矯正装置をつけると「話しにくくなるのでは?」「部活動や楽器演奏ができないのでは?」といった不安から、治療をためらってしまう方も少なくありません。しかし、ほんの少しの工夫や心構えで、治療中の不快感を減らすことができます。そこで、矯正治療を乗り切る日常の工夫を、練馬関町かんけ歯科・矯正歯科の菅家先生に解説してもらいました。

監修歯科医師:
菅家 有美(練馬関町かんけ歯科・矯正歯科)
東京医科歯科大学(現・東京科学大学)卒業。同大学院歯学総合研究科顎顔面矯正学分野博士課程修了。東京大学医学部附属病院での臨床研修を経て、現在は東京医科歯科大学歯学部附属病院(現・東京科学大学病院)の非常勤講師も務める。練馬関町かんけ歯科・矯正歯科では矯正治療を担当し、見た目の改善だけでなく、むし歯や歯周病予防、全身の健康維持を目的とした治療を提供。患者さん一人ひとりの状態に合わせた治療計画を立案し、矯正治療中のトラブルにもワンストップで対応する。日本矯正歯科学会認定医。歯学博士。
編集部
矯正装置をつけると「痛い」という話を聞くのですが、具体的にどんなとき、どんな風に痛むことが多いのでしょうか?
菅家先生
歯を噛み合わせたときに、痛みを感じることが多いようです。具体的には、「硬いものが噛めない」「歯と歯がぶつかる瞬間に痛い」と訴える方が多いように感じます。刺すような鋭い痛みというよりは、歯に圧がかかると「じんわり痛む」といったケースが多く、長い人だと1週間から10日ほど続くことがあります。
編集部
痛みは通常、どのくらい続くものなのでしょうか? また、痛みの緩和法があれば教えてください。
菅家先生
痛みの感じ方には個人差が大きく、痛みに強い人の場合は調整後1〜2日で治まるか、ほとんど痛みを感じないこともあります。平均的には、6割くらいの人が2〜3日で楽になる印象です。一方で、痛みに敏感な人は4日~1週間、まれに2週間ほど痛みを訴える方もいます。そうした場合は、歯の動きを妨げにくい「アセトアミノフェン系の鎮痛剤」を使うと、無理なく乗り切ることができます。
編集部
矯正装置をつけていると傷や口内炎ができやすいとも聞きますが、予防や対処法はありますか?
菅家先生
装置による傷や口内炎の予防には、「矯正用ワックス」の使用が効果的です。装置の尖った部分や粘膜に当たる箇所にワックスを付けることで、刺激をやわらげることができます。すでに傷や口内炎ができてしまった場合は、うがい薬や口内炎用の治療薬、ビタミンB製剤が有効です。また、治療中はやわらかい食品中心の食生活になりがちですが、栄養バランスにも気をつけると、治りも早くなります。
編集部
矯正装置をつけたまま運動や楽器演奏をしても問題はないのでしょうか?
菅家先生
基本的に問題なく行えますが、ラグビーやボクシングなどの選手同士の接触を伴うコンタクトスポーツでは、お口の中を守るために「マウスガード」の使用をおすすめしています。管楽器の演奏についても、最初は心配される方も多いのですが、ほとんどの人がしばらくすると慣れて普通に演奏できるようになります。過度に心配せず、続けていただいて大丈夫です。
編集部
最後に、読者へメッセージをお願いします。
菅家先生
矯正治療中は日常生活で不便を感じる場面もあるかもしれませんが、その先には見た目だけでなく、話しやすさや歯の磨きやすさなど、たくさんのよい変化が待っています。何か困っていることがある際は、担当医に遠慮なくご相談ください。本記事を参考に、頑張って治療を乗り切ってもらえればと思います。
※この記事はメディカルドックにて<矯正治療中は滑舌・食事に影響ある? 日常生活の工夫やコツも歯科医が解説>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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