「腎硬化症」の“あのサイン”は危険?透析を招く「見逃しの落とし穴」【医師監修】

「腎硬化症」の“あのサイン”は危険?透析を招く「見逃しの落とし穴」【医師監修】

腎硬化症が進行すると、腎臓だけでなく全身にさまざまな影響が及ぶ可能性があります。貧血・骨の変化・高カリウム血症などの合併症に加え、心臓病や脳卒中との関連も指摘されています。末期腎不全に至った場合は、血液透析や腹膜透析といった腎代替療法が必要になります。腎臓内科だけでなく、循環器内科とも連携した総合的な管理が、長期的な予後を支えます。

田中 茂

監修医師:
田中 茂(医師)

2002年鹿児島大学医学部医学科卒業 現在は腎臓専門医/透析専門医として本村内科医院で地域医療に従事している。
専門は内科学・腎臓内科・血液透析・腹膜透析・臨床疫学・生物統計学

腎硬化症の症状が進行したときに起こること・合併症のリスク

腎硬化症が進行した場合、腎臓だけでなく全身にさまざまな影響が及ぶことがあります。このセクションでは、進行した腎硬化症で起こりうる合併症と、透析療法に至る可能性について解説します。

腎硬化症が進行したときに現れやすい全身症状

腎機能の低下が進むと、身体の中に老廃物や余分な水分が蓄積されていきます。この状態が進行すると、さまざまな全身症状が現れ始めます。

まず、貧血が起こりやすくなります。腎臓は赤血球の産生を促すエリスロポエチンというホルモンを分泌する役割を担っていますが、腎機能が低下するとこのホルモンの分泌量が減り、赤血球が十分に作られなくなります。その結果として、疲れやすさ・息切れ・顔色の悪さといった貧血の症状が現れます。

次に、骨や関節に関わる症状も出やすくなります。腎臓はビタミンDを活性化する機能も持っており、腎機能が低下するとカルシウムの吸収が妨げられ、骨がもろくなる「腎性骨異栄養症(じんせいこついえいようしょう)」につながることがあります。

また、高カリウム血症も腎機能低下に伴って生じやすい問題です。カリウムは通常、腎臓で尿として排泄されますが、腎機能が低下するとカリウムが体内に蓄積されます。カリウムが過剰になると、心臓の不整脈や心停止を引き起こすリスクがあるため、食事によるカリウム摂取の管理が必要になります。

さらに、身体のむくみ(浮腫)・高血圧の悪化・食欲不振・倦怠感・皮膚の痒みなどが徐々に強くなっていきます。これらの症状が日常生活に支障をきたす程度になってきた場合は、透析療法の適応について医師と相談する段階に近づいている可能性があります。

透析療法への移行リスクと腎硬化症の長期予後

腎硬化症が進行して末期腎不全に至った場合、生命を維持するために腎代替療法が必要になります。腎代替療法には、血液透析・腹膜透析・腎移植の3種類があります。

血液透析は、週3回程度医療機関に通い、機械を使って血液中の老廃物や余分な水分を除去する治療法です。腹膜透析は、腹部にカテーテルを留置し、自分自身の腹膜を利用してろ過を行う方法で、自宅で行うことができます。どちらの方法が適しているかは、腎機能の状態・生活環境・体力などを考慮したうえで医師と相談して決めます。

腎硬化症から末期腎不全に至るまでの期間は、血圧管理の状態・基礎疾患の有無・治療への取り組みなどによって個人差が大きく、一概に言い切ることはできません。ただし、適切な血圧管理と生活習慣の改善を継続することで、腎機能低下のスピードを緩やかにできる可能性があるとされています。

腎硬化症は心臓病・脳卒中などの心血管疾患とも密接に関連しています。腎機能が低下している方は、心筋梗塞・脳梗塞・心不全などの心血管イベントのリスクも高まるとされています。そのため、腎硬化症の管理は腎臓だけでなく、心臓や血管を含めた全身の健康管理という視点が欠かせません。腎臓内科だけでなく、必要に応じて循環器内科とも連携しながら、総合的な管理を続けることが長期的な予後の改善につながります。

まとめ

腎硬化症は自覚症状が出にくいながらも、放置すると腎機能の低下が着実に進んでいく病気です。クレアチニン値やeGFRなどの検査値を定期的に確認し、血圧管理・減塩・適切な運動・禁煙といった生活習慣の改善を継続することが、腎硬化症と上手に向き合うための基本です。症状がないからといって安心するのではなく、定期的に医療機関を受診し、医師と一緒に病状を管理していくことが大切です。クレアチニン値の異常や身体の変化が気になる方は、腎臓内科や内科への相談を検討してみてください。

参考文献

日本腎臓学会「診療ガイドライン」

厚生労働省「腎疾患対策」

厚生労働省「第7回 慢性腎臓病(CKD)ってなぁに?」

厚生労働省「4 慢性腎臓病(CKD)」

配信元: Medical DOC

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