
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、『チノトモ 吸血鬼を支配する血の話』(ナンバーナイン刊)の第4話『クルセイド』を紹介する。『シンギュラー』(講談社刊)で知られる作者の青木優さんが、9月5日にX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、7000件を超える「いいね」やコメントが多数寄せられた。本記事では、青木優さんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
■吸血鬼のミカと人間の大輔は映画デートへ行くはずが

吸血鬼のミカは人間の大輔と映画デートを控えていた。しかし、いくら待っても大輔は現れず連絡もつかない。その頃大輔は、吸血鬼のサヤと宝クラスタのアジトへ誘拐されていた。
「こんなところに連れてきてどうするつもりだ…!」と聞く大輔に「検証さ」と答えるアジトの主・宝條。そして、宝條は“大輔を吸血するように”とサヤへ指示し…。
このエピソードを読んだ人たちからは、「内容が濃い」「ずっとチノトモのこと考えてる」「色々と盛りだくさん」「とにかく最高」など、多くのコメントが寄せられている。
[HEAD]作者・青木優さん「露骨な描写は避けつつ、ヌルいシーンにならないようこだわりました」[/HEAD]

――本作のお話の発想の源はどこだったのでしょうか?
吸血鬼モノの典型的なパターンとして、血を吸った人間を支配するという設定がありますが、そこから発展して、特別な血を持つ主人公がその血の力で逆に吸血鬼を支配してしまうという設定を漠然と考えていました。この設定はラブコメ向きではないかと思い、ネームを描き始めましたが、私が好きな吸血鬼モノが『BLOOD THE LAST VAMPIRE』などのシリアスな作品であるためか、物語にそういった要素も含まれるようになっていきました。
――本作では、サヤが涙をこぼしながらミカの名前を言った姿が非常に印象的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
サヤが涙をこぼすに至るまでの過程を、露骨な描写は避けつつ、ヌルいシーンにならないようこだわりました。また、意識的にユーモアを織り交ぜるようにしました。これは笑いを誘うためというより、緩急をつけることでシリアスなシーンが連続して単調にならないよう配慮したためです。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
上記のような理由から、サヤと大輔が大変な目に遭っていることを知らず、のん気にしているミカが気に入っています。
――ストーリーを考えるうえで気をつけていることや意識していることなどについてお教えください。
私自身もそうですが、読者は知らない漫画を頑張って読まないという前提で、気軽に読んでも面白く、または集中して読んでもらうためのフックを作ることを意識しています。
――青木優さんの作品は、臨場感があり漫画の世界に引き込まれます。作画の際にこだわっていることや、特に意識していることはありますか?
ネームの段階で作品の勝負はほぼ決まっているので、最悪、絵が下手でも構いませんが、ネーム時に生まれた良いニュアンスだけは失わないよう注意しています。
――今後の展望や目標をお教えください。
健康に楽しく描いて、無事に完結させたいです!
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
好き勝手に漫画を描いているだけでも楽しいのに、それ以上の喜びを感じられるのは読者の皆さんのおかげです。今後とも『チノトモ』を楽しみにお読みいただければ幸いです!

