「同級生に髪を切られた」小学校のトラブルでも“警察相談に意外な効果”…弁護士語る「いじめ対応の基本」

「同級生に髪を切られた」小学校のトラブルでも“警察相談に意外な効果”…弁護士語る「いじめ対応の基本」

●小学生は罪に問われないが、それでも警察に通報する意味

——さすがに小学生が罪に問われないことはわかりますが、警察に相談するのは有効なのでしょうか。

たしかに小学生は刑事責任を負いませんが、警察が任意で加害児童を呼び出し、注意・指導をおこなうことはあります。そのため、被害届を出すなど、警察に相談するのは一定の効果があるといえます。

また、警察が児童相談所に通告した結果、家庭内の虐待が判明し、加害児童が一時保護されたケースも私の経験上存在するところです。複数の行政機関に相談することは、再発防止という観点から有意義だと考えます。

小学校低学年でのいじめは統計的にも多く、対応を誤ると長期の不登校にもつながるおそれがあります。髪の毛を切るという行為そのものだけでなく、その背景にある関係性や他のいじめ行為の有無も含めて、学校と連携しながら早期に改善を図ることが重要です。深刻化する前に対応する姿勢こそが、子どもの心を守る第一歩だと考えます。

【取材協力弁護士】
高島 惇(たかしま・あつし)弁護士
学校案件や児童相談所案件といった、子どもの権利を巡る紛争について全国的に対応しており、メディアや講演などを通じて学校などが抱えている問題点を周知する活動も行っている。近著として、「いじめ事件の弁護士実務―弁護活動で外せないポイントと留意点」(第一法規)。
事務所名:法律事務所アルシエン
事務所URL:http://www.alcien.jp

提供元

プロフィール画像

弁護士ドットコム

「専門家を、もっと身近に」を掲げる弁護士ドットコムのニュースメディア。時事的な問題の報道のほか、男女トラブル、離婚、仕事、暮らしのトラブルについてわかりやすい弁護士による解説を掲載しています。