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今、雨の外遊びが増加中!保育園でわが子が体験していることがすごかった~園で子どもは何してる?Vol.3~


Eテレの「すくすく子育て」でもおなじみ、玉川大学教育学部教授の大豆生田(おおまめうだ)先生と、園生活のリアルに迫る連載。今回のテーマは最近増えているという「雨の日の外遊び」。雨遊びを始めたばかりの、鹿児島の永吉あさひこども園と、長年、雨遊びの活動をする広島のみどりの森みらいこども園のドキュメンテーション(写真付きの保育記録)を取材しました。

雨の日、園庭は『最高のアドベンチャー』に!

ライター田中(以下 田中):最近は雨の日でも外で遊ぶ園が増えているそうですが、なぜなのでしょう?親としては、保育園ってただでさえ着替えやシーツなど持ち帰りが多いですよね…。雨の日にドロドロの服があったら、想像するだけでちょっと気が重くなります。

大豆生田先生(以下、豆先生):そうですね。でも雨の日って、子どもにとっては未知なことに出会う特別な時間なんです。保育園のドキュメンテーションを見ると、その一つ一つが小さな挑戦の積み重ねになっていることがよくわかるんですよ。早速見てみましょう。

永吉あさひこども園のドキュメンテーション
永吉あさひこども園のドキュメンテーション

田中:この鹿児島の永吉あさひこども園では、子どもたちが、雨の日に外で遊べないことを残念がっていたことから、昨年初めて雨の外遊びにチャレンジしたそうです。

子どもたちは、朝からワクワクしていたと書かれていますね。

豆先生:色とりどりのカッパや長靴を身につけるだけで、「いつもと違う」世界が広がり、その時点で子どもにとってはもう日常とは違う。アドベンチャーの始まりです。

田中:「先生見て!お水、雨からもらったんだよ」という言葉も、とても印象的です。

豆先生:体験を自分の言葉にしていますよね。ただの水ではなく、「雨からもらったもの」として受け取ってすごく豊かな想像力が育まれていると思います。
それを見たお友だちも真似をする。そのほかにも水たまりの色が濁っていることに気づき、色の変化を感じている子もいますね。

初めて雨の園庭に出た子どもたちが、こんなにたくさんのことに気づいたり、豊かな発想と言葉を持っていることに驚かされませんか?

田中:見ているこちらが、ワクワクしてきます!

雨の砂場では、うまく固まらないことや、土の感触の違いに気づきます
雨の砂場では、うまく固まらないことや、土の感触の違いに気づきます

田中:こちらも同じ園ですが、今度はダイナミックです。水たまりの中を“ぴょーん”と跳ねてみたり、泥水に手を入れてみたり「べちゃべちゃする」と感触を確かめたり…。

豆先生:いつもの園庭が「多くの驚きと新しい発見」の場に変わっているんです。冷たい、ぬるっとする、足が沈む。やってみて初めてわかることに出会いながら、「どうやって動けばいいんだろう」と自分なりに試している。小さな挑戦の連続ですよね。

田中:最初のドキュメンテーションでも、泥でお山を作ろうとした子が「小さいお山だね」と話していました。うまくいかない様子が見られます。

豆先生:晴れた日に砂場で作るのと違い、雨の日は水が多くて、固まりにくい。どうしたら大きい山が作れるんだろうと、水をかき出してみたり、土を足してみたり、試行錯誤をすることになります。

思い通りにいかないからこそ、子どもは考えて、またやってみる。その積み重ねの中で、「こうするとこうなる」という物質や物事の仕組みを身体で理解していきます。

田中:まさに学びですね。こうして見ていくと、「ただ遊んでいる」わけではないんですね…。

豆先生:そうなんです。子どもたちは雨の外遊びでさまざまな挑戦をし 身体の動かし方や、雨で変化する物質や、多くのことを学んでいます。このドキュメンテーション見るとそれがありありと伝わってきます。

雨がくれる課題を子ども自身が考える
みどりの森みらいこども園のドキュメンテーション
みどりの森みらいこども園のドキュメンテーション

田中:対してみどりの森みらいこども園は、雨のなかでの外遊びを長年やっていて、3~5歳の幼児クラスでは、「雨散歩」という名で近隣にでかけるそうです。このドキュメンテーションは、幼児クラスが、雨の準備をしていなくて、お散歩やめようかという先生に「どうしたら行けるかな?」と子どもたち自身が考え、提案しているのが印象的でした。

豆先生:準備も遊びや学びになるんですよね。雨の中で過ごすために何が必要かを自分たちで考え「濡れてもいいよね」「でも雷が来たら?」「袋をかぶればいいんじゃない?」「じゃあカッパ作ろうよ」と話し合って友達同士でやりとりしながら進めていく姿が見られます。

雨というコントロールできないことが、子どもたちの「どうしよう?」という気持ちを引き出し、思いや考えを共有しながら、共通の目的に向かって試行錯誤する姿へとつながっています。「協同性」が発揮されているとも言えます。

田中:園の先生が、子どもに考えさせているのがすごいと思いました。私だったらすぐに「雨だからカッパを着ていこうね」と答えを言いたくなってしまいます。

豆先生:そうなんです。ドキュメンテーションを見るとわかるように、子どもたちは自分たちの願いをかなえるためにどうしたらいいか、実にさまざまなことを考えていますよね。この園では、最後はカッパを自分たちで作って雨の日のお散歩を実現させています。

子どもは、大人が思うよりずっとたくさんのことを考えることができるし、驚くようなアイディアで突破する力もあるんです。「雨だからカッパを着せる」と大人が決めたり、やらせてしまうのは、子どもたち自身で考える機会をもつという観点ではもったいないことだと思います。

田中:最初は「雨の外遊びだなんて汚れた服が増える!」と思っていたのですが、こうして園の先生たちが子どもを見る視点で見てみると、雨の日の遊びがまったく違って見えてきました。泥んこの服は、子どもが思いきり挑戦し、感じ、学んできた証なんですね。

豆先生:そうなんです。泥んこになってきたら「今日もうちの子は五感をフル活動させて学んできた」と、とらえてみてはどうでしょうか。
おうちでも子どもに、雨の日の冒険や発見を聞いてみると、泥だらけの服の洗濯が楽しくなるかもしれません。

取材・文/田中あすか、たまひよONLINE編集部

●記事の内容は2026年6月の情報であり、現在と異なる場合があります。

<次回のテーマ>
次回は、保育園って遊んでいるだけ?ではない「遊びのなかの学び」について、保育士の視点をドキュメンテーションからご紹介します

<保育ドキュメンテーションとは?>
写真と文章でつづられた「園生活の記録」で、本来は園内の記録や計画のためのツールです。同時に保護者にも共有することで、子どもが何に心を動かし、興味を持っているのかを、保育者の専門的なまなざしを通して伝えることができます。普段知ることのない、園でのこどもの表情を見たり、思わぬ育ちに気づいたり。わが子の新しい一面を発見するきっかけになります。

今どきの保育園で活用が増えているドキュメンテーションとは


<取材先>
永吉あさひこども園(鹿児島県)
食育や体育遊びなどにも取り組んでおり、特に食育は、クッキングや野菜作りなどを子どもたちと実施。子どもの意欲と思いやりを育てる保育を目指す

永吉あさひこども園ホームページ


みどりの森みらいこども園(広島県)
自然との関わりを大切にし、菜園づくりや、水、砂、泥遊び、はだし保育に力を入れる。雨の日の活動をドキュメンテーションやブログやSNSなどで発信している

みどりの森みらいこども園ホームページ

みどりの森みらいこども園Instagram

配信元: たまひよONLINE

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