に序盤…に詰め込みました。
第1話で目立つところですと「龍」、「少年」、「神社」となるかと思います。

「龍」は幼い頃からファンタジーRPGが好きで、その中でも味方になってくれるドラゴンキャラが好きだったから。「神社」は自分が田舎から東京へ出てきて初めて訪れた小さな神社が美しかったから。最後に「少年」ですが、こちらのみ逆張り的な要素です。

龍と人との異類婚姻譚を描きたいなと思いついたとき、当時既にドラゴンと女の子の漫画はいくつかあったため、性別を逆にすれば他に無いのでは?という考えで龍の相方を男の子にしました(※しかし後ほど、同様の漫画は既に存在することを知ることになります。世界は広い)。

そして本作の主人公となる紫太郎という男の子主人公を考える際、「片目隠し」の男の子を作ってみたいなと思い、あらゆる片目隠し主人公キャラクターを研究し、彼が誕生しました(※しかし本編では片目にとあるギミックがある関係上、片目隠れシーンは稀です。あちゃー)。

――本作では、ヤマブキのくるくる変わる表情や、美しい毛並みが非常に印象的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。

ありがとうございます。ヤマブキという龍を考える際、紫太郎と同様に、あらゆる東洋龍を研究する必要がありました。その中で、水墨画における龍の描き方の教本に出会いまして、そこに描かれている龍の絵が表情豊かで可愛らしく、(こういう龍がいてもいいんだ…!)と知見を得てあのヤマブキが完成しました。

作者個人として注目してほしいポイントは、紫太郎とヤマブキの口癖です。紫太郎はときめいたとき・嬉しいときに思わず「ひゃー」と口から出ています。探してみてください。本編通して何度か言っています。

ヤマブキは楽しいとき、驚いたときに「たまらん!」と言っています。これは分かりやすいと思います。ヤマブキに関してはさらに、目の前の男の子が「紫太郎」という名前だと分かったことが嬉しくて、本編中にとにかく紫太郎の名前を呼びます。作者としても意識して(普通は呼ばなくてもいい台詞でも)名前を呼ばせているので、ぜひ本編を通してヤマブキの吹き出しに注目してみてください。異様な回数紫太郎の名前を呼んでいます。それだけ嬉しかったのです。

――震えているヤマブキの姿が健気で愛おしく感じる本作ですが、idonakaさんが特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。

ありがとうございます!掲載していただく第1話においては、最初の水の中に落ちた紫太郎をヤマブキが見つけるシーンが個人的に思い入れが強いです。なぜ落ちたのか?という謎の提示と、大きな龍が小さな身体の少年を見つけるというシーンとしての神秘性、この2つを両立させることを意識して描きました。

連載版になるにあたり、個人制作版からかなり多くのシーンを描き直しているのですが、描き直し前の同一シーンも同じくらいお気に入りです(idonakaのpixiv等で旧バージョンも読めるはず…!ですのでよければ見てみてください)。

この作品を作る前まではインクと付けペンでペン入れを行っていたのですが、自身の今後の作品制作においてのメインツール選択に非常に悩み、この出会いシーンに関してはアナログとデジタルの両方で1枚ずつ描きました。その結果、デジタルの方が綺麗に仕上がったため、この後の作画もデジタルで統一することに決めました。技術選択の分かれ道になったという意味でも、思い入れの深いシーンです。…といいつつ、未だにアナログ作画への憧れもあるのですが…。

――ストーリーを考えるうえで気をつけていることや意識していることなどについてお教えください。

これは未だに自身の課題でもあるのですが、いかに短いページ数で状況を伝えるか?ということと、いかにそれをただの説明しないか?ということに気をつけていま…いやできてないかもな……気をつけたいです。

漫画の画面において、今登場人物たちが置かれている状況が何処で、なにが起きていて、彼らはどんな感情を持って、今からなにをしようとしているのか?この要素を声優さんもBGMもない、モノクロの紙にコマと絵のみで伝えるというのは本当に難しく、同時にたいへん腕が鳴る要素です。漫画の醍醐味であり、描き手としては最も難しいところ……だと考えています。

『ひとりぼっちがたまらなかったら 』においては、個人制作時代に上記の要素をひとりで作ることは難しいという限界を感じていたため、商業連載という形で描くことに集中できる時間を与えていただけたことを本当に感謝しています。

1話の範囲ではないのですが、物語後半のとある紫太郎とヤマブキの「追いかけっこ」シーンは、上記の課題を特に意識して描きました。コマ割り・背景・動作・そして表情から彼らがなにを抱えて、なにをお互いにぶつけようとしているか?それを絵だけで読み取って貰えることができ、描き手としては嬉しい限りです。

――本作は、翻訳版も出版されていますが、出版が決まった際のお気持ちについてお聞かせください。

ヤッター!でした。

コミティアというオリジナル作品の同人誌即売会によく出展していたのですが、お越しくださる方の中に時折海外の方がいらっしゃって、お話を聞くと「ポスター(龍のヤマブキ)に惹かれて来ました」と教えてくださることが度々ありました。東洋龍という存在が海外の皆さんにもカッコいい・美しい生き物として認識されており、おそらく「龍の漫画であること」が翻訳版に繋がった要素として大きいのではないかと思っています。龍のポテンシャルの高さを感じて、いちドラゴン好きとしても嬉しい限りです。

オファーの順ではなく出版順となりますが、最初はスペイン語版から始まり、ベトナム語版、韓国語版、フランス語版の4カ国語にて出版されています。それぞれの国の担当の方が特典カードや広告で展開を頑張ってくださり、ありがたい限りです!作者なので現物を頂けるのですが、それを見るのが毎回楽しくてたまらんです。

――今後の展望や目標をお教えください。

『ひとりぼっちがたまらなかったら 』は1冊完結の連載として始まり、数年前に無事出版されました。この経験を踏まえて現在は新作の設定やネームを作りつつ、同時に漫画の描き方(特に背景)の勉強のやり直しをしています。

今後の目標…はしっかりとは定っていないのですが、第1作目となる今作の出版時に考えた自分の作家としての在り方、「町の洋食屋のように時々食べに来てほっとするような作家でありたい」は未だ変わっていません。あまり急がす、でもお待たせしすぎずに新しい作品をまた読んでいただけるように、引き続き精進します。

――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!

ずっと前から見てくださっている方、単行本発売時に店頭にて展開してくださった書店員の皆さま、最近知ってくださった国内・海外の皆さま、一冊の漫画本が発売から2年経った今でもこうやって話題にしていただけております…!ありがとうございますー!

ご感想や展開の後押しにはいつも元気づけられております。また楽しく読める漫画が描けるように裏で頑張っておりますので、無事新作が出せた時にはぜひまた読みにいらしてください。この度は久しぶりに『ひとりぼっちがたまらなかったら』を語る機会をいただき、ありがとうございました!

『ひとりぼっちがたまらなかったら方』はWEBザテレビジョンで掲載中です

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