円形脱毛症の症状が出現し、心の負担になっていませんか?円形脱毛症は重症化しても命が奪われる病気ではありません。
しかし抜け毛の問題は年齢、性別にかかわらず精神的な強いストレスになります。円形脱毛症になっても、育毛剤やマッサージなど自己流の対処法で乗り切ろうとする方も少なくないようです。
ただ、原因を探るためにも早い段階で医療機関を頼った方が早期解決に繋がるかも知れません。最新の研究により発症原因は必ずしもストレスだけとは言えないことも解明されつつあり、専用の治療法も選択可能です。
※この記事はメディカルドックにて『「円形脱毛症」の原因や治療法はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。
円形脱毛症の診断方法や治療方法

円形脱毛症の診断基準が知りたいです。
円形脱毛症を診断するときはまず脱毛症状を観察し、経過について質問します。円形の大きな脱毛部位が突然できた場合などは円形脱毛症の疑いが濃厚です。爪に変化が出ることもあるので爪の様子も確認します。他にも家族歴・再発かどうか・アトピー性皮膚炎の有無・合併症など色々な角度から患者さんにお話を聞いて最終的な診断を決定する流れになるでしょう。
また、円形脱毛症の診断上、ダーモスコピーが用いられることが多く保険適用となっています。
円形脱毛症はどのように治療しますか?
症状や重症度によって適切な治療法は異なります。通常用いられるのはステロイド外用薬や光線療法ですが、成人には効果があっても子供には副作用が強すぎる薬もあるので、患者さんの年齢も治療法を決める重要な要素の1つです。健康保険が適用されるステロイド局所注射は単発型や多発型の改善に高い効果が期待できると考えられています。ただし副作用の面から低年齢の患者さんへの実施は推奨されていません。
また、注射針を刺すときの痛みが強いこと、注射部位が陥没する恐れがあることがデメリットです。人工的にかぶれを起こし発毛を促進させる局所免疫療法は、脱毛の範囲が広いケースに向いています。自由診療になるので公的な医療保険制度は使えませんが、子供でも受けることが可能です。
注意点として半年から1年と治療期間が長く、アトピー性皮膚炎などの湿疹が一時的に悪化する恐れがあることも覚えていて下さい。
リンパ節の腫脹など副作用を伴う治療法なので、デメリット面をよく把握した上で治療するかどうか決めなくてはいけません。他にも飲み薬・外用薬・冷却治療・紫外線療法など色々なアプローチ方法があります。患者さんの希望や予算など全体のバランスを調整しながら最善の治療法は何か、決めていくことになるでしょう。
また円形脱毛症の重症例にたいして、JAK阻害薬であるオルミエントが保険適用となっています。
円形脱毛症はどれくらいで治りますか?
円形脱毛症はまだ原因がはっきり分かっていない病気で、治るペースも本当に個人差があります。小さいものが1つ2つできたあと自然治癒することもあるようですが、何度も再発を繰り返している患者さん、重症化してしまう患者さんもいらっしゃいます。
受診の目安はなんですか?
何度も症状が出ているようなら、受診した方が良いでしょう。特に再発する度に脱毛部分が増えている場合や脱毛部分が広がっている場合は医療機関で専門家に診て貰った方が安心です。突然髪全体が脱毛してしまうケースでも、初期にきちんと治療を受けることで治りやすくなる可能性があります。
編集部まとめ

円形脱毛症は必ずしもストレスだけが原因ではないことが分かり、驚いた方も多いのではないでしょうか。いずれにしても、脱毛症状が出ているのに気にならない方は少ないはずです。
精神的なストレスを抱えていると、不眠など頭皮環境に良くない影響が及ぶ可能性もあります。ストレスを軽くするためにも、一人でずっと悩んでいるより病院を受診することが早期回復の近道になりそうです。
市販の育毛剤は頭皮環境の改善には役立つ可能性がありますが、円形脱毛症そのものを治す効果はありません。
ステロイド療法など、円形脱毛症のための治療を受けられるのは病院だけです。
参考文献
円形脱毛症(公益社団法人日本皮膚科学会皮膚科)

