いろんな立場を経験してきたことが、人間関係の構築に活きている
――とはいえ、それで会う人会う人と友達になれるのは、一種の才能ですよ。「それはいつも、この人はどこまで踏み込んで良くて、どこが琴線に触れるのかを考えているせいなのかもしれません。過去にはトラブルになったこともありますけど、試行錯誤の回数が多い分だけ今は間違えないようになりました。初対面の相手に『なんだ、おまえ』と思われてはいけないし、その人との対話で何も生まないことも良くないと思っています」
――でも、それだけでオールマイティからの愛されキャラを確立するのは難しいと思いますよ。「う~ん……もしかしたら、いろんな立場を経験してきたことが、この人間関係の構築に活きているのかもしれません。幼少期は勉強やスポーツが得意で、周囲から“できる子”と見られていました。中高では逆に“いじられる側”に回ってみて、ピエロのように振る舞うことを楽しんでいたんです。でも、世の中の人は想像よりもピエロをピエロとしか思っていないんだな~と体感もしたんですよね」
――確かに真逆の立ち位置ですね。大学時代はどうだったのでしょうか。
「夜勤をやり出した頃なんかは、バイトの中では大学生という肩書きがあるだけでも上の立場になると気づいたりしました。浪人だったり、若手芸人だったり、本当に僕はいろんな立場になってきたので、なんとなくいろんな人の気持ちがわかるようになったのかなって今は思います」
『僕らの別荘』のメンバーで、シドニー石井の立ち位置は?
――数多いる友達の中でも、『僕らの別荘』のメンバーは特別な枠なのですか?「そうですね。僕とケムリさんとこんのの3人はNSCの同期です。でも、もともとケムリさんは大学お笑い時代の先輩なんですよ。てっせーさんは作家として1年遅れて養成所に入ったのですが、彼も大学お笑いでは僕の先輩だったんです。だから僕はいまだに敬語を使っています」
――こんのさんだけが純粋な同期ということですか?
「僕にとってはそうなんですけど、こんのは社会人経験があるからメンバーの中でも一番年上なんですよね。だからてっせーさんだけは、こんのからすると芸歴も年齢も後輩にあたるんです。それでも、面倒臭いからてっせーさんはみんなにタメ口オッケーってことになって。その流れで僕もみんなにタメ口でいいかなって思ったのに、許されなかった。今も許可が下りていません」
――その話を聞くだけで、石井さんの立ち位置が理解できますね(笑)。
「でも友達濃度としては、年々薄くなっていると思いますよ。4人で集まるとなると撮影しちゃうから、仕事の関係っぽくはなっているんです。他の仕事も忙しいケムリさんにとっては癒しの場なのかもしれないけど、僕の生活の中では別荘の比重が大きいので、どうしても仕事と捉えちゃう」

