祖父が亡くなったときのことです。私はまだ若かったため葬儀や香典についてほとんど知識がありませんでした。
祖父の葬儀後に見つけた1冊のノート
通夜と葬儀には多くの方が参列してくださり、親族一同で感謝しながら対応していました。 葬儀からしばらくして香典返しの準備をしていると、祖父の机の引き出しから一冊のノートが見つかりました。そこには近所の方や友人、昔の仕事仲間の名前がびっしりと書かれており、「自分に何かあったら、この人たちには必ずお礼を伝えてほしい」とメモが残されていたのです。 さらに驚いたのは、祖父が生前から少しずつ香典返しの費用を別に準備していたことでした。「残された家族に負担をかけたくない」という一文も添えられており、家族全員が言葉を失いました。私たちは祖父の気持ちを受け取り、ノートに書かれていた通り、大切な方々へ香典返しを送りました。
祖父は生前、決して裕福ではありませんでした。しかし人とのつながりを何より大切にしていた人で、その思いが最後まで変わらなかったのだと感じました。
◇ ◇ ◇
香典そのものもありがたいものでしたが、それ以上に祖父が周囲の人々との縁を大切にしていたことを知り、胸が熱くなりました。 今でも香典返しの品を見るたびに、あの日見つけたノートを思い出します。悲しみの中で迎えた葬儀でしたが、祖父の人柄や優しさを改めて知ることができた、私にとって忘れられない出来事となりました。
著者:吉田恵里菜/30代女性・会社員/7歳の男の子を育てる母。事務仕事をしています。趣味は旅行です。
イラスト:いずのすずみ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年6月)

