吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
「思いがけないこと」を超えていく
コロンビア、バハマを旅してきました。
コロンビア、グランビアーレのアマゾンの密林で数年前に発見された岩絵を見にいく、そしてバハマのビミニ諸島でアトランティスの遺跡ではないかというビミニ・ロードを見にいくという旅です。
この人生でアマゾンの密林を歩くなんて考えたことはなかった(実は、その岩絵がアマゾンの密林の中にあることを出発の数日前に知りました)。
そして夕食にピラニアが出てきたことも、それがアリのペーストだとは知らずにピラニアにつけて食べてしまったことも、考えたことはなかった。思いがけないことでした。
人生は選択の連続。朝、コーヒーにするか紅茶にするか、これも選択の一つ。この人と結婚するかしないかも、選択。まさに選択が人生を作っていくのだと思います。
そして、時には思いがけないことが起こる。それも、苦手なチャレンジが起こる。アマゾンもピラニアもアリのペーストも「思いがけないこと」でした。
「思いがけないこと」はハードルを超えるという体験なのだと、今回の旅でつくづく感じました。
コロンビアの出国時、ボーディング直前に別室に呼ばれました。
コロンビアの出国検査は思いの外厳しく、おそらくドラッグの持ち出しに対する検査だと思われます。
別室には10人ほどの列ができていて、バッグの検査、ボディ・チェック、そして靴の中も調べられました。
おそらく私が大きめのTシャツを着ていたからか、抜き打ち検査なのか、どちらにしても気分の悪い、思いがけないことでした。
疑われたことに自尊心が傷つきました。
でも、その一方でこれも一つの話のネタになるかも、と思うのです。滅多にない経験ですから。
そこにはかつて麻薬カルテル(今もあるかもしれませんが)が存在していたコロンビアの現状があるのかもしれません。
またビミニでも、楽しみにしていたドルフィン・スイムは、シュノーケリング初体験の夫が溺れかけて断念。これもまた話のネタです。
そして最後は、アメリカ出国時、滑走路まで行ったフライトが整備不良で欠航となったのです。
振り替えとなったフライトが早朝のために、最後の夜は空港ステイとなったのでした。
人生で、空港に泊まるなんて考えたこともなく、バッグを抱えてベンチでうつらうつら寝たのでした。
意味のないことは起こらない。「思いがけないこと」に大小はありますが、経験は生きる力になるのです。
でも、「アリ」は克服できません…。
※記事中の写真はすべてイメージ
[文/吉元由美 構成/grape編集部]

